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連帯保証人が任意売却の拒否はリスク大!協力あるのみ・主導権なしの現実

 ある日突然、連帯保証人のあなたのもとへ「住宅ローンの返済が厳しくなった・・・」と、主債務者(借りた本人)から「任意売却の同意書」が送られてきたら、あなたならどうしますか?

協力したくない」「きっぱりと拒否したい」と思う方も少なくありませんが、感情に任せて突っぱねると思わぬ結果を招くことになります。

当事務所へは、連帯保証人・連帯債務者の方から、以下のようなご相談が寄せられます。

〈連帯保証人・連帯債務者の疑問〉

  • 主債務者が勝手に任意売却を進められるのか?
  • 連帯保証人である自分に内緒で手続きはできるのか?
  • 同意を拒否したら、自分の自宅や財産はどうなってしまうのか?

任意売却をスムーズに進めるためには、連帯保証人や連帯債務者の協力が絶対に欠かせません

しかし、実際の現場では、十分な説明がないまま手続きを迫られ、深刻なトラブルに発展するケースが後を絶ちません。

この記事は、任意売却の現場に20年以上携わるFP&不動産コンサルの有資格者が「連帯保証人・連帯債務者の悩みや不安に対処する」現実的な方法を解説します。

目次

任意売却における「連帯保証人」と「連帯債務者」の違いとは?

 まず最初に、任意売却を検討される際、「連帯保証人」と「連帯債務者」という2つの名称の違いに戸惑うことがあります。

結論から書くと、任意売却の手続きや返済義務について、連帯保証人と連帯債務者とでは、特に違いはありません。

ご自身が「連帯保証人だと思っていたが、実は連帯債務者だった」という場合でも、気にする必要はありません。

ただし、ペアローンや親子ローンの連帯債務とは少し異なります。

今回のケースには当てはまらないので、その点は注意してください。

どちらも返済の負担は同等

返済義務における共通点

 夫の収入だけでは信用力が足りず、妻も働いているため収入を合算するなど、夫婦二人で協力して住宅ローンを組んだケースで解説していきます。

その際、妻は利用する金融機関によって連帯保証人、連帯債務者のどちらかを引受けることになります。

〈住宅ローン〉

  • 夫:借りた本人(主債務者)
  • 妻:連帯保証人、または連帯債務者

この場合、夫がローンを滞納すれば、妻がどちらの立場であっても借入総額の全額に対する返済責任を負います。

金融機関からの請求の厳しさや度合いについても、立場による差はありません。

〈主債務者(夫)が滞納した場合〉

  • 連帯保証人の妻 → 全額の返済義務(金融機関の請求度合いは同等)
  • 連帯債務者の妻 → 全額の返済義務(金融機関の請求度合いは同等)

一度引き受けてしまえば、借金が完済するまで、その責任から逃れることはできません。

これは、連帯保証人や連帯債務者が「複数人」いる場合も同様です。

住宅ローンの借入金額が3,000万円、連帯保証人が3人、又は連帯債務者が3人を例にします。

〈連帯保証人、又は連帯債務者が3人〉

  • 借入金額 3,000万円
  • 連帯保証人が3人、または連帯債務者が3人

連帯保証人が3人の場合、連帯保証人が1人につき1,000万円の責任を負っている訳ではありません。

あくまでも、連帯保証人の各1人が借入金額の総額3,000万円について責任を負っていることになります。

その結果、連帯保証人は、借入総額3,000万円が完済されるまで負担を免れません。

連帯債務者が3人の場合も全く同じです。

やはり、連帯債務者は、借入総額3,000万円が完済されるまで責任を負います。

連帯保証人・連帯債務者が複数でも各自借入総額の負担がある

両者はまったく同じなの?

