未公開の投資用不動産が紹介される本当の理由とは?

 景気が上向くと、株式と同様に投資用不動産も盛んに売買されますが、令和5年に入り経済の先行きが何となく不安定な状況であるのは否めません。

それでも、投資用不動産の動きはアパートやワンルームマンションも含め、まだまだ活発に取引されております。

不動産投資が気になりだすと、初めは誰でも見られるサイトに目を通しますが、優良な投資物件は極めて少ないと感じたと思います。

興味がある方は不動産投資セミナーに参加したり、専門サイトに会員登録したりと投資物件探しに精を出していることでしょう。

何はともあれ、投資用不動産を紹介してくれる不動産業者と巡り合わなければ、何事も始まりません。

愛嬌もあり礼儀正しい不動産業者の営業マンと親しくなってくると『〇〇さんにピッタリの未公開物件があります。』と声を掛けられ、コッソリ紹介されたことはありませんか?

どこにも紹介されていない未公開の投資用不動産の情報は、特別な感じがするけど実際にお得なのか? という疑問が出てきます。

まずは、そうとも言えないということを不動産投資家の方には知ってもらいたいと思います。

そのうえで、なぜ未公開の投資用不動産が紹介される理由を解説していきます。

未公開の情報でもお得とは言い切れない

目次

未公開物件の情報は3パターン

  1. 本当の優良情報
  2. 未公開の自社物件の紹介
  3. 売却依頼をされて間もないから未公開

 不動産投資家が欲しい情報は上記1.の本当の優良情報ですが、この情報が真っ先に提供されることは、ほぼありません。

しかしながら、3.の売却依頼をされて間もない物件であれば、優良情報に近い可能性もありますので検討する価値はあります。

ただし、未公開物件と聞いて惑わされないように注意しましょう。

未公開物件は優良情報なのかを見極める

 どんな情報でも1番最初に入手できることは有利ですが、その情報が優良な情報なのかは別問題となります。

確かなのは誰よりも先に、購入するか否かの判断ができるのはメリットにはなります。

しかし、不動産業者が購入して間もない物件であれば、転売目的で購入されています。

いくら未公開の情報でも一度不動産業者が購入した場合、商売のために購入しているので、あえて安く売る必要もありません。

きちんと利益を見込み、不動産投資家がローンを利用して購入できる程度の価格で再販売されています。

その結果、販売価格については相場となりますので、決して優良情報とは言えないでしょう。

不動産に限らず、多少でも株式投資について興味がある方は『優良な未公開株があります』なんて言われると、つい気になってしまうのと同じかもしれません。

おいしい話に聞こえるかもしれませんが、おいしい話を他人に持ってくるものか??

冷静に考えれば、それなりの理由があるからだと納得できると思います。

赤の他人の『いい話』は『損する話』

価格面で有利でない未公開物件の情報を紹介する理由

 特に割安感もない投資用不動産の情報をなぜ紹介してくれるのでしょうか?

理由は簡単で、以前にも投資物件を購入した、または不動産投資に興味があり、実際にローンを組んで購入することが可能な人だからです。

ただ、それだけです。

営業マンから見れば、頑張って投資物件を売る見込み客として選ばれているからです。

勤め先や勤続年数、年収や預貯金、すべての情報を営業マンに委ねています。

借入総額はいくらまで可能か? 

もう既に判断できているため幸か不幸かターゲットになっております。

ピッタリなのは、あなたがローンを組んで購入させるにはピッタリな(投資)物件だからです。

紹介理由はローンが組めるから

不動産の売却情報は川上から川下へ

 不動産投資をする上で、切っても切れない関係となるのが投資用不動産を紹介してくれる不動産業者の存在です。

それでは、投資用不動産の売却情報はどのように投資家の元へ届くのか考えてみたことはありますか?

