不動産競売と差押えの違い・流れを徹底解説

住宅ローンの滞納が長く続くと、裁判所主導で強制的に不動産が処分されます。

この措置は不動産競売と呼ばれ、手続きがはじまってしまうとそれ以降は返済計画などの話し合いには応じてもらえません。差し押さえられた不動産は売却され、その代金は債権の回収に充てられます。

住宅ローンの返済が難しくなった時、早めに行動すれば家を手放さずに済む可能性があります。しかし、何もせず滞納が続けばいずれ家は差し押さえられ、競売にかけられるでしょう。

住宅ローンの滞納でお悩みの方のため、この記事では競売を回避する方法を解説します。

目次

不動産競売とは

住宅ローンの返済が滞ると、債権者(金融機関)は担保の不動産を処分して債権を回収しようとします。

不動産競売(以下、競売とします)はその手段の一つです。競売は、債権者の申し立てが裁判所に認められた時点で手続きがはじめられます。

債務者の不動産を強制的に売却すること

競売は、債権者の申し立てを受けた裁判所によって強制的に執行されるものです。

住宅ローンを滞納すると、滞納回数や経過期間に応じて以下の通知が送付されます。

  • 督促状
  • 催告書
  • 期限の利益喪失予告書
  • 代位弁済通知
  • 競売開始決定通知書
  • 競売の期間入札通知書など

競売は、住宅ローンを一度滞納したからといってすぐにはじまるものではありません。再三にわたる通告に対し、何の対処もしなかった時に限り強制的に行われます

競売によって家が落札され、買主が代金を支払うと、その時点で不動産の所有権は買主へ変更されます。当然ですが、売買手続きがすべて完了するとそれ以降その家には住み続けられません。

立ち退きまでの期間は、債権者が競売を申し立ててから約1年が目安となります。

裁判所主導で行われる

競売は、裁判所の権力によって執行されます。

不動産の最低売却価格(売却基準価額)を決めるのも裁判所で、最高値で落札した人が当該不動産の所有者となります。強制力のある措置なので、現況調査※や退去を拒否することはできません

※裁判所が任命した執行官が、競売に先立って物件の調査をすること。室内外の写真撮影や居住者への聞き取りなどが行われます。

家だけでなく土地も競売の対象となる

不動産競売は、住宅ローンを滞納した債務者が所有する「不動産」を売却し、債権を回収するための手段です。

民法では、家だけでなく土地も不動産として定義されています。したがって、競売では家と土地の両方が売却の対象となります。

土地及びその定着物は、不動産とする。

引用元:民法第86条

差押えとは

差押えとは、債務者が所有するものや権利を債務者が自由に処分・売却できないようにすることです。

住宅ローンの滞納者に対しては、家や土地などが差押えの対象となります。

借金や税金を回収するための法的手段

差押えは、債権者である金融機関が債権を回収する目的で行われます。

債務者が滞納を続けると、債権者は本来回収できるはずだったお金を回収できません。債権を回収できなければ、企業としてのキャッシュフローが悪化し、最悪の場合不良債権を抱えることになるでしょう。

差押えは、不良債権による収益減少から債権者を守るための制度であるともとらえられます。

差押えができるのは、裁判所、税務署、役所などの公権力を持った機関のみです。差押さえた財産は売却・換価されたのち、債権者に配当されます。

家や車、給与などが対象となる

差押えが行われるケースは、住宅ローンに限った話ではありません。

税金や消費者金融からの借金を滞納すれば、給与や預金、自動車なども差押えられる可能性があります。財産とみなされるものは差押えの対象となり、執行されると所有者は財産を自由に処分することができなくなります。(財産の隠蔽を防ぐため)

差押えできない財産があるって本当?

差押えは強制執行により行われるものですが、すべての財産を差し押えていいわけではありません。

私たち日本人は、憲法第25条により「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利が保証されています。この権利を守るために、借金を抱えた人であっても以下に該当する財産は差押が禁止されています。

  • 生活に必要な家具や家電、衣類など
  • 1ヶ月分の食料や燃料
  • 現金(66万円まで)
  • 仕事で必要なもの(例:農業従事者等の農器具、漁業従事者等の漁具など)
  • 礼拝や祭祀に必要なもの
  • 義足や義手など

差押え=何もかもが奪われるというイメージをお持ちの方は多いですが、それは誤解です。ごく一般的な生活を送るのに必要な財産は、たとえ現金であっても決められた範囲内であれば所有が認められます

不動産競売の流れ

不動産競売は以下の流れで進められます。

  1. 住宅ローン滞納による督促がはじまる
  2. 期限の利益を喪失する
  3. 保証会社が残債を一括返済する
  4. 債権者が裁判所へ競売を申し立てる
  5. 現況調査が行われる
  6. 入札がはじまる
  7. 売却される(立ち退きする)

ここからはそれぞれの流れをより詳しく解説していきます。

1.住宅ローン滞納による督促がはじまる

競売は住宅ローンの滞納からはじまります。

一般的には、滞納開始から3〜6ヶ月ほどで督促状や催告書が届きます。(文書だけでなく電話で返済を促す債権者もいます)

2.期限の利益を喪失する

債権者からの督促に対し、何のアクションもしなければ「期限の利益喪失届」という通知が届きます。

期限の利益とは?