 任意売却する際、連帯保証人と連帯債務者とでは、特に違いは無いと上に書きました。

そうは言っても、まったく同じではないため連帯保証人と連帯債務者の違いについても触れておきます。

連帯保証人、もしくは連帯債務者になるかは金融機関の方針によっても異なり、借手側が選べることは通常ありません。

連帯保証人か連帯債務者かは金融機関の方針

連帯保証人とは

連帯保証人のイメージ)

 銀行から見ると夫(A)が住宅ローンを借りた本人(主債務者)、妻(B)は連帯保証人(従たる債務者)となります。

夫(A)が滞納すれば、妻(B)は銀行から請求されます。

あくまでも、夫(A)の借金を妻(B)が返済を保証する立場となります。

 離婚等で別々に生活していて、夫(A)が他に財産を持っていても、銀行から返済を求められた場合、妻(B)は拒否できない。

※ 難しい言葉ですが、連帯保証人には「抗弁権」という権利がないのが理由です。

銀行は夫(A)が滞納していれば、すぐにでも妻(B)に対して返済を求めることが可能です。

夫が滞納すれば妻に即請求が可能!

連帯債務者とは

連帯債務者のイメージ

 銀行から見た場合、同列の債務者で夫(C)・妻(D)となります。

つまり、夫(C)・妻(D)はどちらも全く同じ立場です。

 ※ ただし、銀行の内部では夫(C)を、妻(D)をの関係で明確に区別しています。

妻が連帯債務者だと

 夫(C)の信用が足りず、補完の意味で、妻(D)が連帯債務者になっても、妻(D)は「実際は、あなた夫(C)の借金でしょ!」とは言えない

銀行もまた、上記の言い訳を聞き入れることはありません

立場は同じだよ

滞納が発生すれば、どちらも住宅ローンを借りた本人となるため請求されます。

夫が1,000万円借りたら、妻も同じく1,000万円借りたことになりますが、総額は1,000万円(夫婦で2,000万円とはなりません)

銀行は滞納の有無にかかわらず、どちらにも請求が可能(理屈上)

例えば、金融機関が夫(C)に請求しようとして、間違って連帯債務者の妻(D)に請求しても問題ありません。

連帯債務者は言葉通りで、互いに連帯して債務を負っている状態です。

夫も妻も銀行から見れば同じ債務者(借手)

団体信用生命保険が適用されるのは主債務者のみ

 それでは、不幸にも住宅ローン返済中に死亡してしまった場合、団体信用生命保険(以下、団信)という、いわば死亡時に支払われる保険について、連帯保証人と連帯債務者とで違いはあるのでしょうか?

主債務者(借りた本人)が死亡したとき以外は、基本的に団体信用生命保険でカバーされません

<団信適用について>

  1. 主債務者(借りた本人)が死亡:保険金でローンが完済、連帯保証人・連帯債務者の返済義務は消滅
  2. 連帯保証人が死亡団信は適用なし
     住宅ローンは残り、連帯保証人としての地位(負債)は相続人に引き継がれる
  3. 連帯債務者が死亡原則団信の適用なし
     住宅ローンは残り、連帯債務者としての地位(負債)は相続人に引き継がれる

※ ただし、連帯債務者の場合、連生団信(一般名称)に加入しているケースもあるため要確認

【一目でわかる】連帯保証人と連帯債務者の違い(団信比較つき) タップで見る

項目連帯保証人連帯債務者(従)
自分自身の借入か×
債務を負う根拠保証契約ローン契約そのもの
全額請求の可能性
死亡時の団信の適用対象外原則、対象外
対象となる商品あり

ペアローンの場合は例外もある

 夫婦ペアローンや親子ペアローンの場合は、お互いが「単独の主債務者」であり、同時に「相手の連帯債務者」となっています。

そのため、どちらも団信に加入しています。

ただし、一方が死亡したときに団信でカバーされるのは死亡した側分のみであり、生存している側のローン返済はその後も引き続き残ります。

※ 金融機関によっては夫婦一方が死亡しても、全額弁済される夫婦連生団信(デュエット等)もありますので、必ず契約書類を確認してください。

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任意売却するのに連帯保証人の同意は必要!?

なぜ連帯保証人・連帯債務者の同意がないと任意売却できないのか?

