任意売却を依頼したら、少しはホッとできても、不安は完全に消えるものではありません。
時間が経つにつれ依頼中の業者が、本当に自分のために動いているのか?
何もしていないのでは・・・、つい疑ってしまう気持ちも、分からなくもありません。
その様な場合は、まず依頼した業者へ連絡し現在の状況をきちんと説明してもらえれば、大抵は納得のいく答えが得られると思います。
むしろ、依頼者が不安になり、納得のいく説明ができない業者であれば、任意売却に不慣れか、本当に怠慢の可能性も疑うべきかもしれません。
任意売却業者を変えるのは得策か?
業者からの説明も何だか腑に落ちない、任意売却中ではあるけれど、やはり業者を変えるべきか悩んだら、どうすればいいのか?
更に今回は競売開始後でありながら、他業者へ乗り換えるべきかに限定して考えてみます。
競売開始後の任意売却でさえハードルが高く、そこから他業者へ変更することで、本来の目的となる競売回避の妨げにならないか、とても心配になります。
任意売却専門業者も依頼を受けるか悩みどころ
当事務所にも競売開始後で任意売却中の方からの相談が舞い込み、内容からすると依頼業者の変更が望ましくても、残り時間との兼ね合いで、お勧めできない事案もあります。
また、同時に当事務所への依頼を要望される相談者もいらっしゃいます。
しかしながら、競売の進捗状況により、お断りする場合もあります。
依頼業者の変更を検討するときは、事前に他の任意売却の専門業者へ相談し、時間的な猶予があるか見極めてもらう必要があります。
もう、失敗は許されないため、任意売却の業者選びは慎重な判断が求められます。
競売申立後に業者を変える際のセルフチェック
任意売却を依頼する業者の変更が得策なのか、まずは御自身で分かる範囲で以下の2点を確認して下さい。
1 十分な時間があるか?
2 販売価格の決定要素
1 十分な時間があるか?
最も重要なのは、そもそも残された時間はあるのか?
こればかりは限られているので、最初に確認しなくてはなりません。
競売の申立がなされた裁判所に電話して、進捗状況を確認したいと事件番号を伝えれば、教えてくれます。
事件番号は裁判所から届いた書面に記載されています。 例) 令和02年(ケ)999号
開札のスケジュールが決まっていなければ、多少時間的に余裕はありますが、任意売却を依頼する業者の変更は、この辺りまでと考えて下さい。
裁判所のホームページに情報が掲載され、3点セット(競売物件の資料)がダウンロードできる状況であれば、開札のスケジュールも決定しており、この段階で任意売却を依頼している業者を変更しても、ほぼ時間切れとなるでしょう。
むしろ、依頼中の業者に対して、働きかける以外厳しい状況にあります。
ただし、次に説明する 2販売価格の決定要素によっては、依頼業者を変更しても間に合う可能性もあります。
2 販売価格の決定要素
任意売却で競売回避できるかは、買手が現れるか否かです。
結局は限られた時間の中で売れるか・売れないかのどちらかとなります。
大きく左右するのは、販売価格となり、この点で市場価格とズレが生じていると、売れるものも売れません。
時折、驚いてしまうのですが、任意売却中の販売価格が、どの様にして導き出されたのかを聞くと、任意売却を依頼した業者が、残債と諸費用等を足した金額で販売中ですと答えることがあります。
また、金融機関に配慮してか、市場価格からすると随分と高いなぁ・・・という印象で、これでは売れないと感じることもあります。
<任意売却する不動産の価格>
X 販売価格 = 残債 + 諸費用等
〇 販売価格 = 市場価格
任意売却の販売価格は基本的に残債が多い・少ないは無関係で、不動産の一般市場で取引できる価格が販売価格となります。
従いまして、残債や諸費用等を考慮した販売価格は、そもそも間違いです。
競売が開始された段階で、市場価格での販売を行わない業者は、おそらく任意売却についての知識が乏しいか、その他、多額の税金の滞納等何かしらの問題、があると考えられます。
依頼者が指摘するのも変ですが、残り時間を考慮に入れれば、業者に御自身が働き掛けて、適正な市場価格で販売できるよう、金融機関に対して交渉してもらうのが望ましいでしょう。
つまり、任意売却の知識の乏しい業者が、間違った価格で販売していても、価格を見直せば速やかに買手が見付かる可能性があります。
そのため、業者の変更する場合は、同時に販売価格の見直しができれば、残り時間が少なくても任意売却成立の可能性は、少なからず残されています。
販売価格の見直しをしないとなれば
競売が開始しているにも関わらず、市場価格での販売ができないようであれば、その業者とは早期に見切りを付けましょう。
他業者へ依頼することで間違った販売価格を是正し、適切な価格で販売できるため、買手を見付け競売を回避する可能性は格段に上がります。
その一方で任意売却の専門業者から見れば、やはり競売開始後に別業者への変更は、かなりの時間的なロスが生じるので、できる限り避けたいところです。
そのため、任意売却のスタート地点である、業者選びは競売回避の分かれ目となります。
根拠の無い数字や実績、都合のいいキャッチフレーズ等に惑わされること無く、見る目を持ってから任意売却の依頼をして下さい。
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