優良な不動産(投資用も含む)の売却情報は数億円~上の価格であれば、そのほとんどが信託銀行や銀行の不動産部が扱うことが多く、大手の名の付く不動産仲介業者でさえも情報は流れてきません。

それこそ情報は世に出回らないまま、買手も決まります。

雲の上のような物件情報ですが価格も数億円より上としましたが数十億レベルもざらでしょう。

もともと、副業でスタートし資産形成を目指している方では購入できる投資用不動産ではありません。

それでは、サラリーマンや社会的地位の高い方が購入できる手頃な投資用不動産の情報は、どのようにもたらされるのでしょうか?

やはり、売手がいるから売却情報として出回ることになります。

一番初めにその情報を手にするのは、投資用不動産の所有者が売却の依頼をした不動産業者となります。

この売却情報が、いわば川上の情報となり売却価格次第では優良情報となります。

川上の優良情報であれば、投資家はノドから手が出るほど欲しい情報なのは間違いありません。

優良情報ほど水面下で取引される

優良情報の紹介順序

 優良情報を一番に手にした不動産業者は、その情報をもとに次のように行動します。

基本的に下の4つになります。

  1. 自社で購入(買取)
  2. 他の不動産業者へ紹介(仲介)
  3. 上の2が不可なら不動産投資家へ紹介(仲介)
  4. 情報の一般公開(仲介)

あれ?? 懇意にしている投資家へ真っ先に紹介してくれると考えたくもなりますが、現実は全く違います。

1.自社で購入(買取)

 まず不動産業者は自社での購入(買取)を検討します。

自社で購入し、投資家へ転売できるかどうか判断されます。

自社で購入すれば、当然ですが価格は上乗せされて投資家へ紹介されます。

手持ちの投資家へいったん購入後に未公開物件として、紹介してくれる可能性もありますが優良情報とまではいきません。

売手にとっても売却依頼をしようと相談した不動産業者に直接買取ってもらえれば、仲介手数料も不要なため、お得感があるかもしれません。

しかし、それは買取ってもらう金額次第であることは付け加えておきます。

2.他の不動産業者へ紹介(仲介)

 不動産業者にもよりますが、直接購入はしないで仲介のみを行う不動産業者も多いため、この場合は不動産投資家へ紹介してもらえるかも?? とやはり考えがちですが、それも違います。

懇意にしている不動産投資家よりも、懇意にしている不動産業者へ紹介されてしまいます。

3.不動産投資家へ紹介(仲介)

  1.2.を経てやっとここで投資家へ紹介する順番となりました。

売却を依頼された不動産業者、懇意にしている不動産業者のどこも買わない物件が投資家の元へ回ってきます

もう少し掘り下げてみると不動産業者が買取るには価格が高いけど、一般の不動産投資家が購入するにはお得感のある価格の場合は検討の価値ありとなります。

これが現実で不動産の投資家へは川上の情報が真っ先に届くことは、通常はありません。

不動産投資家は不動産業者の後

4.情報の一般公開(仲介)

 上記1.2.3.の順で買手が決まらなければ、日本全国すべての不動産業者に対して情報公開をします。

この時点で、未公開情報ではなくなり、売却物件の情報として誰でも知ることができます。

インターネットで同じ物件が複数の不動産業者から紹介されているのは、情報が一般公開されているからです。

不動産投資家への紹介が後回しになる理由は、次の項で説明していきます。

優良情報は水面下で不動産業者へ

 なぜ、懇意にしている不動産投資家へ優良な情報が不動産業者より先に紹介してもらえないのか?

