45年ローンで購入した1Rマンションこのままで大丈夫?

 35年の住宅ローンは珍しい話ではありません。

その上の45年の住宅ローンは扱う金融機関も限られ、利用者も決して多いとは言えないでしょう。

しかし、誰しも住む家は必要なので、例え45年の長期ローンでも無理のない返済ならば、それも選択肢の一つです。

しかし、ご自身で住む訳でもないワンルームマンションの購入に、45年もの長期ローンを組んでまで購入するのは果たして、それだけのメリットが存在するのでしょうか?

FP&不動産コンサルの有資格者が「投資用不動産の45年ローン」について解説していきます。

目次

新築ワンルームの45年ローン

 数年前から45年ローンが投資用不動産の購入に利用されている話をよく耳にします。

営業マンに勧められるまま、新築ワンルームマンションを45年ローンで購入したとき、そのまま所有し続けても問題はないのでしょうか?

ローンに関しては長期でも短期でも、返済が滞らない限り問題はありません。

ただし、手持ち資金がないため借入れをしているならば、返済額を上回る収入が無ければ持ちません。

現実的な問題として、45年間、毎月継続して返済が可能なのか?

支払い回数にすると540回です。

最終的には、ここに行きつきます。

そして、仮に540回払いを完済しても、その時は築45年のワンルームマンションです。

いくらで売却できるのか?

45年後では想像もつきません。

リスクを上回るメリットが感じられない

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購入前の返済シュミレーションは現実的なの!?

 そもそも購入前に示された、返済シュミレーション通り、順調に家賃を受け取れれば問題はないでしょう。

しかし、空室が続けば想定していた返済シュミレーションは、いとも簡単に崩れてしまいます。

誰が新型コロナウィルスで、世界経済に影響が及ぶことを想像できたでしょうか?

東京オリンピックさえも延期となりました。

わずかな期間に、これだけ大きな変化が起きている中、30年~40年先の家賃を予想するのは不可能です。

45年ものローンを組んでワンルームマンションの購入は、ある意味バクチのようなものです。

例え20才の青年でも、完済時には65才となり年金受給も可能な年齢になっています。

少し考えれば、恐ろしい話です。

人生の半分以上も続く返済プラン

なぜ、45年もの長期のローンが存在するのか?

 金融機関も長引く低金利政策のため、稼ぐには高額で、尚且つ長期で貸さなければ、安定的な利益が望めません。

そうなると、不動産を担保にお金を貸せば、より高額で長期間に渡って金利を稼ぐことができます。

住宅ローンは金融機関にとって、うってつけの商品なのです。

しかし、既に金融機関の競争は激化、住宅ローンの借換まで力を入れて、顧客の奪い合いが起きています。

では、同じ不動産でも投資用となれば、融資に消極的な金融機関も多く、ましてや45年もの長期ローンであれば、競争相手が少ないので市場でも優位に立てます。

しかし、理由はそれだけではありません。

借手にメリットは感じられない

 低金利政策の影響により、不動産価格が高騰しました。

その結果、新たに販売されるマンションにも価格が反映されたことは、ご存知だと思います。

もちろん、建築資材の高騰も一つの要因です。

当然、新築の投資用マンションの価格にも影響は出ました。

しかし、そこにつられて家賃が上昇したかといえば、そうでもありません。

国民の所得増が実感できないまま、住宅の家賃が上昇するのは、現状では少し無理があります。

家賃はさほど上がらないのに、販売価格が上がってしまったのです。

今までは35年ローンで新築ワンルームマンションを販売してきましたが、もう毎月の家賃だけでは返済が全く追いつかなくなり、そこに45年ローンが登場しました。

【2,000万円を金利1.8%で借りた返済額の比較】

〇 35年 月額返済額:64,218円

〇 45年 月額返済額:54,066円

【家賃が70,000円とした場合の月々の収支】

管理費と修繕積立金は合計10,000円とします。

〇 35年  64,218円+10,000円=74,218円(支出額)

  手取り 70,000円-74,218円= -4,218円(毎月赤字)

〇 45年  54,066円+10,000円=64,066円(支出額)

  手取り 70,000円-64,066円= 5,934円(毎月プラス)

※ 返済方法は元利均等です。

 管理費と修繕積立金の支出を含めると、35年ローンでは毎月持出しが必要ですが、45年ローンにすると毎月手元に残ります

一見すると不動産投資が成り立っているようにも感じます。

高額な物件を購入させるには、都合よくできたローンです。

繰り返しになりますが、購入時のシュミレーション通りであれば、何とかなるでしょう。

しかし、その様な保証もないため、購入者は皆不安になっているのです。

正直なところ45年ローンのメリットについて、何か1つでも挙げたいのですがワンルームマンションの購入となると見当たりません・・・

メリットは皆無

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45年ローンのワンルームは売却可能か!?

