滞納後も期限の利益の喪失前に売却を決めた1つの訳

 新築の一戸建やマンションを頭金無し、100%ローンの35年払いで購入するのは、今では普通のことのように感じられます。

しかし、買うのは簡単でも、35年間返済を続けていくのは、想像よりも大変なことです。

20年以上、住宅ローンの返済を続けてきた方が、売却を検討しても、売却価格が残債を下回り、手放すには現金の持出しが必要となる場合も多くあります。

経済的に余裕のある方や売却を諦め、そのまま住み続けることができる方は、ある意味問題とはなりませんが、手放したい理由が住宅ローンの返済苦だとしたら、ことは重大です。

新築マンションの住宅ローンで損失を抑えて売却

 今回、ご依頼いただいたお客様は、平成16年に新築マンションを100%住宅ローンの借入れで購入したものの、手元に多くの現金を残し売却できた、例をご紹介します。

片井 様(仮名) 横浜市在住 40代 自営業

債権者 旧住宅金融公庫(1番抵当) 都市銀行(2番抵当)

住宅ローンの滞納状況 1回

残債 2者合計 約1,700万円

早期の売却で滞納を解消

 片井様は相談のタイミングが早く、1回目の滞納後、すぐに当事務所へ売却の依頼となりました。

期限の利益の喪失前のため、早期に売却できれば、元金に対しての遅延損害金も発生せず、損失を極めて減らせます。

また、売却想定価格が残債を軽く上回るため、売買契約まで取り付ければ買主様より、手付金を受取り、その中から住宅ローンと管理費等の滞納分を解消することも可能です。

そうなれば、任意売却ではなく通常の不動産売買と全く同じ取引になるため、片井様にも早急な売却に快諾してもらい販売スタートとなりました。

希望に沿った売却スケジュール

 片井様には、引越し日の希望があり、そこを逆算していくと販売開始から遅くとも2か月以内には買手を見付けなければ、間に合いません。

そのため、内見しに来たお客様にも、水面下での値引き価格を提示する等の販売活動も同時に行いました。

その結果、販売開始から、2か月目に2,400万円での売買契約が成立、引越しも希望通りの日程で取引を進めることができました。

住宅ローンを完済し残った金額

 早期の売却が必要なため、表向きの販売価格から値下げも行いましたが、売却の諸経費を引いても残った金額を計算すると、なんと約600万円となります。

もちろん、この中から住宅ローンや管理費の滞納分、そして引っ越し費用に充てたため、手元に残せる金額は減ってしまいますが、再スタートするには十分な金額です。

住宅ローンも完済し、不安も無くなり片井様にも満足して頂けました。

期限の利益の喪失前の大きな違い

 多くの任意売却の場面では、売却額を住宅ローンの残高が上回り、遅延損害金どころか元金にも届かないため、あえて期限の利益の喪失をするまで待ちます。

そうなると、遅延損害金はあまり問題とはなりません。

しかし、売却すれば完済が見込めるケースでは、債権者は遅延損害金もしっかりと請求し回収します。

従いまして、この様なケースでは、遅延損害金は大変大きな負担となります。

そのため、上記でご紹介した片井様は、当事務所の説明を聞いて納得し、期限の利益の喪失前に早期の売却を希望しました。

簡単に片井様が期限の利益の喪失した場合、1か月の遅延損害金を計算してみます。

住宅ローンの残元金 1,700万円

遅延損害金 14.5%(年率)

1,700万円 × 14.5% ÷ 365日 = 0.675万円(1日につき6,750円)  

0.675万円 × 30日 = 20.25万円(1か月)

 期限の利益を喪失していたら、毎月約20万円の遅延損害金が発生していました。

仮に同じ価格でマンションが売却できても、1か月遅れるごとに、その分手元から約20万円減る計算です。

○ 『任意売却でも住宅ローンが完済なら遅延損害金は期限の利益の喪失前後で異なるので要注意

現金を残せたもう1つの大きな理由

 冒頭で新築住宅を頭金無しの35年ローンで購入することについて触れました。

片井様も例外なく該当するのですが、1つだけ大きな違いがあります。

実は今回売却した新築マンションの購入時、最終的に売れ残っていた部屋を大幅な値引き交渉の末、購入しておりました、何とその額650万円とのこと。

購入した時期も良かったのと、マンション業者の売り急いでいたタイミングにピッタリと合っていたため、この様な値引きが実現したのだと思います。

早めの相談は誰にでも可能

 片井様のように、購入時の大幅な値引き、売却時に数百万円を手元に残せるのは、極めてまれでしょう。

しかし、早期に行動することは、誰にでも例外なくできることです。

多くの方は任意売却で残債の問題が生じますが、その前に競売という最悪の事態に遭遇する可能性があります。

その競売を回避するには、まず早めに相談し対処することが最優先課題となります。

片井様は運が良いと感じる方も多いと思いますが、決してそうではありません。

ここまでの結果を残せたのは、競売はおろか期限の利益の喪失前に相談し、マイホームを手放す決断ができたからです。

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