任意売却で連帯保証人の同意が必要な理由

任意売却するのに連帯保証人の同意は必要!?

 住宅ローン等の不動産担保ローンが払えないと、お金を借りた本人(以下、主債務者)は不動産を手放し、返済に充てます。

しかし、お金を借りるとき、不動産を担保にしながらも金融機関(以下、債権者)にとっては信用が足りないことがあります。

そうなると、連帯保証人を求められることがあります。

主債務者が、不動産を手放す際に「任意売却の場合」連帯保証人の存在が、大きな問題となります。

その連帯保証人に関連して『任意売却は連帯保証人の同意は必要ですか?』という質問を受けます。

答えとしては、ほぼ例外なく『任意売却は連帯保証人の同意が必要』です。

任意売却に精通するFP&不動産コンサルの有資格者が「任意売却で連帯保証人の同意が必要な理由

そして「任意売却は決して連帯保証人に迷惑ではない」理由も合わせて解説します。

任意売却で悩んでいる主債務者の方、連帯保証人として同意を求められている方は、問題解決の参考にしてください。

また、本記事内での連帯保証人とは連帯債務者の場合も同じです

連帯保証人を連帯債務者に置き換えて読み進んでください。

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目次

任意売却では債権者が連帯保証人の同意を求める

 「任意売却時に連帯保証人の同意が必要」とされるのは、債権者が要求するからです。

もともと任意売却を進めるには、まず債権者が「任意売却することを認めるか?」が前提となります。

その上で債権者が任意売却に『連帯保証人の同意が必要』とするならば、これを断わることはできません。

それでは、なぜ債権者は任意売却の際、連帯保証人の同意を求めるのでしょうか?

以下、2点が主な理由です。

〈債権者が連帯保証人の同意を求める理由〉

  1. 担保の保存義務がある
  2. 債務の存在を改めて認識させる

1.担保の保存義務がある

 債権者は「担保の保存義務」を負っています。

これは、担保の不動産を安価で売却するのを認めてしまった場合、連帯保証人は困ってしまいます。

そうさせないために、民法で規定されています。

〈例えば〉

住宅ローンの残債が2,500万円とします。

2,000万円で売却可能なマンションを連帯保証人に黙って1,000万円で任意売却されてしまったら?(そもそも債権者が認めるの?というのは、ちょっと横に置いといて)

残債が1,500万円も残ってしまう・・・

連帯保証人の同意がなかった場合、不当に低い金額なので連帯保証人は担保保存義務に反すると主張することもできます。

本来なら、もう1,000万円多く回収できたから、その1,000万円分に対しては連帯保証人に請求できない可能性もあります。

また、連帯保証人が「担保の不動産が十分な資産価値があったから連帯保証人を引受けた」などと主張されてしまうと、その後の残債の回収にも支障をきたす恐れもでてきます。

債権者は不要なトラブルを回避するため事前に「任意売却するならば連帯保証人も同意してください」となります。

債権者は担保の保存義務を負っている

連帯保証人の同意不要の特約でも求められる理由

 ところが、実際の住宅ローンを含む不動産担保ローンの契約書には、連帯保証人に対して「担保保存義務免除の特約」が多くのケースで存在します。

そのため、債権者は連帯保証人の同意が無くても、任意売却を認めることが可能となります。

ただし、この担保保存義務免除の特約は、必ず有効になる訳ではありません。

後々のトラブルを防ぐため、連帯保証人には同意を求めます。

債権者にすれば、連帯保証人から「担保を安く勝手に処分した!」などのクレームを未然に防ぐためと考えれば分かり易いと思います。

そもそも、担保の不動産を売却するならば、主債務者が連帯保証人に対して事前に伝え、同意を得るのは自然な流れでしょう。

債権者が連帯保証人とのトラブル回避で同意を求める

2.債務の存在を改めて認識させる

 任意売却となれば、多くのケースで「ローンの残高以下で不動産を売却」します。

その結果、任意売却後は残債が生じてしまいます。

もちろん、債権者としては残債に対しても返済を求めてきます。

主債務者と同様に連帯保証人に対しても、残債の存在を強く認識させて任意売却後の回収に協力させます

債権者としては「連帯保証人も任意売却に同意しましたよね!?」

その結果、生じた残債のため気兼ねなく請求できます。

債権者は、そもそも連帯保証人に対して遠慮する必要は全くありません。

しかし、任意売却後に連帯保証人から「そんなに残債があるなんて聞いていない!」などのクレームも防止にも、同意は有効となります。

債務の存在を改めて認識させる

連帯保証人に任意売却後の残債を請求しないと約束する金融機関は無い!

