担保付きでサービサーへ債権譲渡されたら任意売却はできる?

 赤字経営と無縁でも次の担い手がいないため、廃業せざるを得ない中小企業も多いようです。頑張ってきた経営者にとっては複雑な思いでしょう。

長いこと商売を続けてきた中小企業や自営業者の中には、古くから地元の銀行や信用金庫と取引を継続してきたけれど、返済が厳しくなりリスケジュール(貸付条件の変更)を伴っても、業績回復の目途は立たず、廃業も止む無しと諦める方もいます。

年齢も考慮すれば、その判断も当然かもしれませんが、問題は残っている借金の行方です。

商売でお世話になった土地建物、或は自宅などの不動産が借金の担保となっていれば、返済が出来ない以上、手放さない選択肢は、ほぼ期待できません。

そして、滞納を続けてきた結果、担保付きのまま元の金融機関からサービサーへ債権譲渡されてしまうことがあります。

プロパー融資は担保付きで債権譲渡の可能性も

 実はサービサーから通知がきても債権譲渡と委託の2つのケースがあり、必ずしも債権が元の金融機関から売られてしまったことにはなりません。

確実なのは通知内容を見れば、一目瞭然ですが、保証協会を利用している場合、現在のところ債権譲渡はされませんが代位弁済後、保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)へ委託されます。

債権譲渡通知

上の画像は担保付きの債権譲渡通知書

 金融機関がサービサーへ債権譲渡するのは、民間金融機関から直接借りているプロパー融資のケースとなり、担保付きのまま債権譲渡されてしまうことがあります。

担保付きの債権譲渡も基本は任意売却可

 債権譲渡されると、相手が分からず何となく不安になりますが、サービサーも一般の法人です、利益を求めることに変わりありません。そのため、債務者(借り手)と何の相談も無く、いきなり競売の申立てを行うようなケースは、まず無いと考えていいでしょう。

従いまして、担保付きで債権譲渡されても不動産の所有者が望めば、大抵は任意売却に応じてもらえます。そうなると任意売却は容易に進められると思いがちですが、実際はそう簡単ではありません。

その理由として、サービサー自体の運営もかなり厳しい状況が続いているからです。

サービサーの現状

 サービサーを監督する法務省では、毎年プレスリリースとして『債権回収会社(サービサー)の業務状況について(概要)』を発表します。気になる方は検索してみて下さい。

その内容を詳しく見れば分かりますが、まずサービサーの数も減少傾向にあり、裏を返せば、それ程割に合わない事業となっていることも伺えます。

サービサーは入札で競争

 サービサーの仕入れに該当する、不良債権の購入にも競争原理が働いています。

規模の大きな金融機関から買取る不良債権は、バルクセール(大量にまとめて売る)でも入札型式となるため、早々に安値で買取れる訳ではありません。

あまり安値での入札を行うと、次回の入札に参加できないなど不都合が生じるため、どこのサービサーもギリギリのところで勝負していることになります。

また、規模の小さい金融機関はバルクセールとならなくても、高値を提示したサービサーへ債権譲渡するため、いずれにしても安値で買取ることは現実的には、かなり厳しいと思われます。

ギリギリの勝負で勝ち抜き、買取った不良債権は回収してやっと収益につながるため、サービサーの姿勢も以前よりは厳しいものとなっています。

最大限の回収を望むのは当然

 結局は回収できるところからは、とことん回収する、そうしなければサービサーも生き残っていけない時代に突入しました。

そのため、任意売却に応じる価格も、より厳しいものとなっております。

任意売却の成立は所有者の志も関係する

 いかに競売ではなく任意売却で不動産を手放すことができるか? 所有者としては廃業するにも、最後の締めくくりが競売では心残りとなるため、何としても競売は回避したいと思います。

前項で任意売却に応じる価格についても厳しいとしていますが、対応するのはサービサーの担当者です、やはり人と人なので債権譲渡通知が届いたら早めに連絡するなど、誠意ある対応を心掛ける方は信用されます。

信用されれば任意売却も進めやすい

 誠意ある方のケースでは、その後の任意売却における価格交渉の際も、サービサーから怪しまれることも無くスムーズに話しを進めることができます。

そのため中小企業の経営者、自営業者の皆様がサービサーに対しては、現状を包み隠さず報告し、最大限の返済が任意売却による不動産の処分となります。

当事務所でも、最後に自身の手で不動産を売却する手助けができれば何よりと考えており、可能な限り早めに相談して頂くのが最善の方法になるかと思います。

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