リースバックが大手企業の本社ビル売却で注目されました。
元々はセールス・アンド・リースバックを略してリースバックと呼ぶようになり、資金繰りの悪くなった企業が自社で利用している不動産を投資家へ売却します。
不動産を売却することで債務を削減するなどして、買手とは賃貸借契約を結び、売却前と変わらず不動産の利用を継続させてもらいます。
その後、業績が回復したら買戻す等の条件もあったり、なかったりといった感じです。
住宅ローンの返済苦とリースバックはセットになる?
いつの頃か、住宅ローンに悩み苦しむ方に対して、或は住宅ローンの返済がストップした方に、投資家の力を借りリースバックを実現するような触れ込みで、情報発信されるようになりました。
住宅ローンの返済が苦しく、この記事をご覧になっている方も、やはりリースバックが気になっているものと思います。
しかし、本当に自分の希望するリースバックが実現するのか?
半信半疑なのは間違いないでしょう。
リースバックの希望者と投資家にはギャップがある
リースバックの希望者は、少なくても5年や10年位は住み続けられるのでは!? という感覚で見ているのですが、実際は2年、3年程度が現実となります。
このリースバック期間のギャップは相当大きな壁に感じられるでしょう。
投資家が純粋に投資用不動産という位置づけで、購入する場合を想定して考えてみます。
近隣相場と比較して適正な家賃で、なおかつ高利回りを得られるならば、長期間に及んでリースバックを続けてくれる可能性はあります。
裏を返せば、投資家にとってその様な好条件で購入することは、売手にとっては相当な安値で売却することになります。
もちろん、建物の築年数や立地、その他の条件も関係しますが、投資家が無理してまで高値で購入する理由はありません。
また、安値でも構わないのでリースバックを望んでも大抵は無理な願いです。
住宅ローンの返済に苦しむ方に投資家が協力するリースバックは、よっぽどの事情でもない限りとても得策とは言えません。
10年を超えるリースバックはあり得るの?
住宅ローンが払えなくなった等、任意売却の現場ではリースバック希望者は多いものの、実現させる方は買手とは何かしらの縁があります。
また、短期間のリースバックを希望される方はまれで、ほとんどの方が長期間、そして将来的には買戻しも考えています。
繰り返しになりますが、投資家等の第三者がリースバックの買手となるケースは、完全に投資として利益の取れる価格でなければ、まず購入しては貰えません。
考えてみれば当たり前のことです。
10年を超える長期のリースバックは身内や友人・知人等の協力者がいれば成立の可能性は残されています。
いや、身内や友人・知人等の協力者がいなければ、ほぼ不可能です! のほうが正しいかもしれません。
なぜ、身内や友人・知人でなければリースバックは成立しないのか?
身内や友人・知人等のリースバックの協力者(以下、まとめて身内等とします。)は、全くの他人ではないため、リースバックの希望者が困っている時に助けてくれる者となります。
そして、身内等のリースバックは希望者に対し、助ける代わりに特に見返りを求める訳では無いからです。
何かしらの縁があるので、リースバックの希望者を信用し、ただ純粋に協力してくれます。
そのため長期にわたるリースバックを前提に話を決められ、同時に買戻しについても、状況次第で応じてもらえるからとなります。
ここまでは、長期のリースバックは身内等の協力が必要としてきましたが、ただ身内等の協力者が居れば成立するかという簡単な問題ではありません。
もう1つ重要なポイントがあります。
リースバックが成立する最大の要因
住宅ローンの返済苦によるリースバックの希望者は、単純に現在の住宅ローンが払えない、又は近いうちに滞納してしまう等の状況です。
長期リースバックの成功者は、ほぼ住宅ローンの残債分を上回る価格で対象となる不動産を身内等が購入しています。
更に、買取る不動産の価格に対しては、無理のない範囲ではありますが、相場云々ではなく(大幅にかけ離れると問題ですが・・・)リースバックにより、問題が解決できる価格で購入を決めてくれます。
例えば、税金の滞納等で不動産が差押えされていれば、税金の滞納分も買値にプラスして購入する等のケースも出てきます。
つまり、身内等が協力する長期のリースバックは不動産の売買金額について、購入資金の目途さえつけば価格は左程関係ありません。
実際、リースバックの希望者にとっては、仏様のような存在で、ここまでしても助けてらえる間柄でなければ実現しないのです。
そして、最終的には購入資金の準備ができるかに関わってきます。
リースバックの購入資金を金融機関から用立てるのは、元々取引のある金融機関など関係が無ければ難しいものです。
それでも、リースバックの協力者がいるならば、まずは相談するのが解決への第一歩となります。