 連帯保証人を思いやるあまり、任意売却に踏み込めずに悩んでいる方も多いでしょう。

そして、考えた挙句『金融機関が任意売却後の残債を借りた本人(主債務者)が返済を続ける限り、連帯保証人に対して請求しないと約束するなら任意売却をしよう!

その他、『連帯保証人が請求されなくて済む方法は無いでしょうか・・・』等、似たような相談も多く寄せられることがあります。

しかしながら、連帯保証人は自分で借りた訳ではありませんが、契約書にサインしたのも連帯保証人本人です。

返済は免れることができない理不尽な契約とも言えますが、知らないうちに連帯保証人になることはありません。

従いまして、このような思惑は、金融機関には一切通用しません。

連帯保証人も請求されると考える

金融機関は妥協してまで任意売却にこだわらない

 任意売却はお金を借りた側(債務者)・貸した側(債権者)、双方にとってメリットがあります。

そのため、お互いの合意形成により成立します。

何か条件を付ける等で、それが債権者にとって不利な条件であれば、妥協してまで任意売却に応じる理由はありません。

妥協してまで任意売却は望まない

連帯保証人に、任意売却後の残債を請求されたくなければ、分割でも完済の見込みや、一括返済の見通しがあれば、相談は可能でしょう。

しかし、残債の完済見込みも無し、その上で債権者に対して「連帯保証人に請求はしないで!」と注文を付けるのは不可能です。

債権者から見れば「主債務者・連帯保証人」どちらも同じ債務者です。

債権者は「主債務者・連帯保証人」の区別無用

連帯保証人がいるから貸してくれた

 もともと金融機関は借手の信用が足りないため、リスクに備え連帯保証人を条件にお金を貸しています。

そのリスクが現実化し、あえて連帯保証人に請求する権利を手放すことなど考えられません。

連帯保証人が解放されるのは借金完済後

住宅ローン等を滞納し「任意売却しないなら競売で処分するだけ」となります。

時が経てば、金融機関も何のためらいも無く、粛々と競売の申立てへと進みます。

競売は避けたいから、任意売却を考えるのは理にかなっております。

しかし、それ以外の理由で任意売却を望んでも、あまりメリットは感じられないと言って差し支えないでしょう。

金融機関から見れば連帯保証人の出番

任意売却は連帯保証人にも含めて相談するのが筋

 任意売却後の残債があれば、連帯保証人共々請求されるのは当然です。

それを踏まえた上で返済については、債権者と話し合わなければなりません。

任意売却でも、競売でも残債があれば、連帯保証人も含め請求されます。

最初に相談すべきが連帯保証人

オーバーローンの不動産は、滞納後は速やかに連帯保証人も交えて、対応を検討しなければなりません。

借りた本人が連帯保証人に迷惑を掛けたくない一心で、残債の請求をしないで欲しいと思う気持ちは理解できます。

しかし、返済不能に陥ったのであれば、連帯保証人に対しても一刻も早く状況を説明する必要があります。

そして、売却は不可避であることを認識してもらわなければ、任意売却の同意を取り付けるのも難しくなってしまいます。

連帯保証人が状況を知らないのは気の毒

任意売却が決まってからでは連帯保証人が納得しないことも

 気を付けて欲しいのは、連帯保証人に対して状況を伝えないことです。

滞納が始まり、債権者から「連帯保証人へ連絡が入ってから打明ける」では、後回しにされたも同然です。

順番が逆

任意売却するには、連帯保証人の同意が必要なのは、すでに説明しました。

そのため、連帯保証人に内緒で任意売却することは不可能です。

迷惑を掛けたくない思いがあれば、できる限り早く連帯保証人には相談することです。

そして一緒に考えて行動するのが、連帯保証人に対して最大限の配慮になります。

連帯保証人を思いやるなら即相談

離婚後も連帯保証人の問題は深刻

 身内ですら金銭問題は、揉め事の原因となるほど深刻です。

そして、今までは身内だった者が、身内ではなくなってしまうと、更に深刻度は増します。

