任意売却したいけど連帯債務者と連帯保証人の違いは?注意点も解説!

 任意売却と連帯保証人の関係については、多くの情報が出ておりますが連帯債務者については意外に少ないかもしれません。

任意売却の際の連帯債務者について情報が少ないと、もしかしたら任意売却が難しいのではと考えてしまったり、当事者としては、とても心配になると思います。

任意売却を決断するだけでも大変なことですが、連帯債務者や連帯保証人の存在も任意売却に大きく影響してくるのも事実です。

まずは連帯債務者と連帯保証人の違いについて理解し、後悔しないためにも適切な準備で任意売却に臨みましょう。

目次

連帯保証人と連帯債務者

 住宅ローンの申込みで夫の収入だけでは信用力が足りず、妻も働いているため収入を合算するなど、夫婦二人で協力して住宅ローンを組んだケースで解説していきます。

その際、妻は金融機関によって連帯保証人、連帯債務者のどちらかになります。

連帯保証人、もしくは連帯債務者になるかは住宅ローンの担保となる自宅を夫婦共有名義にするなど、金融機関の方針によっても異なり、借手側が選べることは通常ありません。

信用力不足のため連帯保証人・連帯債務者が求められる

連帯保証人とは

連帯保証人のイメージ

 夫(A)が主たる債務者で住宅ローンを借りた本人、妻(B)は銀行に対し、夫(A)の連帯保証人になります。

夫(A)が延滞すれば妻(B)は銀行から請求さます。

すでに離婚等で別々に生活していて、夫(A)が他に財産を持っているのにもかかわらず、金融機関から返済を求められた場合でも、妻(B)はこれを拒否することはできません。

※ 難しい言葉ですが連帯保証人には抗弁権というものがないのが理由です。

金融機関としては夫(A)が延滞しているので、すぐにでも妻(B)に対して返済を求めることが可能です。

夫が延滞すれば妻に即請求が可能!

連帯債務者とは

連帯債務者のイメージ

 金融機関から見た夫(C)と妻(D)の関係性は、同列の連帯債務者でも夫(C)を主たる債務者、妻(D)は従たる債務者となりますが、延滞が発生すれば、どちらも住宅ローンを借りた本人と同様に請求されます。

夫が1,000万円借りたら、妻も同じく1,000万円借りたことになりますが、総額は1,000万円(夫婦で2,000万円とはなりません)

金融機関は延滞の有無にかかわらず、どちらにも請求が可能(理屈上)。

例えば、金融機関が夫(C)に請求しようとして、間違って連帯債務者の妻(D)に請求しても問題ありません。

連帯債務者は言葉通りで、互いに連帯して債務を負っている状態であり、金融機関から見ても夫(C)と妻(D)どちらも同列の借手となります。

夫も妻も金融機関から見れば同じ債務者(借手)

住宅ローンの延滞が始まれば同じ

 先の解説でもありましたが連帯保証人、又は連帯債務者のどちらであっても上記のケースに当てはめると、夫が住宅ローンを延滞してしまえば、妻が返済の責任を負っていますので、ほとんど違いはないと言えます。

連帯保証人も連帯債務者も、一度引き受けてしまえば借金が完済するまで、その責任が付いて回ります。

金融機関の請求の度合いも連帯保証人だから控えめ、連帯債務者だから厳しいなど、特にそのような差もありません。

延滞すれば連帯債務者・連帯保証人の違いはほぼ無い

連帯債務者も任意売却は可能だが同意は必須

 連帯債務者・連帯保証人どちらも大差ないことは既に説明しました。

延滞が始まれば、連帯債務者・連帯保証人の責任にほぼ違いが無いため、肝心の任意売却時の対応についても特に差はありません。

ただし、連帯債務者がいる場合の任意売却も連帯保証人の場合と同様に連帯債務者の同意が必要になる点は注意しましょう。

解説事例に当てはめれば、夫婦二人で同等に背負っている住宅ローンならば、連帯債務者の両者が同意して任意売却するのは当然のことと言えるでしょう。

言い換えれば、連帯債務者が同意しなければ、任意売却は不可能となります。

離婚で別居している元夫婦でも任意売却の際は、必ず両者で同意して進める必要がありますので、例え延滞が無くても返済中であれば年に一度くらいは、お互い返済状況の確認はしておくべきです。

連帯債務者の同意が無ければ任意売却は不可!

連帯債務者に内緒で任意売却はできない

 連帯債務者は金融機関から見れば同列ですが、メインの借手となる主たる債務者と従たる債務者になることは、先に記載しました。

また、すぐ上の項では連帯債務者の同意が無ければ任意売却はできないとも書きました。

なぜ、繰り返して説明する必要があるのか疑問に思う方もいると思います。

この点については当事務所へ連帯債務者との調整ができずに相談される方も多く、連帯債務者(連帯保証人も含む)が他の連帯債務者に内緒で任意売却がしたいとの要望があるからです。

しかし、任意売却は債権者(金融機関)が認めなければ進めることができず、その条件として必ず他の連帯債務者や連帯保証人の同意は求められます。

他の連帯債務者に内緒で任意売却は不可能!

連帯債務者の同意が得られない理由

 任意売却を希望しているが『他の連帯債務者や連帯保証人が同意してくれない・・・』

この様なケースは、どうすればいいのか? 更に悩みも深くなります。

また、任意売却は時間的な制約もあり、他の連帯債務者と交渉途中で残念ながら競売へ移行してしまうこともあります。

最悪の事態であることは間違いありませんが、なぜ、他の連帯債務者や連帯保証人が同意してくれないかを紐解いていくと大抵の場合、夫婦が離婚してしまい疎遠になっている方の確立が高い傾向にあります。

つまり、住宅ローンの問題を解決しないまま離婚してしまい、その後もお互いに返済状況の確認も怠っていたため、あとあと大きなトラブルに発展するといった流れです。

連帯債務者同士の疎遠が原因

連帯債務者の同意が得られないとき

 連帯債務者や連帯保証人の同意が得られず、任意売却が進められない場合はどうすればいいのか?

これといった有効な対策はありませんが、一旦こじれてしまった関係を修復するのは簡単ではありません。

その場合、当事者同士では感情的になることもありますが、第三者を間に入れて話を進めるのも一つの方法です。

当事務所ではご要望があれば、同意が得られない連帯債務者との交渉についても対応しております。

任意売却について悩みや不安があれば、お気軽にご相談ください、しつこい営業などは一切ありません。

経験豊富な専門家の手を借りる!

この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。最近では特に自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談が数多く寄せられ、お金と不動産の専門家、FP宅建士として難易度の高い任意売却に精通し、不動産に関わるお金の悩みの解決に取組んでいます。

目次