自分の土地を身内の借金や自身が経営する会社の借金の担保にする事はよくあります。
住宅ローンでは無関係のようですが、親・兄弟の土地に家を建てる場合、建物だけでなく土地もしっかり共同担保として、金融機関の抵当権が設定されていますので、以外に身近なケースでもあります。
物上保証人の負担は担保分のみ
親の土地に二世帯住宅を建て、息子が住宅ローンを組んで返済していく事も、今では珍しくありません。
自己の土地を身内も含め、他人の借金の担保(担保提供)にすると物上保証人となります。
簡単に言いますと、担保提供した不動産の価値のみの保証人です。
先の二世帯住宅に当てはめれば、親が物上保証人に該当します。
そして、住宅ローンや事業用ローンでも、借入れた本人(債務者)が返済出来なければ、物上保証人の担保を処分して借金の返済を行います。
連帯保証人とは異なり不動産は失いますが、他に請求されることはありません。
譲渡所得で納税が必要なことも
自分の不動産を他人の借金のために売り、手元に一銭も残らなければ、途方に暮れてしまう方も多いでしょうが、それ以上に注意しなければならないポイントがあります。
間違った売却のタイミングや返済方法により、不動産の譲渡所得と見なされ多額の納税が必要になる事もあります。
何とも理不尽な状況としか言いようがありません。
しかし、個人が担保提供し、保証債務履行(借金の肩代わり)のため不動産を譲渡した場合、所得が無かったものとする譲渡所得の特例がありますので、ご安心下さい。
ただし、該当するには、3つの要件を満たされなければなりません。
○ 債務者(借りた本人)が借金の返済ができない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと、つまり担保を提供した時点では返済の見込みが十分にあった。
○ 保証債務を履行するために土地建物などを売っていること
○ 履行をした債務の全額又は一部の金額が、本来の債務者(借りた本人)が自己破産や無収入等で回収できなくなったこと。
要件としては上記の3つですが、この特例を認めてもらうには、金融機関から催告を受けてから不動産を売却、保証債務の履行として弁済、その旨の領収書はあるか等、細かな条件やタイミングも必須になってきます。
上記、譲渡所得の特例に関しては国税庁のウェブサイト『保証債務を履行するために土地建物などを売ったとき』で確認できます。
連帯保証人の場合はどうなるのか?
それでは、連帯保証人となっている場合、金融機関から請求され不動産を売却したとき、先の譲渡所得の特例は適用されるのか?
国税庁のウェブサイトでは、『保証債務を履行するために土地建物などを売った場合には、所得がなかったものとする特例』としています。
従いまして、保証債務を履行した場合が前提で、当てはまる主なものは以下の4つで、物上保証人に限定している訳ではありません。
1 保証人、連帯保証人として債務を弁済した場合
2 連帯債務者として他の連帯債務者の債務を弁済した場合
3 身元保証人として債務を弁済した場合
4 他人の債務を担保するために、抵当権などを設定した人がその債務を弁済したり、抵当権などを実行された場合
国税庁ウェブサイトより抜粋
誤った支払いは課税対象の可能性
例えば、金融機関から正式な催告もなく、焦って担保不動産を売却したり、売却代金を債務者(借りた本人)経由で金融機関に弁済してしまうと、保証債務の履行とは認められず課税される可能性もあります。
中小企業の経営者が、個人名義の不動産を会社の借金のために担保提供している場合など、特に気を付ける必要があります。
担保提供している不動産の任意売却は所有者の意思で行いますが、適切なアドバイスができる業者選びも、より慎重に取り組むべき問題です。
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