夫婦が連帯保証人の問題に手を付けずに離婚すると、その結果、深刻な状況に発展することもあります。

この問題を解決するのは簡単ではありませんが、先送りするほうが、より事態を複雑にしてしまいます。

元夫婦が連帯保証人の関係は波乱含み

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任意売却が連帯保証人に迷惑をかける訳ではない

「任意売却すると連帯保証人に迷惑を掛ける」と考えている方も多いのですが、それは任意売却が原因ではありません。

まず最初に「連帯保証人をお願いした時点で大変迷惑な話」であることは間違いありません。

金融機関が連帯保証人を求めた理由は「主債務者の信用力が足りない」の一言に尽きます。

その信用力を補うために連帯保証人の協力のもと、お金を借りてしまったのです。

連帯保証人は引き受けた時点で多大なリスクを負っている

そして、主債務者が返済できなくなり、任意売却へ至ってしまいます。

果たしてこれが「任意売却が連帯保証人に迷惑を掛ける」と言えるでしょうか?

主債務者が連帯保証人を必要としてまでお金を借りた結果、リスクが表面化しただけのことです。

もともと、連帯保証人は債務が返済されるまで責任がついて回るため、最初から不安だけが際立ちメリットはありません。

連帯保証人に当初からメリットは皆無

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任意売却以外の方法は?

 仮に、任意売却が連帯保証人に迷惑を掛けてしまうとするならば、他の選択肢があるのでしょうか?

すでに主債務者は返済不能に陥っています。

上にも書きましたが「任意売却しないなら競売で処分するだけ」です。

その結果、残債があれば、連帯保証人に対しても請求します。

どちらにしても、残債が生じれば債権者の請求から連帯保証人も逃れることはできません。

住宅ローン等の不動産担保ローンが払えなくなり、任意売却が連帯保証人に迷惑を掛けると考えるのは正しいとは言えません。

任意売却でなければ競売で回収

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連帯保証人は滞納時点で大問題発生

 任意売却でも競売でも、残債があれば連帯保証人にも請求は及びます。

理由はどうであれ、主債務者が返済できなくなった以上、連帯保証人にとっては恐ろしい事態の始まりです。

連帯保証人は主債務者が返済できないときの保険

借金が解決しない限り、連帯保証人から外れることはありません。

連帯保証人には「現状で可能な対応が任意売却である」と理解してもらうことが重要となります。

また、任意売却に際して連帯保証人の同意を渋られた場合、競売ではどうなるかも、合わせて理解してもらうことも必要です。

主債務者ができることは、残債についても、可能な限り対応することを連帯保証人に頭を下げ、約束するしかありません。

連帯保証人には精一杯の対処を約束する

連帯保証人と関係性が悪化していても任意売却は可能?

 任意売却は連帯保証人の同意を要することは、ご理解いただけたと思います。

返済をめぐり主債務者が連帯保証人と揉めてしまい、関係性が悪化してしいる場合もあると思います。

この様な関係は、主債務者が任意売却を希望するならば、深刻な状況と受け止めてください。

関係性の悪化は最悪の事態

連帯保証人が会ってくれない等「同意を得ないで、何とかならいないのか?」

このような質問をけることもありますが、任意売却は、ほぼ不可能となります。

かなりの高確率で、競売は避けられないと覚悟してください。

連帯保証人が同意しない=任意売却不可

任意売却は連帯保証人に主導権があるの?

 任意売却する場合、連帯保証人の同意が必要です。

そうなると「任意売却は連帯保証人に主導権があるの?

このような疑問もでてきます。

実際、任意売却を巡っては、連帯保証人が主導権を握る場合もあります。

ただし、あくまでも「一時的ですが・・・

主導権を握られるのは、どんなとき?

