住宅ローンが払えない『売らずに済む』『住み続ける』は可能なのか

 住宅ローンが払えない状況に置かれると、人は物事を落着いて判断するというよりは何か救われる道はないかを模索します。

できることなら手放したくはない自宅をめぐり、様々な情報をインターネットを通じて目にします。

そして、迷った末に『売らずに済む』『住み続けられる』この言葉に期待して相談してみるのですが・・・

しかし『どちらも厳しいのでは?』と感じることでしょう。

おおよそは任意売却を検討しなければと、対応に苦慮しているとき目に付く言葉です。

インターネット上の言葉と現実では全く異なり、多くの方は売らざるを得ない状況です

住宅ローンが払えず悩み苦しむ方が『売らずに済む』『住み続ける』という解決策が本当に可能なのか?

住宅ローンが払えない方』と数多く接してきたFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。

目次

『売らずに済む』『住み続ける』希望者のほとんどが該当しない

 結論から申上げますと住宅ローンの滞納者が『売らずに済む』や『住み続ける』方法は存在しますが、ほとんどの方は該当しません。

詳しく説明を聞くと、自分には該当しない』とすぐに分かります

この先、住宅ローンが払えそうにない方や現時点で住宅ローンを滞納している方にとって『売らずに済む』や『住み続ける』で問題が解決できる方は本当に極稀なケースとなります。

『売らずに済む』や『住み続ける』で解決は超レアケース

『売らずに済む』は住宅ローンの返済が前提

 住宅ローンを滞納して『売らずに済む』を調べると個人民事再生やリスケジュールにたどり着きます。

売らずに済むとき

  1. 個人民事再生(住宅ローン特則)
  2. リスケジュール

1.個人民事再生(住宅ローン特則)

 個人民事再生(住宅ローン特則)とは、住宅ローン以外の借金も増えてしまった方が、住宅ローン以外の借金が減額できれば住宅ローンは返済可能な場合に利用する方法です。

裁判所が関わる公的な債務整理になりますので、再生計画に基づき住宅ローンと減額されたその他のローンを返済していきます。

詳細は省きますが個人民事再生(住宅ローン特則)の特徴としては、住宅ローン以外の借金を減額(圧縮)して返済、住宅ローンは返済するのが大前提です。

住宅ローンは返済を継続

2.リスケジュール

 リスケジュールとは、金融機関に相談して一時的に貸付け条件を変更してもらうことです。

一定期間だけ月々の返済額を減らしてもらうことですが、期間経過後は元の返済額にプラスして減額期間分も返済していきますのでリスケジュール終了後は返済額が増えるのが基本になります。

また、上記では難しい場合、返済期間を延長するなど金融機関によっては応じてくれるケースもあります。

ただし、最終支払い時の年齢も関係するため、もともと完済年齢が80歳を超えている方は難しいと考えるべきです。

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住宅ローンは払いきる

 『1.個人民事再生(住宅ローン特則)』と『2.リスケジュール』は、どちらも結局は住宅ローンの返済見込みが無い限り成立しません。

絶対条件として住宅ローンが返済できることになります。

よくよく考えると、そもそも住宅ローンが払えなくなり困っているのに住宅ローンは払える前提では根本的に違うことが理解できると思います。

住宅ローンが払えなければ、売らずには済まない

『住み続けられる』はリースバックが成立するとき

 『住み続けられる』とは売らなくて済む訳ではありませんが、とりあえず今の家に住むことができます。

引越しに関しては不要になり、そのまま住み続けることができるので大いに期待が持てます。

しかし、深く掘り下げるとリースバックという言葉がでてきます。

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リースバックを前面に集客しているサイトの多くは『あなたの家を投資家が購入し、そのまま貸してくれます!』的なアピールです。

こどもの転校が気掛かりな親御さんや周り近所の目を気にされる方には大変魅力的です。

しかし、住宅ローンを滞納中の方は自宅を売却しても住宅ローンの残高に届かないオーバーローンの方が多くいます。

オーバーローンの状態で、このリースバックを実現するのは、かなり困難と言えるでしょう。

魅力的な言葉に惑わされ期待しても、実現不可能であれば意味はありません。

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本当に任意売却が必要か?その前にできることも!

 『この先、住宅ローンが払えそうにない!』『もうすぐ返済が止まるかも』このように悩んでいる方も多いと思います。

結果的に任意売却が最適解かもしれません。

しかし、まだ滞納前の相談であれば『本当に任意売却が必要か!?

その前にできることは無いのか、一度立ち止まって検討することも必要です。

なるべくならば、任意売却をしないで済むのが誰にとってもいいに決まっています。

これが本当の意味での『売らずに済む』ではないかと考えています。

また、不動産の売却は避けられない場合でも、滞納前だからこそ可能な手段があります。

あまり積極的な業者は少ないかもしれませんが、状況によっては通常の不動産売却と同様の方法でスタート、一定期間経過しても売却できなければ任意売却に切り替える、2段階での対応も時間が許せば可能です。

お客様目線で考えれば、上記のような対応も業者側から提案してあげられるような相談先が見つかれば理想的ですが、なかなか難しいのが現状です。

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滞納前なら2段階の売却もあり

『売らずに済む』『住み続ける』の該当者は限りなく少数

 住宅ローンの返済に悩み多くの方が期待する、自宅を『売らずに済む』は個人民事再生やリスケジュール場合住み続ける』はリースバックが可能な場合を指しています。

住宅ローンが払えずに自宅を『売らずに済む』『住み続ける』が該当するかを考えると、ほぼ答えは出るのではないでしょうか?

任意売却について調べれば、必ず目にする言葉でもありますが、該当者は極少数で自宅を失うかもしれない方には聞こえの良い言葉でしかありません。

もしも『売らずに済む』『住み続ける』を期待して相談するのならば、その言葉を前面にアピールしている業者が特別な方法を持ち合わせている訳ではないことに留意しましょう。

当事務所では、お客様に過度の期待を持たせず任意売却の現状を説明し、お客様の正しい理解のもとに取組んでおります。

任意売却検討中の方に『売らずに済む』『住み続ける』はナンセンス!!

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