 「連帯保証人に内緒で、あるいは同意なしで任意売却を進めることはできませんか?」という質問をよくいただきます。

残念ながら、連帯保証人(連帯債務者)に内緒で任意売却を進めることは、ほぼ不可能です。

任意売却で連帯保証人(連帯債務者)の同意は必須

金融機関(債権者)が、任意売却の条件として連帯保証人・連帯債務者の「同意書の提出」を求めるのには、以下、2点が主な理由です。

〈同意を求める理由〉

  1. 担保の保存義務がある
  2. 債務の存在を改めて認識させる

1.担保の保存義務がある

 債権者は「担保の保存義務」を負っています。

これは、担保の不動産を安価で売却するのを認めてしまった場合、連帯保証人は困ってしまいます。

そうさせないために、民法で規定されています。

〈例えば〉

 住宅ローンの残債が2,500万円とします。

2,000万円で売却可能なマンションを連帯保証人に黙って1,000万円で任意売却されてしまったら?(そもそも債権者が認めるの?というのは、ちょっと横に置いといて)

残債が1,500万円も残ってしまう・・・

連帯保証人の同意がなかった場合、不当に低い金額なので連帯保証人は担保保存義務に反すると主張することもできます。

本来なら、もう1,000万円多く回収できたから、その1,000万円分に対しては連帯保証人に請求できない可能性もあります。

 連帯保証人が「担保の不動産が十分な資産価値があったから連帯保証人を引受けた!」などと主張されてしまうと、その後の残債の回収にも支障をきたす恐れもある

債権者は不要なトラブルを回避するため事前に「任意売却するならば連帯保証人も同意してください」となります。

債権者は担保の保存義務を負っている

連帯保証人の同意不要の特約でも求められる理由

 ところが、実際の住宅ローンを含む不動産担保ローンの契約書には、連帯保証人に対して「担保保存義務免除の特約が多くのケースで存在します。

そのため、債権者は連帯保証人の同意が無くても、任意売却を認めることが可能となります。

ただし、この担保保存義務免除の特約は、必ず有効になるわけではありません。

後々のトラブルを防ぐため、連帯保証人には同意を求める!

債権者にすれば、特約があっても連帯保証人から担保を安く勝手に処分した!」などのクレームや訴訟に発展するリスクを未然に防ぎたい、というのが本音です。

そもそも、担保の不動産を売却するならば、連帯保証人・連帯債務者に対して事前に伝え、同意を得るのは自然な流れです。

債権者が連帯保証人とのトラブル回避で同意を求める

2.債務の存在を改めて認識させる(任意売却後の回収協力)

 任意売却となれば、多くのケースで「ローンの残高以下で不動産を売却」します。

その結果、任意売却後は残債が生じてしまいます

もちろん、債権者としては残債に対しても返済を求めてきます。

主債務者と同様に連帯保証人に対しても、残債の存在を強く認識させて任意売却後の回収に協力さる

債権者としては「連帯保証人も任意売却に同意しましたよね!?

その結果、生じた残債のため気兼ねなく請求できます。

債権者は、そもそも連帯保証人に対して遠慮する必要は全くありません。

しかし、任意売却後に連帯保証人から「そんなに残債があるなんて聞いていない!」などのクレームも防止にも、同意は有効となります。

債務の存在を改めて認識させる

連帯保証人へ任意売却の同意を求める状況とは?

 身内や離婚した元妻、或は知人など住宅ローンの連帯保証人となった方へ、主債務者(ローンを借りた本人)から「自宅を任意売却するので協力してほしい」と連絡が来たら、協力するべきか非常に悩むと思います。

もしも、任意売却の協力を拒んだ場合、連帯保証人として何かメリットはあるのでしょうか?

当事務所へ多く寄せられる相談事例をもとに、以下のようなケースを想定してます。

〈相談者の状況〉

  • 主債務者が住宅ローンの担保となっている自宅に住んでいる
  • 連帯保証人は別の場所に住んでいる

 ※ 事業用不動産担保ローンの場合も、主債務者と連帯保証人の関係性に違いはありませんので、参考にして下さい。

【連帯保証人の疑問】任意売却を拒否してメリットはあるの?