 45年ローンに不安があれば、やはり手放してしまうことが一番楽になれる方法です。

その際問題になるのは、市場での売却価格がローンの残債を上回るかがポイントになります。

スグには無理でも10年後位ならば、残債も減るので持出し無しで売却できないかと考えたくもなります。

それでは、10年後、20年後の残債を35年ローンと比較してみます。

【2,000万円を金利1.8%で借りた残債の比較】

〇 35年 (420回払)

  10年後の120回目 残債:15,504,690円

  20年後の240回目 残債:10,123,558円

         返済総額:26,971,415円

〇 45年 (540回払)

  10年後の120回目 残債:16,838,366円

  20年後の240回目 残債:13,053,719円

         返済総額:29,195,673円

※ 返済方法は元利均等です。

 自己資金¥0で購入、借入額を購入価格として考えれば、35年ローンで10年後は1,550万円、45年ローンで10年後は1,680万円で売れなければ、持出しが必要となってしまいます。

10年後の売買価格は正直分かりませんが、45年ローンの利用者はここ数年で購入しているため、不動産価格の高い時期と重なります。

残債を元に売却価格を求めた時の表面利回りを計算してみます。

10年後なので現実的かは分かりませんが、家賃は同じ月額70,000円とします。

【残債を売買価格に表面利回りの計算(10年後)】

  月額70,000円×12ケ月=年間家賃収入 840,000円

〇 35年 84万円÷1,550万円×100=5.4%

〇 45年 84万円÷1,680万円×100=5.0%

 表面利回り5%台、東京の中心部であれば売れますが、それ以外は難しい状況ではないかと思います。

また、実際の売却時には、諸費用も必要になりますし、家賃も7万円に届かない可能性も高いでしょう。

従いまして、10年後でも現金の持出し無しで、手放すのは簡単ではないと考えるのが妥当です。

さすがに20年後の家賃は予想しづらいので、利回り計算は控えますが、残債に関しては1.8%の金利が続けば変更はありません。

結局は新築ワンルームマンションで、得をするのは誰かを考えると売る側・お金を貸す側のように感じてなりません。

金利の上昇には注意

 ここまでは、金利の変動については触れてきませんでしたが大変重要なポイントなので説明します。

長らく低金利が続いてきましたが、低金利である以上更に金利が下がる余地は、ほぼ無いでしょう。

裏を返せば45年という長期では、金利上昇の可能性は大きいと考えるのが一般的です。

先ほどは【2,000万円を金利1.8%で借りた返済額の比較】でしたが、2,000万円で金利+0.5%と+1.0%上昇した際の計算をしてみます。

【2,000万円を借りた金利ごとの返済額の比較(45年ローン)】

〇 1.8% 月額返済額:54,066円

〇 2.3% 月額返済額:59,484円 +5,418円  年間 65,016円

〇 2.8% 月額返済額:65,183円 +11,117円 年間 133,404円

 仮に金利が1.8%から1%上昇して2.8%になった場合、上記の例からすると月11,000円ちょっとの負担が増えます。

この程度なら何とかなる?と安易に考えてしまうのはナンセンスです。

当事務所へはワンルームマンションを1部屋あるいは2部屋ほど所有して相談を寄せる方は限りなく少数です。

つまり、相談者は5部屋、6部屋は普通で10部屋以上所有されているケースも珍しくありません。

金利が上昇して月々の返済額が10,000円上昇したら5部屋で月5万円、年間で60万円です。

更に10部屋なら月10万円、年間で120万円の負担増となります。

複数戸所有ならば要注意

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45年ローンの返済が苦しければ任意売却を検討する

 今現在、ローンの返済が生活を圧迫しているような状況であれば、方法はただ一つ、見切りを付けるしかありません。

つまり、自らの意志で返済をストップする、その決断する時期が訪れたことになります。

現金の持出しができないときは、任意売却という方法で売ることが可能です。

もともと購入者にメリットは見当たらないため、早期に対処してしまえば立ち直る時期も早くなります。

投資用不動産の購入者は、ローンが利用しやすい社会的地位の高い方が多く、その分ローンの返済を滞らせてしまうことには、相当な抵抗があることは理解できます。

しかし、45年にも及ぶ、いわば人生を掛けて返済するようなローンが、ご自身で住むことも無いワンルームマンションだった・・・と考えればいかがでしょうか?

そもそも必要無いものを処分する

ごく普通のことになります。

早期に対処すれば立直りも早い!

当事務所は、住宅ローンや他の不動産担保ローンの返済に苦しむ方々に無理をせず、任意売却で対処する際のお手伝いをしております。

相談者は投資用不動産のローンと同時に、住宅ローンも抱えているケースもあります。

状況によっては、自宅は手放さずに済む方法も残されており、あと一歩遅かったとなる前に、まずは相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。最近では特に自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談が数多く寄せられ、お金と不動産の専門家、FP宅建士として難易度の高い任意売却に精通し、不動産に関わるお金の悩みの解決に取組んでいます。

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