任意売却後の残債に利息は付くのか?返済の疑問

 住宅ローンが払えなくなり任意売却を検討すると、残債の返済についても考えるものです。気にされているのは任意売却後の残債を返済していく場合、その残債に対しても利息が付くのか不安になるようです。

住宅ローンを借りる時の契約書上では遅延損害金という名目で大抵の金融機関は14.5%の利息で計算します。つまり残債に対しては14.5%の金利が付くことになります。例えば、残債が1,000万円あると年間145万円の利息が付く計算になります。月にすると約12万円の利息です。この返済が可能なら任意売却もしていなかったと思います。

住宅ローンが払えない時の対処法

残債の計算方法

 まず、任意売却で残債がある場合、その残債はどのように算出されたものか? 詳しく見ていきましょう。

もともと住宅ローンやその他の不動産担保ローンを借りたとき、毎月決まった金額を決まった期日に返済する約束です。そして、その約束が履行されなければ延滞となり、その日から元金に対して遅延損害金を計算して請求してくるのが基本となります。

※ 以下は住宅ローンの残元金2,000万円(遅延損害金 年率14.5%)住宅ローンの延滞開始から1年後に任意売却(1,500万円)した場合の基本的な計算例(説明のため諸費用等の控除は省略)

残債の計算式

1 遅延損害金の計算

 2,000万円の1年間の遅延損害金 2,000万円 × 14.5% = 290万円

2 遅延損害金に充当

 売買代金1,500万円 - 290万円 = 1,210万円

3 元金に充当

 元金2,000万円 - 1,210万円 = 残債790万円

住宅ローンを含め借金の返済は利息や遅延損害金に対して、まずは充当され利息や遅延損害金が無くなれば元金に対して充当されます、金融機関との約定通りに計算すると元金790万円が残債です。

つまり、単純に元金2,000万円-売買代金1,500万円=元金500万円+遅延損害金290万円が残債とはならず元金790万円の残債となります。同じ790万円でも内訳が異なります。

無い袖は振れない

 そして、恐ろしいことに金融機関は残債に対しても金利(遅延損害金)を請求できます。しかし、実際には計算上金利を付して請求しても、返済してもらえるかは別の話になります。

もともと住宅ローンが約束通りに返済できず、任意売却に至るのに、その後、残債に遅延損害金も含めて返済していくのは到底無理な話で、まさに無い袖は振れないです。いくら債権回収のプロフェッショナル集団でも無いところから回収は不可能です。

そうなると数十万円の残債であれば別ですが多額の残債となると、どんなに遅延損害金も含めて請求しても机上の空論となってしまいます。従って、金融機関としては毎月いくら返済してもらえるかが重要で残債の遅延損害金が毎月いくら加算されるかは特に意味が無いものとなります。

ただし、毎月決めた金額を返済する場合は遅延損害金の扱いについてもどうするのか? 金融機関と口頭での約束ではなくきちんと書面にすることが望ましいでしょう。

民間金融機関の場合は債権譲渡される

 銀行等の民間金融機関の場合、大抵の住宅ローンは代位弁済後に保証会社と任意売却の交渉をします、無事に任意売却が済むと残債はサービサーに債権譲渡されることがほとんどです。

任意売却された方は新しく債権者となったサービサーと交渉し、引越し後の新生活を送りながら無理のない範囲で残債の返済をしていきます。その際には大幅な減額での和解ができるケースもあり、債権譲渡されても特に心配する必要ありません。

また、仮にサービサーが無理な返済を迫るようであれば、自己破産も選択肢としては残っていますので、そうなると残債の利息どころではなく、回収額が¥0になってしまいます。返済能力を失った方に厳しい取立をしても時間の無駄でしかありません。

住宅金融支援機構は残債の取扱いがはっきりしている

 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の場合は任意売却に関する申出書という書類にサインしてから任意売却を進めます。

その中には『残債務を完済できない場合には、延滞損害金を減額又は免除していただくようあらかじめお願いします』という文言が記されており、残債に対して利息は付けないとしています。ただし、住宅金融支援機構は現在のところ、債権譲渡や債権放棄はしないので返済し終わるまで住宅金融支援機構に払い続けることになり、民間金融機関と取扱いが異なる部分です。

また、住宅金融支援機構は残債の回収業務をサービサーに委託しますので任意売却後に債権譲渡されたと思われるかもしれませんが、あくまでもサービサーが住宅金融支援機構の依頼を受けて回収業務を行っているだけなので債権譲渡ではありません。

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