任意売却で10年以上のキャリアのある方なら、ご存知の方が多いと思いますが、根抵当権の極度額で1つ気を付けなければならないことがあります。
抵当権について
まず、根抵当権の前に抵当権について簡単に説明します。
以下、不動産を担保にお金を借りる時に限定しますが、その際、お金を貸した側が担保に取ることとは、不動産に抵当権設定の登記をすることになります。
その効果としては、お金を貸した側は万が一返済が滞った場合、競売により強制的に不動産を売却し、その代金を回収することができます。
抵当権は一度貸付けたあと、返済が終われば取引が終了し、再びお金が必要で借りたいときは、再度、登記が必要になります。
住宅ローンの場合は、ほとんどが抵当権となります。
根抵当権について
こちらも不動産を担保にお金を貸すときに限定しますが、一度、不動産に根抵当権の担保設定をしておけば、登記された極度額の範囲内で、お金を借りたり、返済したりと繰り返し取引が可能で、事業者が運転資金等で利用するには大変融通が利きます。
抵当権のように貸し借りの度に登記をする必要がありません。
ポイントは元金+利息及び損害金等も含めて、極度額の範囲内までが担保されます。
そのため、1,000万円を根抵当権の極度額とした場合、元金の貸付は700万円程度とし、残りの枠は返済が滞った場合、遅延損害金も含め回収できるように備えている金融機関が多いように見て取れます。
競売時の違い
万が一焦げ付いて競売での回収となっとき、多少違いがあります。
担保となっている不動産を競売で処分したとき、抵当権者が受け取れる回収額が根抵当権は極度額の範囲内となります。
- 根抵当権の場合 元金+損害金(2年分まで)を含め極度額まで回収可能。
- 抵当権の場合 元金+損害金(2年分まで)を含め回収可能。
任意売却の実務でも、基本は上記のルールで取引することになります。
注意が必要な根抵当権
ものすごく大雑把な説明で済ませ、最後に本題となりましたが不動産の登記事項を確認し、根抵当権に元本極度額や債権元本極度額の記載があると、2番抵当や3番抵当等の後順位の抵当権者がいる場合は要注意です。
登記事項に元本極度額の登記があると、言葉通りで元本の極度額になります。
従いまして、仮に競売となっても、元金は極度額までで、その他に損害金(2年分まで)も含め根抵当権者は回収することが可能となります。
つまり、任意売却する場合も、通常の根抵当権とみなさず、損害金は別で計算しなければなりません。
幸いなことに、最近はほとんど見ることは無いと思います。
これは旧根抵当権と呼ばれていますが、現在ではこの様な根抵当権はありません。ただし、昭和40年代の根抵当権が残っていた場合は、よく注意して下さい。