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逃げた債務者の探し方!サービサーや金融機関はどうやって見付けるの?
任意売却は無事終了しても、残った住宅ローン(残債)をどうするか?
本当に悩んでいる方も多いと思います。
また、残債のことを考え、任意売却の前に自己破産を検討したりと、不安は尽きず逃げたいと考えるかもしれません。
気になるのは、任意売却後に無担保になった住宅ローンの残債をサービサー等の金融機関(以下、債権者)が回収する際、債務者が音信不通で転居してしまったら、どうやって見付けているのでしょうか?
過去に債権回収の現場に携わっていた筆者が「逃げた債務者の探し方」を詳しく解説します。
住宅ローンを含む不動産担保ローンの返済ができなくなり、任意売却を検討する方が残債の対処で、逃げ回ることは絶対にやめて欲しいとの思いを伝えたくて書いた記事です。
逃げた債務者は住民票の取得で探す
任意売却するためには引っ越しますが、そのときは債権者に引っ越し先や連絡先を伝えなければなりません。
しかし、その次は何も告げずに引っ越してしまい、携帯電話にも出なくなると、連絡手段が断たれてしまいます。
完全に音信不通となり、これでは債権者も困ってしまいます・・・
では、どうやって債権者は、次の引っ越し先を突き止めるのでしょうか?
実は、債権者には債務者の住民票を取得することが認められ、いとも簡単に新住所を突き止めることができます。
債権者は債務者の住民票を取得できる
住民票には新住所が記載
通常、引っ越しをすると「旧住所の役所で転出手続き」次に「新住所の役所で転入手続き」という流れになります。
最近ではマイナンバーカードを利用して、一部の手続きを省略できる地方自治体もあります。
旧住所の住民票には、転出先として新住所が記載され、住民登録が無くなっても、役所の保存期間内であれば、記録が残っています。
従って、債務者と連絡が取れなくなり、債権者が住民票を取得、転出されていれば、転出先の新住所の市町村で、再度、住民票を取得、転出が無ければ、そこが現在の住所となります。
何度、引っ越しても役所に届ける限り、債権者は簡単に探せます。
しかも、この作業は郵送で出来るので、どこに引っ越しても国内であれば関係ありません。
債権者は郵送で住民票を取得
無届けで転居すると
債権者に追われるならば、引っ越しても住民票の届出をしなければと、安易に考える方もいるかもしれません!?
しかし、住民票上の住所には債権者からの請求書だけが届く訳ではありません。
役所からも住民登録があれば、郵便物が届きます。
その郵便物が転居済みで戻ってきてしまうと、役所はどうするでしょうか?
郵便物が届かないとなれば、住んでいないと考えるのが自然で、役所の職務権限により、住民登録を削除してしまいます。
そのため、住民票には「職権消除」と記載され、日本全国どこにも住民登録のない人になってしまいます。
筆者も実際にこのような「職権消除」と記載された住民票は、数多く目にしてきました。
勝手な憶測ですが、債権者から追われることを避け「あえて現住所を役所に届けていないのでは?」と思っていました。
住民票上の住所がない生活がスタート
職権消除になると
住民登録が無くても困らないのでは? と考えたくもなります。
しかし、一般的な会社勤めは、まず難しいでしょう。
では、アルバイトで生計を立てている方はどうでしょうか?
