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任意売却を諦めかけた理由は低い査定価格

任意売却について少し理解が深まると、対象となる不動産がいくらで売れるのか?
非常に大きなポイントになることが分かります。
マンションであれば、別の部屋の販売チラシなどを目にして、ある程度の予想価格を把握している方もおります。
それでも、任意売却を検討していれば、不動産業者に査定依頼をして価格を知る方がほとんどでしょう。
ところが、不動産業者の査定価格にも思惑があり、そのまま鵜呑みにしてしまっては、任意売却の障害になりかねません。
この記事は、不動産の一括査定サイトとは真逆で「査定価格が低すぎて任意売却を諦めていた方」の相談事例をご紹介します。
そして、「相談者の任意売却が成立した経緯」も任意売却に携わるFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。
任意売却が不安で悩んでいる方は、是非参考にしてください。
査定価格が低すぎて債権者が任意売却を拒否
当事務所へ、かなり切羽詰まった状態で相談された方(以下、Aさん)がいました。
Aさんは、自宅を担保にノンバンク2社からの借入れがある多重債務者でした。
返済も完全にストップし、半年ほど経過とのこと。
1番抵当のノンバンクからは、競売の申立てはすぐにできるが、任意売却を提案されていました。
債権者から任意売却をすすめられた!
そこでAさんは「地元の不動産業者に査定」を依頼したのです。
Aさんが、その査定結果を1番抵当のノンバンクへ報告すると、その販売価格では「任意売却はできません」と一蹴されてしまいました。
その後、Aさんは任意売却をなかば諦めていました・・・
しかし、ネットで当事務所のサイトを目にして「ひょっとしたら!?」との期待も込めての相談となりました。
サイトを目にして任意売却の道が開けた!

金融機関も驚いた自社評価額との開き
地元業者の査定価格は、Aさん自身も安すぎないかと思うほどの価格で、1番抵当のノンバンクが任意売却を断るのも良く分かりました。
1番抵当のノンバンクはおろか、2番抵当のノンバンクですらハンコ代となってしまう査定価格のため、そもそも任意売却が成立する見込みは無かったからです。

また、1番抵当のノンバンクも自社の評価では、もっと高値で売却できるため、競売でも損は無いと容易に判断できます。
その点、当事務所の査定では、1番抵当のノンバンクは元金と遅延損害金も含め満額回収可能です。
2番抵当のノンバンクは元金全額までには及ばないものの、それなりの回収額が予想できました。
以下をご覧ください。
< 相談者の状況と査定価格の比較 >
- お住まい:一戸建て
- 残 債:1,600万円
1番抵当のノンバンク
1,000万円(元金+遅延損害金)
2番抵当のノンバンク
600万円(元金+遅延損害金) - 役所の差押え 40万円
- 地元業者の査定価格 1,000万円
- 当事務所の査定価格 1,500万円
なんと! 500万円もの開きです。
3,000万円の査定価格が別の業者は2,500万円であれば、まだ分かります。
しかし、1,500万円が1,000万円では、まとまる話も壊れてしまいます。
なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか!?
驚くほどの開きがある査定価格

査定価格は不動産業者の都合により変動する
もともと、不動産業者の査定価格は安くなる傾向があります。
ただし、不動産の一括査定サイトに関しては、不動産業者同士の競争原理が働くため、査定価格が高くなる傾向があります。

なぜ、査定価格は安くなる傾向があるのか?
ひとことで言えば『安い方が売りやすい!』からです。
しかも、安ければ自社の手持ち客に直接紹介し、簡単に売買が成立する可能性もあります。
そうなると売主・買主双方から仲介手数料を受取れるため、願ったり叶ったりなのです。
また、最近では不動産のポータルサイトに掲載すれば、直接買手を見付けることも容易になりました。
安く買取ってしまえば、右から左に転売も可能!
この相場感のズレた安い査定価格について、任意売却でなければ金融機関の承諾は必要ありません。
売主さえ納得すれば済んでしまう話です。
Aさんは地元の不動産業者に査定依頼をしましたが、そもそも地元の不動産業者は任意売却についての知識不足だったのです。
その結果、招いたのが自社に好都合な査定価格で任意売却を拒否されてしまいました。
任意売却に相場ズレした安値は無意味!
任意売却業者の査定価格は成約につながる適正価格
任意売却に精通する業者であれば、不動産業者の都合で出された安値の査定価格など、「金融機関から一蹴されてしまう」のは百も承知です。
相談者にとっても時間の無駄となり、任意売却を進める上でのデメリットでしかありません。
任意売却での安値は、金融機関の回収額が減り、損失を拡大させてしまうため成立させるのは困難です。
一般的な不動産業者の査定価格では、思惑はあっても不動産業者側の都合でしかないため、金融機関には通用しません。
あっさり断られるのがおち!
そのため、任意売却に精通する業者の査定価格は、「高値過ぎずスピード感を持って売却できる価格」を導き出します。
また、そうでなければ競売も隣り合わせのため、無駄な時間を掛けてしまうと、任意売却そのものが危うくなります。
この点は重要で、先ほどは低すぎる査定価格でしたが、逆に高過ぎても売れるものも売れず、任意売却は時間切れとなってしまいます。
一括査定でありがちな、思いもよらない高額の査定は、注意しなければならず、もちろん思惑があるから高値となります。
任意売却を検討しているならば、任意売却の専門知識を有する業者に相談し、価格査定をしてもらうのが自然な流れです。
任意売却の査定は専門知識を有する業者へ