総支払額が高額になる住宅ローンは、多くの場合「毎月◯日に◯円ずつ返済する」という内容の契約を結びます。

この契約には「◯日までは債務を履行しなくてもいい」という意味があります。(毎月27日を返済日と定めたのであれば、26日までは返済を待ってもらえるという意味です)

期限の利益とは、期限を定めることにより債務者が得られる利益、すなわち返済を待ってもらえるメリットのことです。

期限の利益を喪失するタイミングは、滞納開始から6ヶ月頃が一般的です。

3.保証会社が残債を一括返済する

期限の利益喪失後、債権者は保証会社に対し残債の一括返済を求めます。

保証会社が残債を肩代わりすると、今後は保証会社が債務者に対し一括請求を求めます。(代位弁済請求)

4.債権者が裁判所へ競売を申し立てる

保証会社へ一括で返済できなければ、債権者が競売申し立ての手続きを進めます。

申し立てを受け、裁判所が競売開始を決定すると「競売開始決定通知」という通知が送付されます。

5.現況調査が行われる

現況調査とは、裁判所が任命した執行官が対象の不動産の状態を確認することをいいます。

調査の目的は、

  • 適切な評価価格の査定
  • 不動産の権利関係の把握
  • 不動産の形状の把握

などです。

現況調査では、居住者への聞き取りや写真撮影などが行われます。

6.入札がはじまる

現況調査が終わると、裁判所は対象不動産の買取希望者を公募します。

買取希望者は、裁判所に対して希望価格を提示して入札の意思を示します。

7.売却される(立ち退きする)

落札者が決定すると、裁判所による買手の審査を経て対象不動産は売却されます。

買主が代金を支払った後は競売物件の所有者が変更されるので、6ヶ月以内に退去しなければなりません

競売申立後はローン残債を一括返済しなければ競売は止められない

大切な財産を守るため、何としてでも競売は避けたいと考える方は多いです。

競売は、住宅ローンの滞納を続けた結果執行されるものです。したがって、競売を手っ取り早く回避するには残債を一括返済するのがもっとも効果的です。

とはいえ、滞納を続けた方が残債を一括で返済するのは難しいですから、一般的には別の方法で滞納問題の解決を目指します。

不動産競売を回避する方法

不動産競売は、度重なる督促に対し何の対処もしなかった場合に行われる、いわば最終手段のような措置です。

返済できないからと放置するのではなく、返済が難しくなりそうな時点で早めに行動すれば、競売を回避できる可能性があります。大切な家を失う前に、まずは以下2つの方法で競売回避を目指しましょう。

  1. 金融機関へ相談する
  2. 任意売却をする

ここからはそれぞれの方法をより詳しく解説していきます。

方法①金融機関へ相談する

返済日までにお金を準備できそうにない場合、まずは住宅ローン契約を交わした金融機関へ相談しましょう。

金融機関へ相談するメリットには以下のものがあります。

  • 一時的な返済猶予が受けられる
  • 返済期間を延長してもらえる(※35年ローンの場合は不可)

事前に相談すると、金融機関は一定期間支払いを猶予してくれることがあります。ローンの額によっては、返済期間の延長や金利減免などの救済措置を受けられることも

債権者も債権を回収できない事態は避けたいと考えます。お互いにとって最善の方法を見つけるためにも、返済に困った時は早めに金融機関に相談することをおすすめします。

方法②任意売却をする

強制力のある競売を回避するには、任意売却という選択肢もあります。

任意売却とは?

債務者自らがアクションを起こし、不動産を売却する方法のこと。競売とは異なり、通常の不動産売却と同じ流れで売却活動が進められる。債権者が同意した場合のみ可能

任意売却をする一番のメリットは、精神的負担を大幅に軽減できる点です。

通常の不動産売却と同じように売却活動を行うため、基本的には周囲に知られることなく手続きが進められます。一定の条件をクリアすれば、同じ家に住み続けられる可能性もあるのです。

任意売却は、弁護士や司法書士、また任意売却を専門とする不動産業者に依頼して進めるのが一般的です。

不動産競売と任意売却の違い

競売と任意売却は、どちらも不動産を売却することで債務を返済する方法です。

決定的に違うのは、競売が裁判所主導で行われるのに対し、任意売却は債務者本人の意思によって行われるという点です。

競売は、滞納を続けた結果何もせずにいる場合に強制的に行われます。一方、任意売却は債務者が自ら「任意売却をしたい」と専門家に相談することからはじまります。

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住宅ローンの滞納問題でお悩みの方へ

給与やボーナスカット、リストラなど、住宅ローンが返済できない事態は誰にでも起こりうるものです。

念願のマイホームを手放したくない気持ちはよくわかりますが、滞納を続けてしまうだけだと競売開始は避けられません。住宅ローンの滞納でお悩みの方は、一人で抱え込む前にまずは金融機関や専門家へ相談しましょう。

当事務所では、任意売却に関するご相談を受け付けております。ご相談は無料ですので、お気軽にお問合せください。(無料相談はこちら

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この記事を書いた人

小田嶋 譲のアバター 小田嶋 譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表。大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。現在は任意売却のコンサルタント及び不動産売買を行っており全国から数多くの相談が寄せられる。

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