連帯保証人が任意売却を拒否すれば競売へ一直線

 主債務者に他に資産がある場合や不誠実な任意売却を企んでいない限り、連帯保証人が任意売却を拒否することにメリットはありません。

むしろ、あとで説明しますが任意売却の協力を拒否した場合のデメリットに注意する必要があります。

そもそも、主債務者が連帯保証人に対して任意売却の協力を要請するのは、どういった場合でしょうか?

主債務者の状況は?

もう既に住宅ローンの返済が困難になり、自宅を手放さなければならない状況に陥っていることを意味します。

つまり、あなたが連帯保証人となった主債務者の自宅は任意売却しなければ、金融機関が競売の申立てへと進む一歩手前と考えられます。

あるいは、競売の申立ても行われ、着々と競売の準備が進んでいる最中かもしれません。

その様な状況下でも、連帯保証人は任意売却に協力することも、或は拒否することも可能です。

しかし、「任意売却を拒否された主債務者の自宅は確実に競売」となります。

その後の人間関係が、破滅してしまうのは間違いないでしょう。

任意売却を拒否すると主債務者の自宅は競売で処分

本来、主債務者が自身の自宅を任意売却するのに、連帯保証人の協力(同意)は必要ありません。

しかし、金融機関が連帯保証人に対しても同意を求めるため、協力しなければ任意売却できない状況になることは既に解説済みです。

連帯保証人が任意売却を拒否で苦境に直面

 連帯保証人が任意売却への協力を拒否するのも、それは自由です。

その一方で、連帯保証人が任意売却に協力しなかったため、主債務者の自宅が競売となってしまった場合を少し考えてみましょう。

運よく住宅ローンの残りが無くなれば主債務者に遺恨は残しますが、借金は無いため連帯保証人としての責任は消滅します。

しかし、残債があれば、ことはそう簡単には済まされず、むしろ苦しい立場に置かれるかもしれません

競売後の残債の有無が問題となる

そもそも、主債務者が任意売却の協力をお願いしてきた時点で、住宅ローンの残高以上での売却が困難なことは、ある程度予想できます。

従いまして、任意売却へ至ってしまう場合、ほぼ例外なく残債が生じてしまうことは避けられません。

連帯保証人として、この辺りの事情はきちんと認識しておくことはとても重要です。

任意売却を拒否して連帯保証人が苦しい立場に!

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競売後に残債があると連帯保証人にデメリット

 自宅の任意売却を希望しても、連帯保証人に拒否され競売となれば、主債務者としても連帯保証人になってくれた恩義など忘れ、むしろ恨みを覚える程でしょう。

そのため競売後に残債があれば、主債務者は連帯保証人にも請求されることを承知の上、金融機関からの請求に対しても無視し続けたり、一切取り合わない事態も予想されます。

また、主債務者が何もためらわず自己破産してしまうことも考えられます。

主債務者の自己破産は要注意

金融機関からすれば主債務者が自己破産した場合、連帯保証人に請求するのは当然です。

そもそも返済が滞った時点で、連帯保証人に請求しても何も問題とはなりません。

そのため、競売後の残債が全て連帯保証人に降りかかってくると言っても差し支えない位です。

主債務者自身の原因であっても、自宅を競売で失ってしまった方が更に残債の返済を請求されたら、頑張って返済しよう考えるでしょうか?

自宅の競売後は自己破産も怖くない!

正直なところ自宅の競売を経験した方にとって、自己破産は絶対に避けたい事態と感じるよりも、煩わしい請求が無くなることを考えれば、魅力すら感じるかもしれません。

その一方で連帯保証人の立場から見れば、自身で利用した借金でもないのに金融機関から返済を迫られます。

連帯保証人が請求から逃れるために自己破産では、到底受け入れがたい現実となってしまいます。

連帯保証人は自己破産を受け入れられない

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連帯保証人が任意売却を拒否するときは覚悟が必要

 連帯保証人が任意売却を拒否するときは、競売後の残債の対処を覚悟しなければなりません。

もちろん、連帯保証人が協力した任意売却でも競売でも、残債があれば連帯保証人にも請求されるのは当然です。

その場合は、できる限り主債務者が返済に努め、連帯保証人に対しての請求は極力抑えてもらうよう、金融機関にお願いできるケースもあります。

一方で、連帯保証人が任意売却を拒否した結果の競売では、どうでしょうか?

