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任意売却の相談で競売の不安が更に増大「それ営業トークです!」
任意売却の相談をどこにするのか?
意外に「任意売却の相談先探し」は難しいものがあります。
不安なので相談したのに、更に不安が大きくなってしまった・・・
実は、任意売却についても特有の「営業トーク」と呼べそうな表現があります。
「任意売却の相談で競売に対する不安が更に大きくなる営業トーク」について、任意売却に精通するFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。
「営業トーク」の説得力の有無は別ですが、初めての電話相談で相手のペースに飲まれないよう注意して下さい。
任意売却の相談で競売の不安をあおる「営業トーク」は3つ
当事務所も含め任意売却の依頼者がいなければ、仕事にならない部分もありますので「営業トークに走る」気持ちは理解できます。
しかし、相手の弱みに付け込み、過度に不安をあおるような言動は慎まなければなりません。
特に任意売却の相談者は自分の力だけでは解決できないため、悩み疲れて深刻な状況を他人に話しています。
ある意味、正常な精神状態ではない場合も考えられます。
そのような状況の中で「任意売却の営業トークは競売との比較で強調」されます。
後から考えれば「何だかおかしな説明だった」と後悔しないためにも、事前に正しい知識を持って相談に臨むことは大切です。
以下に、挙げる「3つの営業トーク」をある程度理解していれば、相談先の業者が任意売却に取組む姿勢が、どのようなものか判断する目安になります。
〈任意売却3つの営業トーク〉
- 売却額が安くなる
- 引越し費用がもらえる
- 残債を一括請求される
上記1.2.3.は、競売と比較すると「任意売却に利点がある!?」とされる営業トークとなりますが、順番に詳しく見ています。
そうすると「果たして本当なのか?」と疑問も生じることでしょう。
営業トークは任意売却と競売の比較!
1.売却額が安くなる
任意売却は市場価格で売却できるので、競売より高く売れると説明されているのは、任意売却関連のウェブサイトでもよく目にします。
この点も、何とも言えないところですが、否定しづらい部分でもあるので、そこは良しとしておきます。
注意して欲しいのは、競売時の入札価格になります。
専門用語になりますが「買受可能価額」を持出し、その価格で落札されると錯覚するような説明をすることもあります。
買受可能価額は、競売での落札価格とは異なります。
競売となった場合、最終的には「いくらで落札されたか?」
この落札価格が意味を持ちます。
では「買受可能価額って何?」となります。
「買受可能価額」を知るには、まずは競売時の「売却基準価額」について理解が必要です。
そのため競売時の「売却基準価額」、そして「買受可能価額」について順番に説明していきす。
売却基準価額や買受可能価額は落札価格ではない
競売の売却基準価額とは
競売では通常の不動産評価額(以下、市場価格)に競売特有のマイナス分(以下、競売のリスク)を差引き、裁判所が売却基準価額を決定します。
この売却基準価額の決定については、裁判所が不動産鑑定士に依頼して算出されます。
市場価格から、競売のリスクを考慮しー20%~ー30%の価格となっております。
この価格が競売時の「売却基準価額」です。
市場価格ー20%~ー30%が本当ならば不動産のバーゲンセール
競売の買受可能価額とは
買受可能価額は、裁判所が最低入札額を売却基準価額のー20%を下回らないようにと決めた金額です。
これ以上低い入札価格を裁判所が規制する金額で、いわば最低ラインとなります。
買受可能価額より低い入札額は不可
少し分かりづらいのでシュミレーションしてみます。
市場価格2,000万円のマンションを例に見てみましょう。
〈買受可能価額の算出例〉
市場価格2,000万円に競売のリスクー30%
↓ ↓
売却基準価額1,400万円に-20%
↓ ↓
買受可能価額1,120万円(この金額から入札に参加可能)
いくら競売のリスクがあるとは言え、市場価格2,000万円のマンションが1,120万円で落札できるなら、入札希望者が殺到します。
あり得ないの一言で片付く話です。
売却基準価額の1,400万円ですら、落札は非常に難しいのが現実です。
※ 任意売却の相談者が所有し、居住中の権利関係等に何ら問題の無い場合を想定しています。
つまり、売却基準価額や更には買受可能価額を持出し、競売の価格面で任意売却を勧めるならば、悪質な営業トークと言って差し支えないでしょう。
もしも、相談先の担当者が「今までに売却基準価額や買受可能価額で落札されてしまった相談者がいた!」とするならば、具体的にはどの様な不動産だったかのか?
