共有者に内緒で持分のみの任意売却はできる?

 これから数が増えそうな相談の1つに共有持分の不動産に関連したケースが挙げられます。

ナゼ? 不動産をわざわざ共有にするのと思うかもしれませんが、多いのが相続の結果、共有となってしまった。

また、住宅購入時に妻が頭金を工面した場合など、夫婦共有名義の不動産となっていることが、よくあります。

共有持分のみに抵当権を設定

 今回、ご紹介するのは共有持分のみを担保にお金を借り、そして滞納してしまったケースとなります。

親から相続した一戸建にお住いの女性から任意売却の相談です。

権利関係 兄と各1/2の共有持分

持分のみに抵当権設定(300万円)

滞納回数 3回

 何でも金融機関は、他の共有者(兄)には内緒でお金を貸してくれたそうで、持分のみを対象に抵当権を設定しています。

そのため相談者も自分の持分のみ、内緒で任意売却を希望しています。

不動産の共有持分のみを売却できるか?

 任意売却の前に、そもそも『不動産の持分のみを売却できるか?』 という疑問があると思いますが、持分のみの売却は可能です。

そして『他の共有者に内緒で持分のみを売却できるか?』 となると、それも可能です。

更に『他の共有者に内緒で持分のみを任意売却できるか?』 となると、債権者が返済額に満足すれば、それもまた可能となります。

不動産の持分は自由に売買可能な権利だからです。

共有持分を内緒で売却すると、どうなる?

 共有持分のみを内緒で売却するには、条件さえ揃えば、それほど難しい訳ではありません。

むしろ問題は売却後と考えるべきでしょう。元々、共有者同士が全くの赤の他人というケースは稀で、何かしらの関係性があるものです。

そのため、他の共有者に内緒で持分を売ってしまったら、後々遺恨を残しかねない結果になるかもしれません。

持分のみを購入した相手は、何のために購入するのかを考えれば、尚更です。

共有持分のみの購入目的は?

 普通の方は不動産の共有持分のみを購入することはありません。

専門知識を持った者が利益を得るために購入する以外、ほぼ無いに等しいからです。

では、共有持分のみの購入者は、具体的にどの様な行動を起こすのか?

1.他の共有者へ売却する

2.他の共有者の持分を買取る

 まずは、上記1.2のどちらかで検討することになります。

1.他の共有者へ売却する

 一旦購入した共有持分を他の共有者へ売却します。もちろん、買った金額そのままに売ることはありません。

当然、経費も掛かるため価格は上乗せされます。

2.他の共有者の持分を買取る

 他の共有者の持分を買取り、共有状態を解消してから一般的な不動産市場での価格で売却します。

1.2どちらについてもシンプルで転売ビジネスの一つです。

この時点で分かるように、いくら他の共有者に内緒で持分を売却しても、購入者は他の共有者へ接触し、売却又は買取の交渉を行いますので、必ず持分売却の事実は判明してしまいます。

他の共有者が身内だった場合、トラブルの基となり関係修復が容易ではないのは御想像にお任せします。

売却や買取の交渉が不調に終わったら?

 持分のみの購入者は、他の共有者へ売却又は買取の交渉を行うと、説明しましたが、そんな簡単に話が進むの? と疑問を持つ方もいるでしょう。

その通り、一筋縄ではいかないのが現実です。

しかし、先の説明で共有持分の購入者は専門知識を持った者と付け加えたのは、共有者同士の話し合いが不調に終われば、その後の対処法があります。

その方法をひとことで言えば裁判に打って出ること。

共有物分割の請求を裁判で決着させる

 共有の不動産に限らず、共有物を一括で売却するには他の共有者の同意が必要になります。当たり前と言えばそれまでですが、必ずしも意見が一致しないこともあります。

そのため、共有者は他の共有者へ、いつでも共有物の分割請求を行うことができます。

簡単に説明しますと裁判所は以下の3つから現状に適した判決を下します。

A.現物分割

B.競売

C.価格賠償

A.現物分割

 文字通りで現物を分割です。不動産の場合、物理的に不可能なこともあり、また、分割したことにより資産価値が落ちる可能性もありますので、ほぼ無いと言って差し支えないでしょう。

B.競売

 共有者全員の持分を一括で競売に掛け、落札代金が持分に応じて配分されます。

C.価格賠償

 他の共有者の持分を金銭で買取り、共有状態を解消させます。もちろん当事者が買取を希望し、現実に金銭の支払いが可能であれば、裁判所もこの様な結論に至る可能性も高くなります。

持分のみの売却が内緒のままでは済まない

 いづれにしても、他の共有者に内緒で不動産の持分のみを売却した場合、秘密にしたままの状態が続くわけではありません。

そして、他の共有者は、見ず知らずの共有者と称する者から、ある日突然、持分の売却又は買取を持ち掛けられ困惑してしまいます。

しかも、話合いで解決しなければ、共有者に対して裁判も辞さない考えで臨んでくることも忘れてはなりません。

持分売却の前にすること

 相談者のように兄に内緒でお金を借りてしまった場合でも、共有である以上、他の共有者へは事前に状況の説明を行うことが最優先です。

滞納が続けば金融機関も持分のみの競売へ移行しますので、あまり時間的な余裕はありません。

他の共有者に協力要請

 可能であれば、他の共有者に資金的な協力を得られれば一番ですが、なかなか難しいものです。

そのため、次に挙げる2点を順に検討しましょう。

1.自身の共有持分を他の共有者に購入してもらう

2.他の共有者と一括で売却

 そして、共有者と相談しても上記のような解決策が見出されないとなれば、いよいよ持分のみの売却を検討する時期となりますので、行動に移すなら早急な判断が求められます。

当事務所でも、他の共有者と一括売却、持分のみの売却、どちらも相談可能です。

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