連帯保証人が任意売却を拒否したら?

  • 主債務者の協力:無し
  • 残債の対処:連帯保証人のみ

主債務者の協力は、一切期待できません。

残債については、連帯保証人だけで対処することが必要になります。

連帯保証人が「主導権」を握っていると考えているとするならば、それは一時的な期間に過ぎず、むしろ「主導権はなし」に等しいと言えます。

そのため住宅ローンが完済されるまで、連帯保証人がその責任と負担から逃れることは容易ではありません。

連帯保証人の責任と負担は完済まで続く!

金融機関から見ると同じ債務者

 連帯保証人と主債務者は当人同士で考えれば、全く異なる立場に見えます。

しかし金融機関から見れば、どちらも同じ債務者でお金を貸した相手と変わりません。

そのため1つの借金でも連帯保証人と主債務者の両者に対して請求可能で、連帯保証人に対して遠慮する必要も全くありません。

連帯保証人と主債務者の関係で大切なのは、借りたお金をどちらが消費したかは関係ありません。

どちらが借りたを考えても無意味

連帯保証人とトラブル共通点はただ1つ!

任意売却で連帯保証人とトラブルになる共通点は1つ

 一度、連帯保証人になってしまった者は、その借金が完済されるまで返済の義務が付いてまわります。

そして、連帯保証人との関係性で任意売却がスムーズに進められず、トラブルとなるケースには、ある共通点があります。

それは、状況が悪化し「どうにもならない状況」で連帯保証人へ連絡してくるからです。

連帯保証人

こんな状況になって連絡するなんて

連帯保証人にしてみれば『連絡が遅い』この1点に尽きます

任意売却が必要とされるとき、連帯保証人の存在は無視できません。

そのため、任意売却へ至る状況でありながら、「連帯保証人がその事実を知らない」となれば、連帯保証人の気持ちとしては素直に受け入れられないのは当然です。

怒りにまかせても連帯保証人の立場は変わらない

いきなり任意売却の同意を求めても寝耳に水

 いきなり、「任意売却に同意する旨の書類」にサインを求められた、連帯保証人としては、どうすればいいのでしょうか?