任意売却を間違った認識で進める不動産業者もいる
Aさんが最初に査定依頼した不動産業者は、あり得ないほど低い査定価格でした。
「不動産業者の査定価格は安くなる傾向がある」と先に書きましたが、その他にも実は理由があります。
もともと、Aさんは1番抵当のノンバンクすすめで任意売却を決断しました。
ここからは筆者の推測でしかありませんが、査定を依頼された地元の不動産業者は「任意売却と認識した上で、あえて低い査定価格を提示した」のではないかと思います。
その理由は、「任意売却となる不動産は安くたたいて買取れる」という間違った認識を持っている不動産業者も存在するからです。
任意売却となる不動産は、言ってしまえば競売の一歩手前でもあります。
昔であれば、そのような認識で買いたたいて安値で買取るような取引もありました。
しかし、それは過去の話しで少なくとも「リーマンショックよりも更に前の話し」となります。
ただし、未だに過去の幻想を引きずっている不動産業者がいるのも事実です。
その結果、金融機関にも相手にされない査定価格を出してしまったと推測します。
言うなれば、任意売却を依頼すべきでない不動産業者の見本です。
それ故に、任意売却は専門知識を有する業者へ依頼するのが、金融機関も依頼者にとってもベストな選択となります。
任意売却で安く買取れるは過去の幻想

相談者の任意売却はどうなった?
最終的には、当事務所の査定価格(1,500万円)に少しプラスした価格で任意売却の買手が見付かりました。
1番抵当のノンバンクに関しては満額回収できるので、時間的な猶予をもらう交渉のみ。
そして2番抵当のノンバンクとは、実はすんなりと話が進みませんでした。
しかし、競売時の回収価格のシュミレーション等も示し、交渉を重ねた結果、ようやく任意売却に応じてもらえる運びとなりました。
任意売却の買手が現れたとき、2番抵当のノンバンクが当初の回収額に難色を示しました。
そこで、競売時の落札予想価格を踏まえ、競売と任意売却で回収額の比較をシュミレーションし示しました。
※ 普通の不動産業者がしないことも、任意売却成立のため動いているのです。
また、任意売却の大きな障害となる、役所の差押えは2番抵当のノンバンクが最終的に折れてくれたことで、滞納分を全額納付が可能となり、問題なく解除の見通しも付きました。
更に付け加えるならば、Aさんについては経済的にかなり深刻な状況でした。
そこで、任意売却の買手と2番抵当のノンバンクには、更に「ある条件」を付けて任意売却の交渉を進めていました。
任意売却のある条件とは?
任意売却で提示した2つの条件
ある条件とは、具体的には以下の2つです。
〈任意売却2つの条件〉
- 引越し費用の捻出
- 3日間の引渡し猶予
順番に説明します。
1.引越し費用の捻出
Aさんは経済的に困窮した上での任意売却です。
そのため、自宅を任意売却した後は、行く当てもありません。
また、新たな部屋を借りるだけの費用すら、持ち合わせていませんでした。
そこで、今回任意売却に臨むためには「引越し費用を任意売却と同時に捻出」する必要があったのです。
2番抵当のノンバンクには、引越し費用をAさんに残すことを絶対条件に交渉を進めていました。
もちろん、簡単ではありませんでしたが、結果的に2番抵当のノンバンクはAさんに引越し費用として「30万円」を残してくれました。
この任意売却時の引越し費用については、以前は当たり前のような話でもありました。
しかし、現在では認めてくれる債権者は少なく、ほぼ無いものと考えて頂いて構いません。
なぜ2番抵当のノンバンクは引越し費用認めてくれた?
2番抵当はノンバンクに違いないのですが、地場で金融業を営む規模の小さい会社でした。
担当したのも社長さんで物分かりもよく、Aさんの状況を理解すれば致し方ないと納得してくれたのです。
結局、2番抵当のノンバンクは「役所の差押え」に「引越し費用」と任意売却に最大限協力してくれました。
社長さんには、本当に感謝です。
任意売却で引越し費用は期待できない
2.3日間の引渡し猶予
2番抵当のノンバンクのご厚意で「引越し費用の工面」はできました。
ただし、肝心の引越し費用は、任意売却が済んだのと同時でなければ、受取ることができません。
しかし、Aさんには引越し費用を受取らなければ、部屋を借りる余裕すらありません。
そのため、2番目の条件として任意売却の取引で金銭のやり取りと不動産の名義は買手に変更し、建物のみ「3日間の引渡し猶予」をお願いしました。
こればかりは、任意売却の買手にお願いし認めてもらう必要があります。
そして、Aさんには定められた3日以内に、新たな部屋の契約を済ませ引っ越してもらいました。
最後まで、慌ただしい任意売却となりましたが、無事に買手へ引き渡すことで終了することができました。
任意売却業者が取引最後まで見届ける

任意売却が成立した要因は?
相談者のAさんは、査定価格が低すぎて金融機関に任売売却を断られてしまい、諦めかけていました。
しかし、何かのきっかけで当事務所のサイトを見て連絡してきました。
この諦めずに行動できたことが、最終的には結果につながったのは間違いありません。
そして、1番抵当、2番抵当のノンバンク2社、更には買手となった個人の方も任意売却の取引であることを理解して協力してくれました。
1者でも欠ければ任意売却は成立しないため、皆が同じ方向に向かって動いた結果であることは言うまでもありません。
そして、任意売却を進める上で大切なのは、やはりAさんのように諦めないことです。
任意売却はダメと決まるまで諦めない