連帯保証人の多くは身内で、親・兄弟、そして妻などです。

離婚した元夫婦を例に説明します。

〈①離婚した元夫婦の住宅ローン〉

  • 元夫 主債務者(借りた本人)
  • 元妻 連帯保証人

離婚後、元妻は家を出ている、元夫が自宅に住んでいる

上記の例で、住宅ローンを滞納した場合、任意売却したいのは元夫です。

それに対して、元妻は住んでいない家が競売になっても、ダメージを感じない。

このようなケースでは、完全に元妻が任意売却に「同意する・同意しない」で主導権を握られてしまいます。

もちろん、その逆もあります。

元妻と元夫の立場を入替えてみましょう。

〈②離婚した元夫婦の住宅ローン〉

  • 元夫 主債務者(借りた本人)
  • 元妻 連帯保証人

離婚後、元夫は家を出ている、元妻が自宅に住んでいる

上記の例で、住宅ローンを滞納した場合、任意売却したいのは元妻です。

元妻にしてみれば、自宅の競売は嫌。

元夫は、住んでないため、競売でも気にならない。

実際、このケースでの相談が多くあります。

早い話、競売となってしまう家に住んでいる者は「任意売却を希望」します。

自分が住んでいない家は競売でも困らない」といった感じでしょう。

競売でも困らない者が任意売却の主導権を握れます

繰り返しですが、あくまでも「一時的です」

主導権を握るのは競売で困らない者

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なぜ主導権は一時的なの

 なぜ、連帯保証人が「任意売却の主導権を握る」が一時的なのでしょうか?

そもそも連帯保証人としての、大事な視点が欠けているからです。

上の〈①離婚した元夫婦の住宅ローン〉で連帯保証人が任意売却に協力しないで競売となったら、その後はどうなるでしょうか?

残債があれば、任意売却でも、競売でも、連帯保証人としての義務からは解放されません。

今度は、元夫が残債の対応しなければ、連帯保証人に対しての請求は厳しいものとなるでしょう。

更に元夫が、自己破産でもしたら、金融機関が請求できるのは連帯保証人の元妻しかいません。

任意売却に同意せず、競売となれば、手痛いしっぺ返しにも見えるでしょう

つまり、任意売却するには主債務者、連帯保証人が一緒に取組む必要があるので、お互い感情のもつれ等で、いがみ合っている場合ではありません。

元夫婦を例にしましたが「主債務者・連帯保証人」どちらに主導権が「ある・ない」は関係ありません。

当事者同士で任意売却後も含めて、きちんと前向きに話し合う必要があります。

そのきっかけとするには、任意売却は適したタイミングかもしれません。

残債が生じれば主導権も無意味

続いては、連帯保証人の方は本当に注意して欲しいポイントとなります。

任意売却の現場に携わる者から見た、「連帯保証人が任意売却を拒否した場合」について、更に踏み込んで解説します。

【連帯保証人の疑問】任意売却を拒否してメリットはあるの?

連帯保証人は任意売却を拒否してメリットはあるか?

 身内や離婚した元妻、或は知人など住宅ローンの連帯保証人となった方へ、主債務者(ローンを借りた本人)から「自宅を任意売却するので協力してほしい」と連絡が来たら、協力するべきか非常に悩むと思います。

もしも、任意売却の協力を拒んだ場合、連帯保証人として何かメリットはあるのでしょうか?

当事務所へ多く寄せられる相談事例をもとに、以下のようなケースを想定してます。

  • 主債務者が住宅ローンの担保となっている自宅に住んでいる
  • 連帯保証人は別の場所に住んでいる

事業用不動産担保ローンの場合も、主債務者と連帯保証人の関係性に違いはありませんので、参考にして下さい。

連帯保証人が任意売却を拒否してもメリットは無い!

 主債務者に他に資産がある場合や不誠実な任意売却を企んでいない限り、連帯保証人が任意売却を拒否することにメリットはありません。

むしろ、あとで説明しますが任意売却の協力を拒否した場合のデメリットに注意する必要があります。

そもそも、主債務者が連帯保証人に対して任意売却の協力を要請するのは、どういった場合でしょうか?

主債務者の状況は?