問題になるのは、病気やケガで治療が必要なとき、国民健康保険が使えないことです。
恐らく、体調に異変感じても、病院へ行くことができないでしょう。
健康保険が無ければ医療費は「全額自己負担」となってしまいます。
日本は、国民皆保険制度の国です。
しかし、住民登録が無ければ、国民健康保険の加入もできない、大きな犠牲を払わなければならないのです。
普通の生活を送る上で、債権者から逃げ回るには、相当な覚悟が必要になります。
確かなことは言えませんが、ホームレスの方には、この様な状態で生活を続けている人も多いのではと思います。
国民健康保険も未加入での生活
時効の完成も簡単ではない
住民登録の無い、隠れた生活を続けると、一つだけメリット?? があります。
それは、住民登録に関係なく、時効が進むことです。
時効についての詳細は割愛させて頂きますが、最終支払日から民間金融機関であれば5年、公的な金融機関であれば10年です。
職権消除でも時効は進むが・・・
ただし、何事もなく時効期間が完成すればの話です・・・
債務者が行方をくらましても債権者は、ただ指をくわえて待っているだけではありません。
時効を中断するため、裁判所に提訴することも可能です。
時効は中断できる
債務者がどこに住んでいるか分からず、訴状が届かなくても「公示送達」という方法で裁判を進めることができます。
時効期間の完成まで、行方をくらました生活を続けても、実際は時効が完成していないことも考えられます。
それは、裁判所の判決(債務名義の取得)があると、そこから10年間は時効が完成しないからです。
つまり、時効の完成を目的に5年、10年も隠れた生活を続けても、債権者の出方次第では、確実に時効が完成し、残債が消滅する訳ではありません。
むしろ、任意売却後すぐに自己破産を検討すれば良かったと、後悔するかもしれません。
債権者も時効を中断する術がある
借金踏み倒しのよくあるパターン
任意売却後の残債のように、無担保の借金は取られる財産の無い方がほとんどなので、開き直ってしまう人が多いのも事実です。
よくあるのは、請求書を送ると『債務者本人は出て行って、どこに居るか分からないから請求しないで下さい』と、家族が伝えてくるケースです。
本当かどうかを判断するのは難しいのですが、もし、本当ならば家族が一つしなければならないことがあります。
郵便物は送り主に連絡するのではなく、郵便局に『宛名の人間は出て行ったので、もう居ません』と伝えることです。
そうすると、郵便物はすべて郵便局が送り返してくれますので、1度の手間で済みます。
でも、そうはしない理由があります。
何故、郵便局には『宛名の人間は出て行ったので、もう居ません』と伝えないのか?
郵便局が送り返すと役所からの郵便物、その他必要な郵便物も、すべて同様に返します。
本人が居ないから当然ですが、送り返されると困る郵便物もあるからです。
郵便物が届けば債権者も怪しむ
借金から逃れるために家族が協力
連絡先も居所も分からなければ、郵便物も受取る必要はありません。
ところが、実際は郵便物が届かないと困ってしまいます。
例えば、コロナウイルスのワクチン接種券などは記憶に新しいことでしょう。
住民票上の住所がなければ、届くことはありません。
都合の良いものは受取って、都合の悪いものは送り主に対して『本人は出て行って、どこに居るか分からない』と伝えてくるのです。
そうすることで、住民票も削除されずに済みます。
しかし、債権者にしてみればバレバレで、住民票の住所に請求書を送っているだけなので、迷惑ならば郵便物が届かないようにすれば済むのです。
現実には住民票も無くなってしまうと困るため、『本人は出て行って、どこに居るか分からない』と債権者からの請求を逃れるために、家族に協力させてしまうのです。
そこまでして、借金から逃げ回りたければ、やはり、自己破産の道を選ぶのも家族に迷惑を掛けなくて済む方法の一つです。
自己破産で家族も救われる
住所不定は続けられない
借金から逃げ回るため、住民票上の住所がない生活は、健康ならば続けられるかもしれません。
しかし、ケガや病気の際も病院に行くことも、ほぼ不可能でしょう。
やがて年を取り、病院のお世話にならざるを得ないときが来れば、必ず住民登録が必要となります。
そして、同時に起こることは、今まで音信不通となっていた債権者が一気に押し掛けてきます。
結果的に、後回しにしてきたツケが回ってきます。
借金の後回しは賢い選択とは言い難い
債権者とは向き合う
住宅ローンの貸し手は事業で行っています、借り手が潰れることは貸し手の事業が失敗したことでもあります。
任意売却を決断したことは、誠意ある対応の証で債権者が保証会社であれば保証料も払っています。
十分な対策をしたうえで、返済が困難になったのですから、後ろめたい気持ちを持つ必要はありません。
また、サービサーに関しても返済能力が乏しいことを承知で、無担保となった不良債権を購入しています。
任意売却後の残債は、債権者としっかり向き合い、無理しない範囲で返済の意思を伝えることが重要で、生活を犠牲にする必要はありません。
そして、本当に返済する余裕が無ければ、しっかりと伝え、それから対応を考えても遅くはありません。
任意売却後の残債は現状を踏まえて対処