任意売却は依頼者にとって競売が回避できるか・できないかの重要な局面でもあります。
その反面、依頼される業者は任意売却に失敗し、不動産が競売で処分されてしまっても大したデメリットはあまり無いと、ふと感じることがあります。
タダ働きとなり時間もムダになりますが、その他は移動に掛かった費用やコピー代等といった具合です。
任意売却依頼後の嫌な予感
少し前にあった相談事例を紹介します。
『半年ほど住宅ローンを滞納したため、他社に任意売却を依頼したが不安になり、どうしたらいいのか・・・』
どうやら依頼中の業者に不信感があるようです。
その理由は、通常の不動産売却も同様ですが、依頼者は任意売却業者と媒介契約書という書面にサインし交付を受けます。
媒介契約書とは、宅地建物取引業法34条の2に定められた、売却を依頼する際に必要な契約書で、34条書面と呼ぶこともあります。
その業者は媒介契約書にサインを求めると、そのまま持ち帰り手元に何も無い状態とのこと。
○『任意売却で一般媒介はダメなの?専任媒介が必要な訳』の記事もどうぞ
媒介契約書の交付義務
実はこの相談者、住宅ローンの滞納が始まる前は、大手の不動産業者に残債を返済できる価格で売却を依頼していました。
しかし、それでは売れず一旦売却を諦めたのですが、結局は滞納してしまい、任意売却に至ったそうです。
従いまして、媒介契約書については、遅滞なく交付しなければならないこともご存知で、それ故に依頼した業者を不審に感じたようです。
なぜ、その業者に任意売却を依頼したのか?
相談者に業者の選択理由を尋ねると、近くなのでホームページを見たら『任意売却も対応可』と掲載してあったそうです。
そのため、近ければ簡単に相談できて、安心と考え任意売却を依頼した流れです。
当事務所として、アドバイスできるのは、まずは依頼した業者に連絡し、媒介契約書をサインだけさせて、なぜ交付してくれないのか確認することです。
そう伝えたところで、相談は終わると思ったのですが、相談者にはもう一つ気になることがありました。
不誠実な業者の手口
相談者が気になる、もう一つの理由は、レインズ登録の有無です。
確かにレインズの登録が無いとなると問題ですが、これも連絡してレインズの登録証を送ってもらえば済む話です。
登録証があれば、登録の日付や販売価格も確認できます。
一通り説明して、相談を終えました。
それから数日後、同じ方から再び相談がありました。
業者から媒介契約書のコピーとレインズの登録証を受取ったので、レインズに関して相談者自身が確認すると、登録が削除されていたとのことです。
つまり、その業者は一度、レインズに登録し、既に削除したことは伏せて、登録証を渡したことになります。
相談者の予感は的中しました、しかも債権者は住宅金融支援機構で、レインズの登録から業務報告まで任意売却に関する手順が事細かく決められています。
完全にルールを無視した状態で、おそらく任意売却についての知識や経験が乏しいと思われます。
『即、業者を変更するべきです。』と伝えました。
近くて楽なのは業者側
少し思い出して下さい、この相談者が業者を選んだ理由は何だったか!?
自宅近くの不動産業者がホームページに『任意売却も対応可』とあったからです。
任意売却に踏み込むのも含め業者選びは、相談者皆一様に悩みます。
近いと何かあれば、すぐ対応してもらえるような気分にもなるため、つい近場で依頼と考えがちです。
しかし、問題はきちんと対応してもらえるかが重要で、実は業者との距離はあまり問題にはなりません。
むしろ、近くて助かるのは業者で、移動時間も交通費も節約できるため、任意売却に失敗しても、あまり痛手はありません。
そして任意売却に失敗すると、依頼者は競売で自宅を処分され、去ってしまい街中で会うことも、ほとんど無いでしょう。
ホームページは業務内容が確認できる
任意売却の業者選びはインターネットを利用するのは、ごく普通です。
その際、任意売却に対応しているかの確認では無く、任意売却についての情報発信が行われているかがポイントになります。
つまり、任意売却の情報が豊富で、ある程度更新が行われているホームページは、おそらく任意売却の経験者が在籍していると思われます。
依頼したい業者が遠くても、対応してくれる業者は数多く存在します。
今一度、視点を変えて業者選びを考えてみては、いかがでしょう。
相談お待ちしております。
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