深刻なトラブルに直面し、大変驚き動揺します。

それは、主債務者の伝える順番が全くの逆だからです。

〈伝える順番が間違っている〉

  • ✕ 任意売却に連帯保証人の同意が必要だから連絡
  • 〇 事前に連帯保証人にも相談した結果が任意売却

連帯保証人にも多大なリスクが及ぶため、任意売却に同意してもらうならば、順を追って丁寧な説明が必要です。

同意が必要だから連絡した」では、例え任意売却が合理的でも自分勝手な都合に聞こえ、拒絶したくもなります。

その反面、返済が厳しくなった時点で相談してくれていたならば、任意売却が最も合理的だと判断できます。

連帯保証人にも任意売却は合理的

連帯保証人がやってはいけない行動

 連帯保証人がリスクを最小限に抑えるには、注意しなければならない点があります。

金融機関からの連絡で、主債務者の返済が滞っている事実を知らされたときは気を付けてください。

連帯保証人がやってしまうと、より深刻な事態を引き起こします。

いわば連帯保証人のNG行動を以下に記載します。

〈連帯保証人3つのNG行動〉

  1. 主債務者(借りた本人)に対して感情的になる
  2. 金融機関の連絡を無視、または突っぱねる
  3. 任意売却に協力しない

1.主債務者(借りた本人)に対して感情的になる

 本人と連絡が取れ、詳細の確認を行うと、やはり借金の返済ができていなかったとしましょう。

連帯保証人のあなたは、怒りが込み上げてくると思います。

しかし、ここで感情に任せて怒りをぶつけることは、絶対にやめましょう。

その後、お互いの意思疎通が困難になる可能性もあり、マイナス以外ありません。

感情的では良い結果は生まれない

2.金融機関の連絡を無視、または突っぱねる

 主債務者が離婚した元夫などの場合、連帯保証人である元妻のもとへ突然、請求や連絡が来ることがあります。

「本人と連絡を取ってみる」とその場では伝えたものの、その後は「もう離婚したから関係ない」と連絡を無視したり、突っぱねたりしてしまう方も少なくありません。

しかし、連絡を無視し続けても、事態が好転することは絶対にありません。

それどころか、借金を大幅に減らせるはずだった「任意売却のチャンス」を自ら逃してしまうことになります。

任意売却を拒絶して競売へ移行すれば、最終的に一番困るのは連帯保証人自身です。

主債務者が完全に返済不能に陥っていれば、債権(住宅ローン)は保証会社や債権回収会社(サービサー)へと移り、その先は強制執行などの法的措置に発展してしまいます。

主債務者の協力も得られないまま、競売後の残債をすべて背負わされる可能性もあります。

無視の代償が思わぬ結果を招く

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3.任意売却に協力しない

  この点については、すでに「競売後に残債があると連帯保証人にデメリット」で説明済みのため、割愛しますが、任意売却を拒否した結果は深刻で、むしろ連帯保証人の方が追い込まれてしまうリスクを負っている場合もあります。

任意売却の同意は早期の債務削減

任意売却後の残債があると連帯保証人の自宅はどうなる?

連帯保証人の自宅などへの影響と、知っておくべき回収の現実

 もし任意売却をして残債が生じたら、「連帯保証人の自宅や給料はすぐに差押さえられてしまうのか?

これは、連帯保証人自身が最も恐れているポイントであり、主債務者もまた、最も気に病む部分です。

結論から言うと、連帯保証人に独自の資産(持家や預貯金、一定以上の給料)がある場合、それらはすべて金融機関からの回収対象(差押さえの候補)になります。

ただし、現実には、すべてが機械的に差押さえられるわけではありません

有無を言わさず回収とはならない

連帯保証人に任意売却後の残債を請求しないと約束する金融機関は無い

 連帯保証人・連帯債務者の立場は非常に厳しいものです。

当事務所には、主債務者(借りた本人)の方から、以下のような相談を受けたこともあります。

相談者

 連帯保証人(父)に迷惑を掛けたくない。
そちら(当事務所)へ任意売却を依頼したら、私が残債の返済を続ける限り、父に請求しないと債権者に約束させることはできますか?

