親子ローンのトラブル|認知症が発覚すると預金を動かせず返済不能に

 かなり切羽詰まった状態の方から相談がありました。

相談者はその家のお嬢様で母と弟の3人で暮らしているのだが、母が認知症になり住宅ローンの返済が出来なくなったとのこと。

もちろん、相談者の希望は売らずに住み続けることです。

目次

親子ローンが抱える問題

 親子で収入合算してローンを組んだため、一方が高齢となり同時に問題が発生した事例で、今後も増え続ける相談内容ではないかと思います。

※ 親子ローンとしておりますが、フラット35での正式名称ではありません。

自宅の名義母と弟の共有名義
住宅ローン母と弟の収入合算でフラットからの借入れ、おそらく連帯債務
発生している問題弟はリストラされ、無収入となっていた
母は認知症で口座から預金の引出し不可となる(預金はある)
住宅ローンの延滞期間5か月
相談者の状況

 もう、次の返済日に間に合わないと期限の利益の喪失となり、一括での返済を迫られる一歩手前で間違いないでしょう。

つまり、もう少しで任意売却で手放すか、競売で手放すかの選択を迫られる状況です。

実際、母親の口座には延滞分を含めても返済可能なだけの預金もあるのだが、一切手を付けられない状態になっています。

ひとつ明るい兆しは、相談者も1か月前まで体調を崩して入院していたが現在は働いて収入もあり、また、弟も同様に1か月前から再就職して収入が得られるようになり、2人で協力すれば返済が続けられるとのことでした。

やはり、自宅を残して住み続けるには、住宅ローンの返済を継続する以外方法はありません。

そのため、延滞期間が5か月なので、次の返済が出来れば何とか間に合うので、後は月々の返済にプラスして延滞分を穴埋めするようアドバイスしました。

順調に返済が継続できれば一件落着となるのですが、ことはそう簡単ではありませんでした。

成年後見制度の落とし穴

 実は大きな問題があり、母親の認知症が発覚してから預金が引出せないと知り、家庭裁判所に後見開始の申立てを行っていることです。

後見人が付けば母親の預金から延滞分を穴埋めしようと考えているようですが、家族が後見人として認められず、職業後見人となった場合、母親の持分及び債務に応じた延滞分の返済は可能かもしれませんが、それ以外の弟の延滞分を母親の預金から持ち出すことは、まず不可能と思われます。

職業後見人の可能性

 また、家族ではなく職業後見人となるのではと考える理由に、母親の認知症が発覚後、一時的に施設に入所したのですが、その後、別の施設に移ったのに、どこの施設に入所しているのか教えてくれないという事態に発展しています。

これは、想像の範囲でしかありませんが、入所施設側から見て、家族から母親が虐待を受けていたと疑われてしまった場合の対応ではないかと思います。

日本も高齢化社会が鮮明になり、今後この様な相談事例は当たり前のようになると思いますが、成年後見制度は決して家族にとっては不都合を強いられる制度と感じる方も多いようなので、判断能力のあるうちに事前準備が必要でしょう。

親子ローンは預金口座の対策を

 親子リレーや親子ローン等の返済を含め、認知症で本人の判断能力が低下し、預金の引出しが制限される場合に慌てないためには、住宅ローンの返済口座を年金の受取口座を同じにしておく等の対応で急な入院や入所に備えることも出来ます。

また、相談事例のようなケースでは母親が施設へ入所中に自宅が競売に掛けられ、戻る家を失うリスクもあります。

そのため、やむを得ない事情であれば、認知症の事実は銀行には告げずキャッシュカードを利用して預金を引出す等、事前に家族で取決めしておくことも有効な対策になります。いい方法とは言えませんが、本人のために使うのであり、ある意味仕方ないことでしょう。

ただし、定期預金の解約等の手続きは本人しかできませんので注意が必要です。

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この記事を書いた人

小田嶋 譲のアバター 小田嶋 譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表。大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。現在は任意売却のコンサルタント及び不動産売買を行っており全国から数多くの相談が寄せられる。

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