エリアも含め、個人が特定できない範囲で詳しい状況なども聞いてみましょう。
聞けば聞くほど、その話が何だか怪しいと感じてくると思います。
まともな不動産が買受可能価額で買えるならニュースになる!
売却基準価額の落札も稀
売却基準価額以下で落札されるケースは、かなりの問題を抱えた不動産の場合となります。
仮に競売前に任意売却を希望しても、売出価格も相当低くなっていたと考えるのが妥当です。
最近では「負動産」なる言葉まで使われていますが、現実には所有するのが困難な不動産であったりタダでも引取手が見付からないようなケースとなります。
その「負動産」については「売るのではなく」お金を払って引取ってもらう、いわば不動産を粗大ゴミのように処分してもらうことも最近では珍しくなくなりました。
仮にこのような不動産が競売となれば、買受可能価額での落札は十分可能性はあります。
負動産なら、あり得る話だが・・・
2.引越し費用がもらえる
引越し費用については、競売になってしまうと、落札者から受取るのは難しくなっているのは事実です。
だからといって、任意売却で必ず引越し費用を手にできる訳ではありません。
また、引越し費用があったにしても、せいぜい20万~30万円が限度。
引越し費用が判断基準になる?
任意売却 or 競売
任意売却か競売に迷ったとき、20万~30万円の引越し費用が選択基準にはならないと考えるのが普通です。
20万円もあれば大変助かりますが、その20万円で任意売却を決断すること自体現実的ではありません。
多額の引越し費用、或は多額のキャッシュバックを強調するのは、そもそも怪しいと見るべきです。
ちなみに引越し費用に関して、金融機関からもらえるお金ではありません。
任意売却の場合、金融機関が不動産の売却代金を回収するべきところ、一部引越し費用として回収ぜず、手元に残してくれるというのが正しい表現です。
多額の引越し費用を受取れることが不自然
3.残債を一括請求される
競売で落札された後は「残債の返済を一括請求されるます!」
更には「残債の分割返済を認めてくれない」等の説明も信ぴょう性に疑問が生じます。
まず、任意売却に至るには返済がストップして数カ月経過しております。
その後、期限の利益を喪失しているため、もう既に一括返済の請求がされています。
任意売却前であれば相当な金額になり、競売後の比較ではないでしょう。
競売後に初めて一括請求される訳ではありません。
また、競売後は残債の分割返済は認めてくれないような説明もあるようですが、残債の金額が数百万円以上となる方は珍しくありません。
競売後の残債が一括請求されたら返済できる?
→ 無理(できるなら競売になっていない)
金融機関として分割返済を認めなければ、残債の回収見込みは、ほぼ¥0となってしまいます。
従いまして、競売後でも分割で返済してくれるならば、金融機関は大歓迎と言っても間違いではないでしょう。
一括返済以外無理ならば返済不可能
任意売却の営業トークに要注意な訳
任意売却の営業トークには、やはり注意して頂きたいと思います。
その理由として、任意売却の依頼を欲しいがために「誇大表現や都合のいい言葉」を並べられても実現性が無ければ依頼者はどうなってしまうでしょうか?
都合のいい言葉に代表されるのは「リースバック」も同じです。
任意売却でリースバックを成立させるのは現実的ではありません。
任意売却が必要とされる方は、経済的にも厳しい状況となり、すぐにでも現実を受入れることが重要です。
依頼者はご自身にとって、より望ましい提案をできる業者や相談して安心できる業者を求めています。
良いことばかりでなく耳の痛い話も、きちんと伝え納得のいく説明ができる業者が、依頼者のために動いてくれるものと筆者は考えております。
相談時の説明が納得できる?
任意売却は自分の意志
任意売却は言葉通りで、自らの意志で決定します。
そのため、任意売却を依頼する業者も自由に決められます。
不誠実な業者へ依頼してしまうこともありますが、間違いに気付き断るのも自らの意志です。
また、任意売却の相談は1社にとどめる必要はありません。
2社~3社程度は、相談している方は珍しくありません。
何度か相談を重ねれば、任意売却についても多少は理解も深まります。
おかしいと感じたら他の業者へ相談してみるのも、後悔しない任意売却の第一歩になります。
くれぐれも「任意売却の営業トーク」には注意しましょう。
任意売却は相談先も依頼先も自分自身で選択可能!