筆者

 お気持ちは痛いほど分かります。
しかし、債権者に約束を取り付けることは、100%不可能です。

連帯保証人のお父さまを気遣っての相談ですが、返済不能の結果、任意売却へ至ります。

連帯保証人に対しは、すでに全額請求が可能です。

 相談者(主債務者)の誠意は感じますが、「連帯保証人に請求しない」と約束する債権者はいません

ただし、任意売却後の残債について、主債務者の返済計画が早期に完済が見込めるようであれば、話は別です。

債権者も書面等の公式な約束こそしないものの、連帯保証人への請求を控えてくれるケースはあります。

残債がある限り連帯保証人は逃れられない

無剰余取消や法的整理の可能性 ─他のローンで救われる現実もある

 もし任意売却で残債が生じた場合、連帯保証人が所有する自宅などの不動産が、すぐに差し押さえられて競売にかけられるかというと、実はそうとも限りません。

実は、連帯保証人自身が住宅ローンなどの利用が無く、「不動産が担保に入っていない状態」のときが一番危険です。

一方で、すでに他の住宅ローンなどの担保になっていると、逆に自宅を手元に残せる可能性が高くなります

これは、回収できる見込みがない競売を裁判所が認めない「無剰余取消(むじょうよとりけし)」という仕組みが関係しています。

【関連記事】なぜ別のローンがあると差し押さえられないのか?「無剰余取消」の仕組みと実例はこちら

また、上記の無剰余取消と同様に、連帯保証人の自宅に自身の住宅ローンが残っており、今回の残債請求で生活が破綻しそうな場合は、むしろプラスに働くこともあります。

一定の条件を満たせば、自分の住宅ローンの返済を続け、連帯保証人としての債務だけを大幅に圧縮できる法的な解決策(個人再生の住宅ローン特則など)もあります。

連帯保証人が自身の自宅を守りながら、重い負担を法的に整理する具体的な手順については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】住宅ローンを残したまま借金を大幅に減らす「個人再生」の手続きと注意点はこちら

【要注意】連帯保証人・連帯債務者の地位は相続される

 多くの人が見落としている最悪のリスクが「相続」です。

主債務者が毎月少額ずつでも返済を続けている間、金融機関は連帯保証人への強硬な請求を控える傾向があります。

そのため、連帯保証人・連帯債務者の親族は、時間が経つほど「もう解決した」と錯覚し、自覚が薄れていきます。

借金が完済されない限り、連帯保証人・連帯債務者の地位は消滅しません

この状態のまま連帯保証人や連帯債務者が亡くなると、その「負の遺産(連帯保証債務)」は、何も知らない相続人に、引き継がれます

親の実家などを相続した後、突然サービサーの請求が開始される可能性もあります。

この点は、債務者すべてに共通することなので、元気なうちに可能な限り解決させておくことが最も重要となります。

次の代へ引き継がせない判断を!

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関係が悪化する前に第三者を交えた対応も有効

 任意売却における連帯保証人の問題は、単なる不動産の手続きではありません。

当事者同士の感情が複雑に絡み合う、極めてデリケートな問題です。

一度引き受けてしまった連帯保証人や連帯債務者は、後戻りはできません。

したがって、過酷な立場から解放されるには、元凶である借金総額を一日も早く減少させる以外にないのです。

 主債務者から任意売却の協力を求められた場合は、感情は抑え、冷静に話し合い協力する姿勢を持つことが何よりも大切になります。

当事者同士(親族や関係者間)で話し合うと、過去の遺恨や返済の恐怖から、感情的な押し付け合いも考えられます。

もし少しでも話し合いが難しいと感じる場合は、任意売却の専門家など「第三者の力を借りて進める」のも1つの方法です。

関係性が完全に破綻し、競売のタイムリミットを迎えて手遅れになってしまう前に、まずは冷静な一歩を踏み出してください。

第三者の介在で合理的な判断が可能に!

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FAQ:よくある質問

主債務者(借りた本人)へのあてつけで、任意売却を拒否し続けたらどうなりますか?

 拒否することは自由ですが、競売へと発展するため、その結果生じるであろう残債(ほぼ確実)の返済を主債務者には期待できず、そのすべてが連帯保証人・連帯債務者の元へ請求されるのが目に見えているからです。

任意売却に「協力あるのみ」と言われるのはなぜですか?

 連帯保証人・連帯債務者が、その重責を軽減させる現実的な道が「元凶である債務の削減」だからです。

感情的に拒否するよりも、主務者と足並みを揃えて「協力あるのみ」と割り切り借金の総額を減らすことが、結果として連帯保証人・連帯債務者の身を守る最大の防衛策になります。

滞納が始まったら、連帯保証人・連帯債務者は信用情報(ブラックリスト)にも傷がつきますか?

 はい、主債務者が滞納を続け、債権が保証会社に移行(代位弁済)したり法的措置が進んだりすると、連帯保証人・連帯債務者の信用情報にも事故情報が登録されます。

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。
競売間近の自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談、そして、住宅ローンの滞納や住宅ローンによる老後破綻など、『お金と不動産の専門家』として難易度の高い任意売却に精通し、「不動産に関わるお金の悩みの解決」に取組んでいます。
「ADR」と呼ばれる法務大臣認証の裁判外紛争解決機関(一社)日本不動産仲裁機構の調停人としても登録しています。

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