その理由は簡単です。

不動産投資家へ紹介して購入してもらうには、金融機関の融資に関する停止条件(ローン特約)を付けて売買契約を締結します。

万が一、金融機関から融資の承認が下りなかった場合、せっかくの売買契約は白紙になります。

その点、不動産業者が購入する場合は、そのような特約も無くローンの心配も無いまま売買できてしまいます。

買手が不動産業者の場合、購入後そのまま保有もあり得ますが、転売して利益が見込めるかも試算すれば購入可否の判断も素早く出ます。

一般の投資家へ紹介するより不動産業者へ紹介して売買契約を成立させるのが、仲介する不動産業者にとって手間も時間も少なくて済みます。

更に購入した不動産業者が、その後、不動産投資家へ転売する際には優先して紹介させてもらえる場合もあり、1つの不動産で2回仲介できるケースもあり、その仲介手数料だけを考えても相当な金額を手にすることができます。

川上の優良な情報(高利回りで転売も可能)は不動産業者が購入し、そうでない物件が一般の不動産投資家や業績好調な中小企業の経営者などに情報提供されていきます。

購入後のトラブル対応能力も見ている

 投資用不動産の買手として、手持ちの顧客よりも同業者である不動産業者へ優良情報を優先して提供するのは、実はもう一つ大きな要因があります。

何事においても同じかもしれませんが、不動産取引にも不測の事態がおきます。

簡単に言えばトラブル発生時の対応です。

仲介をした不動産業者に余程の不手際でもない限り、買手の不動産業者はトラブルを自社にて対処しますので、後々クレームが発生するようなことはありません。

それに対してケースバイケースではありますが、一般の不動産投資家は些細なことでもクレームが発生し、事後処理に追われてしまう場合もあります。

この違いはプロとセミプロの違いであり、よりトラブルを回避するならば不動産のプロである不動産業者を選んでしまうのは致し方ありません。

  • 不動産業者  → 不動産のプロ
  • 不動産投資家 → 不動産のセミプロ

 この違いを乗り越えるには、不動産投資家が取引を重ね、多少のトラブルは自身で対処できる頼もしい投資家として見てもらえるようでなければ難しいかもしれません。

副業の不動産投資はハイリスク

 投資物件を購入できることと、長年に渡ってキャッシュフローを生み出すことは全く別の話しです。

建物は年々劣化しメンテナンスに注意していなければ不具合も発生します。

常に家賃の低下や空室のリスクは付き物です、ローンがある以上は家賃を下げるにも限界があります。

問題は、ここにあります。

副業としてはハイリスクとしているのは、購入価格の大部分を金融機関の融資に頼っている方が非常に多いからです。

家賃の低下やメンテナンス費用の捻出が思うようにできずにローンの返済が苦しくなったとき、想像もしていない不安に悩まされることになります。

当然ながら不動産投資から撤退し、早く悩みから解放されることを望みます。

しかし、投資用不動産を手放すには、売却と同時にローンも完済しなければなりません。

ローン残高以上で買手がいれば、ほっと胸をなでおろすことができますが、ここ数年で購入された方の場合、かなり難しいのではと考えさせらてしまいます。

人口減少社会で果たして10年後もキャッシュフローを生み出すような投資物件なのでしょうか?

いざ売りたくなって残りのローンを完済できるなら、まだ救いはありますが、無理ならば不足分はどうするのでしょう・・・

不動産投資は始めるよりも撤退が困難

投資用不動産の返済に悩む相談者が増加傾向

 副業で不動産投資を行うには、安定収入も必要で社会的地位のが高い方が有利になります。

もちろん金融機関の融資を受けることが前提となりますが、借入金額も高額になり気付けば億を超えることも珍しくありません。

不動産投資に全く関心が無かったのに同僚や先輩に勧められ、足を踏み入れてしまった方も当事務所の相談者では多い印象があります。

何の痛みもなく不動産投資から撤退するのは難しいとしか言えません。

一番恐ろしいのは、懇意にしている不動産業者から物件を紹介されなくなった時でしょう。

なぜなのか?? それは、もうこれ以上金融機関が融資してくれないまで借りてしまったからです。

もうこれ以上借りられなければ、もうこれ以上購入できないため、お客様として見てくれなくなった瞬間です。

この時点での不動産投資の撤退は相当な困難を極めます。

不動産投資に不安を感じ、いずれ決断を迫られるならば早めに対処するのが最善策となります。

早めのに相談して後悔することはありません

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