もう既に住宅ローンの返済が困難になり、自宅を手放さなければならない状況に陥っていることを意味します。

つまり、あなたが連帯保証人となった主債務者の自宅は任意売却しなければ、金融機関が競売の申立てへと進む一歩手前と考えられます。

あるいは、競売の申立ても行われ、着々と競売の準備が進んでいる最中かもしれません。

その様な状況下でも、連帯保証人は任意売却に協力することも、或は拒否することも可能です。

しかし、「任意売却を拒否された主債務者の自宅は確実に競売」となります。

その後の人間関係が、破滅してしまうのは間違いないでしょう。

任意売却を拒否すると主債務者の自宅は競売で処分

本来、主債務者が自身の自宅を任意売却するのに、連帯保証人の協力(同意)は必要ありません。

しかし、金融機関が連帯保証人に対しても同意を求めるため、協力しなければ任意売却できない状況になることは既に解説済みです。

連帯保証人が任意売却を拒否した場合

 連帯保証人が任意売却への協力を拒否するのも、それは自由です。

その一方で、連帯保証人が任意売却に協力しなかったため、主債務者の自宅が競売となってしまった場合を少し考えてみましょう。

運よく住宅ローンの残りが無くなれば主債務者に遺恨は残しますが、借金は無いため連帯保証人としての責任は消滅します。

しかし、残債があれば、ことはそう簡単には済まされず、むしろ苦しい立場に置かれるかもしれません

競売後の残債の有無が問題となる

そもそも、主債務者が任意売却の協力をお願いしてきた時点で、住宅ローンの残高以上での売却が困難なことは、ある程度予想できます。

従いまして、任意売却へ至ってしまう場合、ほぼ例外なく残債が生じてしまうことは避けられません。

連帯保証人として、この辺りの事情はきちんと認識しておくことはとても重要です。

任意売却を拒否して連帯保証人が苦しい立場に!

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競売後に残債があると連帯保証人にデメリット

 自宅の任意売却を希望しても、連帯保証人に拒否され競売となれば、主債務者としても連帯保証人になってくれた恩義など忘れ、むしろ恨みを覚える程でしょう。

そのため競売後に残債があれば、主債務者は連帯保証人にも請求されることを承知の上、金融機関からの請求に対しても無視し続けたり、一切取り合わない事態も予想されます。

また、主債務者が何もためらわず自己破産してしまうことも考えられます。

主債務者の自己破産は要注意

金融機関からすれば主債務者が自己破産した場合、連帯保証人に請求するのは当然です。

そもそも返済が滞った時点で、連帯保証人に請求しても何も問題とはなりません。

そのため、競売後の残債が全て連帯保証人に降りかかってくると言っても差し支えない位です。

主債務者自身の原因であっても、自宅を競売で失ってしまった方が更に残債の返済を請求されたら、頑張って返済しよう考えるでしょうか?

自宅の競売後は自己破産も怖くない!

正直なところ自宅の競売を経験した方にとって、自己破産は絶対に避けたい事態と感じるよりも、煩わしい請求が無くなることを考えれば、魅力すら感じるかもしれません。

その一方で連帯保証人の立場から見れば、自身で利用した借金でもないのに金融機関から返済を迫られます。

連帯保証人が請求から逃れるために自己破産では、到底受け入れがたい現実となってしまいます。

連帯保証人は自己破産を受け入れられない

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連帯保証人が任意売却を拒否するときは覚悟が必要

 連帯保証人が任意売却を拒否するときは、競売後の残債の対処を覚悟しなければなりません。

もちろん、連帯保証人が協力した任意売却でも競売でも、残債があれば連帯保証人にも請求されるのは当然です。

その場合は、できる限り主債務者が返済に努め、連帯保証人に対しての請求は極力抑えてもらうよう、金融機関にお願いできるケースもあります。

一方で、連帯保証人が任意売却を拒否した結果の競売では、どうでしょうか?

連帯保証人が任意売却を拒否したら?

  • 主債務者の協力:無し
  • 残債の対処:連帯保証人のみ

主債務者の協力は、一切期待できません。

残債については、連帯保証人だけで対処することが必要になります。

住宅ローンの連帯保証人を引き受けるのは簡単なことですが、借入金額も高額となり返済は長期に渡ります。

そのため住宅ローンが完済されるまで、連帯保証人がその責任と負担から逃れることは容易ではありません。

連帯保証人の責任と負担は完済まで続く!

