任意売却中に、当事務所へ相談してくる方も多いのですが、任意売却中となれば、既に依頼されている業者があり、任意売却が現在進行中の状態です。
その上での相談となると、相当な不安や不満、又は不信感が無ければ、この様な行動は起こさないと思います。
任意売却中の他社への相談
なぜ、任意売却中なのに、他社へ相談してしまうのか?
その原因として、以下の3つが考えられます。
任意売却の知識に乏しい
依頼された業者が、任意売却に慣れていない等、難しい局面では対応の不手際が目立ってしまい、質問しても、その答えが本当に正しいのか疑ってしまう。
このままで大丈夫なのか不安になり、他業者に説明を求めるケースです。
これは、依頼された業者が、経験不足なのは否めませんが、不正を働いている訳ではありません。
任意売却の障害になりそうな、あまりにも頼りない業者であれば、変更するしかないでしょう。
依頼者とのコミュニケーションが少ない
依頼者にとって任意売却は初めてで、何をするのも疑問があるのは当然です。
依頼中の業者へ質問しても、丁寧に答えていないケースや説明不足から、不信感が生じてしまいます。
任意売却業者にはありがちな、慣れからくるコミュニケーション不足が原因です。
問題なく任意売却は進んでいますが、依頼者に必要最低限の連絡しか行わない結果です。
疑問があれば遠慮せずに、どんどん質問してみましょう。
そうすれば担当者も説明や報告が足りないと気付き、以外にも簡単に不信感が解消されるかもしれません。
業者の対応が不自然で背任行為の疑い
背任行為は不正を行い依頼者である、お客様を裏切る行為です。
気付かないまま任意売却が成立してしまうと、お客様も債権者も不利益を被る可能性が大です。
不正を働くような業者に依頼していれば、事態はかなり深刻です。
相談に乗っている、こちらが驚くような内容もあり、売買契約の前か後かでも、その対応は変わってきます。
売買契約前
依頼者からの質問にも、きちんと答えず、詳しい状況も説明しない、怪しいと感じる業者は大変危険です。
業者との間で専任媒介・専属専任媒介のどちらかの契約書にサインしていますので、縁を切るには、契約を解除する必要があります。
その際、次に任意売却を依頼する業者を事前に見つけ、その業者と相談しながら状況に合わせ、契約の解除を申出ましょう。
ただし、任意売却には時間的な制約もありますので、できる限り見極めは早めに判断しなければならないでしょう。
売買契約後
任意売却の依頼者が買主も見つかり契約したが、売買金額も知らされず契約書にサイン、そのコピーも渡してもらえない方もいました。
不正が疑われるケースですが、契約済みなので依頼者(売主)からの売買契約解除には、違約等の問題も生じかねません。
まず、現状を債権者に伝えることをお勧めします。
この行動は、きちんと説明すれば、債権者もただ事ではないと察してくれると思います。
仮に不正があり、何かおかしいと感じながら取引を終えれば、依頼者が不正に加担してしまう可能性もあります。
また、債権者からすると不正があれば、回収額が減る可能性もあり、簡単には見過ごせない状況です。
書類の精査にはじまり、業者への聞取り等、一通り再確認されることでしょう。
不正があれば債権者が応じない
現状を債権者に伝え、不正が発覚した場合、売主にとって、もう一つメリットがあります。
任意売却の売買契約書には、債権者が抵当権の抹消に応じない場合、売買契約を白紙解除できる旨の条項が通常はあります。
つまり、契約に不正な行為があれば、債権者が抵当権を抹消しませんので、依頼者(売主)は売買契約を白紙解除することができます。
そして、不正を知らずに、売買契約書にサインした売主にも責任はありません。
すべて業者が仕組んだことです。
また、不正がなければ、依頼業者も困ることは無いので、疑ったことを気にする必要はありません。
そもそも、依頼者を置き去りにして、説明不足のまま話を進めた結果です。
依頼者は報酬の支払者
任意売却の依頼者は、不動産の所有者であり、売買契約書には売主としてサインします。
そして、任意売却が成立し、取引を終えれば、報酬として仲介手数料を業者へ支払います。
もちろん、任意売却の報酬は依頼者が工面する必要はありませんが、実質、依頼者が支払うことに変わりはありません。
任意売却の依頼者は、仕事を発注する、お客様であると依頼者が再認識すれば、業者に対して質問を遠慮したり、気遣う必要はありません。
疑問があれば、納得するまで説明を求めるのは、依頼者として当然のことだと、ご理解いただけると思います。
そして任意売却は依頼者・業者・債権者の3者、それぞれが信頼して成立するものなのです。
詳しくは『任意売却の相談はどこへ?業者選びが結果を左右する』のページもご参照下さい。
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