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住宅ローンの借換え失敗で老後破綻の危機
低金利の影響で、住宅ローンの借換えをされた方、そして検討されている方も多いと思います。
月々の返済額の減少や完済時期を早める効果があり、費用は掛かってもトータルでは、かなり総返済額も減ることになります。
しかし、安易に返済額を減らしたため、定年後に再雇用されても住宅ローンの返済ができなくなると分かったとき、あなたはどうしますか?
当事務所に寄せられた相談事例も紹介し「住宅ローンの借換えで失敗せずに老後破綻を回避する方法」をFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。
完済時期の先延ばしは老後破綻のリスク大
住宅ローンの借換えでは、元々のローン残高や金利にもよりますが、人によっては3つの選択肢があります。
どれを選ぶかによって、大切な老後が大きく左右されることがあります。
住宅ローンの借換えといっても、形式的には他の金融機関で新たに住宅ローンを借りることになります。
金融機関によって、色々なプランが存在しますが、基本的には借換え前の住宅ローンとの比較で主に上記の3点が重要になります。
注意するのは「3.完済時期を先延ばし」となり、こちらを選択してしまうと老後破綻のリスクが大きくなります。
上記1~3の順に説明しますので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
住宅ローン借換え3つの中でどれを重視?
1.完済時期が同じ
借換え前の住宅ローンと完済時期を同じ(ほぼ同じ)にします。
借換え前の住宅ローンで残っている返済期間が、そのまま新たに借換え後の住宅ローンの返済期間となります。
借換え前の住宅ローン 35年返済
↓
15年後に借換え
↓
借換え後の住宅ローン 20年返済
※ 借換え後も完済時期の変更なし
借換え前の住宅ローンの完済時期と同じため、金利の低下で月々の返済額を減らす効果があります。
老後の生活設計ができている方にとっては、月々の返済額減少分で更に生活に余裕ができます。
その差額分についても、老後資金の積立に回す、あるいは投資も検討できます。
また、少しまとまったら更に繰上げ返済に充てるなど、色々なプランが考えられます。
老後の設計ができている方は有効
2.完済時期を前倒し
今までと同じ返済額、又はそれに近い返済額にすると、金利が下がったので当初の予定より完済時期を前倒しすることが可能。
- 月々の返済額は同じ
- 月々の返済額に近い返済額
※ 借換え前の住宅ローンが苦しい方は不可
住宅ローンが早く終わるので、元々は老後の生活設計ができていなかったとしても、老後の生活を見つめ直すチャンスになるかもしれません。
住宅ローン完済時期の前倒しは、老後の生活(資金)に不安がある方にとっては非常に有効です。
「住宅ローンの完済年齢が75歳を超える!」と聞いても、今では驚くほどのことではありません。
しかし、日本の高齢者医療制度では、前期高齢者(65歳~74歳)・後期高齢者(75歳以上)に分けられています。
満75歳を超えれば、前期を過ぎて後期高齢者に該当する年齢です。
後期高齢者となっても住宅ローンが返済できるの?
もしも、70歳を超える年齢まで住宅ローンが続くならば、完済時期の前倒しが3年でも5年でも可能であれば、老後の不安は相当軽くなります。
もちろん、70歳を超える住宅ローンの完済でも、老後の設計ができている方は完済時期の前倒しにこだわる必要はないかもしれません。
老後の生活資金が不安な方に効果大!
3.完済時期を先延ばし(要注意)
住宅ローンの元金はいくら金利が低下しても変わりません。
当たり前ですね(笑)
住宅ローンを借換える目的は「利息分の返済額を減少させること」です。
ただし、住宅ローンの返済が負担となっている方にとっては、同時に完済時期の先延ばしも可能となるケースもあります。
現在では住宅ローンの完済年齢は80歳や、それ以上もあります。
借換え時の年齢も関係しますが、更なる月々の返済額の減少を目指して、完済時期を先延ばしてしまう方がいるのも事実です。
まず、金利が下がった分で月々の返済額が減ります。
そして、返済回数が増えるので、月々の返済額は更に減らすことができます。
完済時期を先延ばして本当に大丈夫?
もともと、住宅ローンの返済が苦しかった方が「完済時期の先延ばし」を選択してしまうのは、かなり危険な行為なのです。
住宅ローンの借換えの効果で「目先の生活は楽」になりますが、それだけ完済時の年齢も上がってしまいます。
しかし、何とか生活が安定しても、完済時の年齢が上がってしまうと限りなく老後破綻の可能性がアップします。
完済時期を先延ばしで老後の生活は深刻
完済時期を先延ばしが老後破綻のリスク増加させる訳
住宅ローンの借換え時は、皆さん何かしら仕事に就いています。
そのため、住宅ローンの借換え時は金融機関の審査基準を満たす収入があります。
しかし、安易に住宅ローンの完済時期を先延ばすと、定年後も住宅ローンの返済が続く可能性が高くなります。
多くの方が、定年後の収入低下は避けて通れない現実です。
定年後に年収アップは期待できない!
住宅ローンの返済が苦しいために、借換えて月々の返済額を減少させるのは効果的です。
しかし、同時に返済時期の先延ばしをしてしまえば、老後の収入の先細りには、どう対応するのでしょうか?
