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連帯保証人は任意売却を拒否してメリットはあるか?
身内や離婚した元妻、或は知人など住宅ローンの連帯保証人となった方に、主債務者(ローンを借りた本人)から自宅を任意売却するので協力してほしいと連絡が来たら、協力するべきか非常に悩むと思います。
もしも、任意売却の協力を拒んだ場合、連帯保証人として何かメリットはあるのでしょうか?
当事務所へ多く寄せられる相談事例をもとに、以下のようなケースを想定して記事にしています。
- 主債務者が住宅ローンの担保となっている自宅に住んでいる
- 連帯保証人は別の場所に住んでいる
事業用不動産担保ローンの場合も、主債務者と連帯保証人の関係性に違いはありませんので、参考にして下さい。
連帯保証人が任意売却を拒否してもメリットは無い!
主債務者に他に資産がある場合や不誠実な任意売却を企んでいない限り、連帯保証人が任意売却を拒否することにメリットはありません。
むしろ、あとで説明しますが任意売却の協力を拒否した場合のデメリットに注意する必要があります。
主債務者が連帯保証人に対して任意売却の協力を要請するのは、もう既に住宅ローンの返済が困難になり、自宅を手放さなければならない状況に陥っていることを意味します。
つまり、あなたが連帯保証人となった主債務者の自宅は任意売却しなければ、金融機関が競売の申立てへと進む一歩手前と考えられます。
あるいは、競売の申立ても行われ、着々と競売の準備が進んでいる最中かもしれません。
その様な状況下でも、連帯保証人は任意売却に協力することも、或は拒否することも可能です。
しかし、任意売却を拒否された主債務者の自宅は競売となるため、その後の人間関係が破滅してしまうのは間違いないでしょう。
任意売却を拒否すると主債務者の自宅は競売で処分
本来、主債務者が自身の自宅を任意売却するのに連帯保証人の協力(同意)は必要ないのですが、金融機関が連帯保証人に対しても同意を求めるため、協力してもらわなければ任意売却できない状況になります。
連帯保証人が任意売却を拒否した場合
連帯保証人が任意売却への協力を拒否するのも、それは自由です。
その一方で連帯保証人が任意売却に協力しなかったため、主債務者の自宅が競売となってしまった場合を少し考えてみましょう。
運よく住宅ローンの残りが無くなれば主債務者に遺恨は残しますが、借金は無いため連帯保証人としての責任は消滅します。
しかし、残債があれば、ことはそう簡単には済まされず、むしろ苦しい立場に置かれるかもしれません。
そもそも、主債務者が任意売却の協力をお願いしてきた時点で、住宅ローンの残高以上での売却が困難なことは、ある程度予想できます。
従いまして、任意売却へ至ってしまう場合、ほぼ例外なく残債が生じてしまうことは避けられません。
連帯保証人として、この辺りの事情はきちんと認識しておくことはとても重要です。
任意売却を拒否して連帯保証人が苦しい立場に!
競売後に残債があると連帯保証人にデメリット
自宅の任意売却を希望しても、連帯保証人に拒否され競売となれば、主債務者としても連帯保証人になってくれた恩義など忘れ、むしろ恨みを覚える程でしょう。
そのため競売後に残債があれば、主債務者は連帯保証人にも請求されることを承知の上、金融機関からの請求に対しても無視し続けたり、一切取り合わない事態も予想されます。
また、主債務者が何もためらわず自己破産してしまうことも考えられます。
金融機関からすれば主債務者が自己破産した場合、連帯保証人に請求するのは当然で、そもそも返済が滞った時点で、連帯保証人に請求しても何も問題とはなりません。
そのため、競売後の残債が全て連帯保証人に降りかかってくると言っても差し支えない位です。
主債務者自身の原因であっても、自宅を競売で失ってしまった方が更に残債の返済を請求されたら、頑張って返済しよう考えるでしょうか?