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金融機関から見ると同じ債務者

 連帯保証人と主債務者は当人同士で考えれば、全く異なる立場に見えます。

しかし金融機関から見れば、どちらも同じ債務者でお金を貸した相手と変わりません。

そのため1つの借金でも連帯保証人と主債務者の両社に対して請求可能で、連帯保証人に対して遠慮する必要も全くありません。

連帯保証人と主債務者の関係で大切なのは、借りたお金をどちらが消費したかは関係ありません。

どちらが借りたを考えても無意味

背負ってしまった借金をどの様に協力して対処するかが重要となり、両者が対立することに何も良い結果は生まれません

主債務者が任意売却の協力を要請するような事態であれば、金融機関からも既に連帯保証人に対して何かしらの連絡は来ているものです。

実際に連帯保証人を引き受けた方々は、どうしてよいか分からず不安な中でも何かしらの準備は必要と考えています。

主債務者と連帯保証人は問題が発生すれば密に連絡を取り合い、協力して対処するのが結果的には双方の利点につながることになります。

主債務者と連帯保証人は常に協力を!

根本的なトラブルの原因を考える

 住宅ローンを含めた不動産担保ローンの連帯保証人となり、返済をめぐるトラブルに発展するケースは珍しいことではありません。

金融機関が融資する際に担保となる不動産だけでは、信用力が足りないため連帯保証人を求めた結果から生じております。

連帯保証人は無理なローンの借入に協力

言い換えれば、連帯保証人がいなければ成立しなかった、少々無理して借りたローンだったと言えるでしょう。

そのため、「連帯保証人は名前を貸しただけ」・「迷惑を掛けない約束をした」など軽い気持ちや義理を感じて引き受けてしまっている方も多くいらっしゃいます。

もとを正せば、金融機関に対して連帯保証人を引き受ける約束をしており、双方の決め事があったとしても無関係であり通用する話でもありません

連帯保証人は責任と負担をきちんと認識し、主債務者とは対立する相手ではなく共に問題が解決するまで協力関係を継続していく必要があります。

連帯保証人に任意売却の打診があれば積極的に協力する

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主債務者と連帯保証人は常に協力

 任意売却は連帯保証人としても、債務の削減に協力することになり、決してマイナスではありません。

連帯保証人が任意売却への同意を求めらたら、できる限り早期に対応し協力しましょう。

任意売却が避けられない状況が発生しても、主債務者と連帯保証人は互いに協力して債務削減に取組むことが、解決への第一歩となります。

連帯保証人を断る選択肢もあった

もともと、連帯保証人も断る選択肢もあったにも関わらず、引受けたことに責任もあります。

任意売却の結果、残債が生じても主債務者と連帯保証人は常に返済状況を確認しながら協力し合う以外方法がありません

また、主債務者と連帯保証人ともに、返済が厳しく大きな負担となってしまうならば、お互い相談し自己破産を検討するのも残された道の1つです。

ただし、主債務者が連帯保証人に黙って自己破産してしまうのは道理にかないません

必ず事前に伝えてから手続するのが、主債務者としての責任ではないでしょうか。

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専門家へ相談する

 連帯保証人を巻き込んだ住宅ローン(他の不動産担保ローンも含む)の問題は、主債務者の返済状況やトラブル発生後の関係性などもあり、一筋縄では行かないケースも多々あります。

先にも書きましたが主債務者の返済が滞ってしまうと、競売などが問題になる前に連帯保証人にも金融機関から連絡があります。

その時点で、主債務者とは話し合い状況を把握しておく必要があります。

個々のケースに当てはめれば、状況は様々で「連帯保証人が任意売却に同意しない」こともあるでしょう。

あるいは「連帯保証人は任意売却に賛成でも、主債務者が無関心」など、実際の相談者の状況はより複雑です。

上記のような場合は、まずは事を荒立てず早急に専門家へ相談することをお勧めします。

人間関係が悪くなる前に専門家へ相談

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