老後に住宅ローンの返済は、相当な負担となるのは明らかです。
いわば老後破綻一直線となります。
「無計画な返済時期の先延ばし」=老後破綻
数年先の現実でも行動できない人がほとんど
当事務所への相談事例を簡単に紹介します。
〈定年後の住宅ローンについての相談事例〉
住宅ローンを借換えて、返済期間を延ばしました。
現在、主人は定年退職して再雇用されましたが収入はダウン。
私がパートで働いているため何とか住宅ローンは返済しています。
しかし、数年後に主人は退職します。
その先は住宅ローンを返済していくだけの収入はありません。
どうしたら、いいのでしょうか?
相談者は、実際に住宅ローンを借換え済みです。
そして、返済期間を延ばした結果、数年先に住宅ローンが払えなくなることが判明しています。
借換え当時と状況も変化しました。
定年後の再雇用では想定していたよりも収入は減少、数年先は老後破綻ともなれば不安に押し潰されそうになります。
似たような相談内容は確実に増えています。
定年後の住宅ローンは悩みの種
どう行動すればいいのか?
数年後に住宅ローンが払えなくなることが分かっている場合、現時点でも生活は楽ではないと思います。
家計としては正常な状態とは言えません。
落ち着くはずの自宅が、実際は生活に重くのしかかっています。
「その家と決別すること」です。
老後破綻の原因は今の家
具体的には自宅を売却して、手放す以外方法はありません。
しかし、実際に行動に移せる方はほんの一握りの方だけです。
今は何とかなっているから、あえて厳しい選択を決断できないのが現実です。
老後破綻の回避は容易ではない
行動できない理由は
もう数年先に、老後破綻が分かっていながら行動できない理由は何でしょうか?
大きく分けると、以下のような理由となります。
〈老後破綻するのに行動できない理由〉
- 自宅の価格が下がり売却しても完済できない
- 離れた土地には引っ越せないため
自宅の価格が下がり売却しても完済できない
自宅の価格が下がり売却しても、完済できない方は通常の売買では不足分を用意しなければならず、無理な方がほとんどとなります。
住宅ローンという借金が自宅の価値を上回るオーバーローンの状態です。
なかなか決心はつかないと思われますが、その対処法はただ1つ。
「任意売却」となります。
それには住宅ローンの返済をストップし、滞納させなければなりません。
普通に考えれば難しい決断です。
老後破綻回避の任意売却は相当な決断力を要す
離れた土地には引っ越せないため
見ず知らずの土地に年老いてから引っ越すのは、どうしても不安はつきものです。
そのため、ある程度の狭い範囲に限定すると、どうしても近所の目が気になるようです。
ご近所の目が気になるのは、誰でも同じです。
今までは持ち家で、引っ越し先が賃貸となると引け目を感じるかもしれません。
なぜ、引っ越すのか?
勘繰られるのが嫌!
しかし、そこを気にして行動しなければ、不安を解消するのは不可能です。
つまり、ここを乗り越えなければ、住宅ローンが払えなくなる、その日は必ずやってきます。
結局は自宅を手放し、引っ越しも必要になります。
要は早く生活を再スタートして安定させるか、先延ばして流れに任せるか・・・ どちらかとなります。
先延ばしで結果は好転しない
老後破綻の回避に有効な住宅ローンの借換えは?
答えは、もう既に説明済みです。
〈住宅ローン借換え3つの選択肢〉の「2.完済時期を前倒し」となります。
現在の金融機関から別の金融機関へと住宅ローンを借換えることで、月々の返済額は同じでも金利が下がれば返済期間を短縮することが可能です。
その結果、借換え前の住宅ローンより早期に完済することが可能になります。
住宅ローンの完済年齢が早まれば、老後破綻の回避には非常に有効です。
今現在、変動金利で借りているから、低金利の恩恵を受けているので関係無いのでは?
金融機関も、住宅ローンの顧客獲得合戦を繰り広げています。
今では横並びの基準金利から優遇キャンペーンと銘打ち、かなりの低金利で1%以下は当たり前の状態です。
更に差別化を図るため「保険の内容が充実している」商品もあります。
最近ではホームページ上で、借換えのシュミレーションができる金融機関もふえましたので、まずは効果を検証してみるのが大切です。
ただし、借換えとなると諸費用が必要になり金融機関によって、その額は様々です。
住宅ローンの借換えには諸費用も必要
諸費用を含めたトータルの収支で、返済額が減少しなければ意味がありません。
また、過去に税金や国民健康保険料の未納で役所から自宅の差押えを受けたことが判明すると、それを理由に金融機関から断られる場合もあります。
それなりに条件も有、年齢や残債額、自宅の担保評価によって誰でもが借換えできる訳ではありません。
金融機関の審査が必要で、幾分ハードルは高くなります。
定年と同時に住宅ローンの完済が理想
交渉で金利が下がることもある
無事に、事前審査をパスし借換えが現実的になったら、1つ試て頂きたいことがあります。
それは、住宅ローンを借りている現在の金融機関に対して、借換えの審査が済んだことを引き合いにだし「金利引き下げの交渉」を行ってください。
金融機関にしてみれば、今まできっちり返済してくれた顧客を失うので、金利の引き下げに応じるケースもあります。
定年後も住宅ローンの返済が続けば、老後破綻の可能性は高くなり、自宅に住み続ける事は困難です。
かといって、愛着のある我が家を老後の不安で手放す決断は難しいことです。
借換えや金利の引き下げによる残債務の圧縮が可能であれば、早めに検討することで、その効果も大きくなります。
借換えなしで金利の引き下げもある