正直なところ自宅の競売を経験した方にとって、自己破産は絶対に避けたい事態と感じるよりも、煩わしい請求が無くなることを考えれば魅力すら感じるかもしれません。
その一方で連帯保証人の立場から見れば、自身で利用した借金でもないのに金融機関から返済を迫られ、逃れるために自己破産では到底受け入れがたい現実となってしまいます。
連帯保証人は自己破産を受け入れられない
連帯保証人が任意売却を拒否するときは覚悟が必要
連帯保証人が任意売却を拒否するときは、競売後の残債の対処を覚悟しなければなりません。
もちろん、連帯保証人が協力した任意売却でも競売でも、残債があれば連帯保証人にも請求されるのは当然です。
その場合は、できる限り主債務者が返済に努め、連帯保証人に対しての請求は極力抑えてもらうよう、金融機関にお願いできるケースもあります。
しかし、連帯保証人が任意売却を拒否した結果の競売では、主債務者の協力は一切期待できないため、残債については連帯保証人だけで対処することが必要になります。
住宅ローンの連帯保証人を引き受けるのは簡単なことですが、借入金額も高額となり返済は長期に渡ります。
そのため住宅ローン完済されるまで、連帯保証人がその責任と負担から逃れることは容易ではありません。
連帯保証人の責任と負担は完済まで続く!
金融機関から見ると同じ債務者
連帯保証人と主債務者は当人同士で考えれば、全く異なる立場に見えますが金融機関から見れば、どちらも同じ債務者でお金を貸した相手と変わりません。
そのため1つの借金でも連帯保証人と主債務者の両社に対して請求可能で、連帯保証人に対して遠慮する必要も全くありません。
連帯保証人と主債務者の関係で大切なのは、借りたお金をどちらが消費したかは関係なく、背負ってしまった借金をどの様に協力して対処するかが重要となり、両者が対立することに何も良い結果は生まれません。
主債務者が任意売却の協力を要請するような事態であれば、金融機関からも既に連帯保証人に対して何かしらの連絡は来ているものです。
実際に連帯保証人を引き受けた方々は、どうしてよいか分からず不安な中でも何かしらの準備は必要と考えています。
主債務者と連帯保証人は問題が発生すれば密に連絡を取り合い、協力して対処するのが結果的には双方の利点につながることになります。
主債務者と連帯保証人は常に協力を!
根本的なトラブルの原因を考える
住宅ローンを含めた不動産担保ローンの連帯保証人となり、返済をめぐるトラブルに発展するケースは珍しいことではありません。
金融機関が融資する際に担保となる不動産だけでは、信用力が足りないため連帯保証人を求めた結果から生じております。
言い換えれば、連帯保証人がいなければ成立しなかった、少々無理して借りたローンだったと言えるでしょう。
そのため、連帯保証人は名前を貸しただけ・迷惑を掛けない約束をしたなど軽い気持ちや義理を感じて引き受けてしまっている方も多くいらっしゃいます。
もとを正せば、金融機関に対して連帯保証人を引き受ける約束をしており、双方の決め事があったとしても無関係であり通用する話でもありません。
連帯保証人は責任と負担をきちんと認識し、主債務者とは対立する相手ではなく共に問題が解決するまで協力関係を継続していく必要があります。
連帯保証人に任意売却の打診があれば積極的に協力する
専門家へ相談する
連帯保証人を巻き込んだ住宅ローン(他の不動産担保ローンも含む)の問題は主債務者の返済状況やトラブル発生後の関係性などもあり、一筋縄では行かないケースも多々あります。
先にも書きましたが主債務者の返済が滞ってしまうと、競売などが問題になる前に連帯保証人にも金融機関から連絡があります。
その時点で主債務者とは話し合い状況を把握しておく必要があります。
個々のケースに当てはめれば状況は様々で連帯保証人が任意売却に同意しない、あるいは連帯保証人は任意売却に賛成だけど主債務者が無関心など実際の相談者の状況はより複雑です。
上記のような場合は、まずは事を荒立てず早急に専門家へ相談することをお勧めします。
人間関係が悪くなる前に専門家へ相談