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無剰余取消で『あぁ~ 助かったぁ』は大きな間違い!

以前『2番抵当のサービサーが競売に取下げはできる!?』で無剰余取消について記事にしました。

主に住宅ローンの後に借金を作り、2番抵当ないし3番抵当の債権者から競売の申立てを避けるため、無剰余取消を期待している方が多いように感じます。

また、中小零細企業の経営者や身内の借金で担保提供している場合もあります。

実際のところ、無剰余取消によって競売が回避されても問題の解決とはいえず、むしろ先延ばしにしてしまう危険性が潜んでおります。

今回はその点を少し掘り下げてみたいと思います。

無剰余取消は無意味な競売を裁判所が取消す

裁判所では、以下を無剰余としております。

1.差押債権者の債権に優先する債権がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるものの見込額を超えないとき。

2.優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計に満たないとき。

裁判所公式サイト『無剰余取消しを回避する方法について』から引用

1について

裁判所の決定した買受可能価額(最低入札価格)が競売の申立てに必要な費用にも満たない場合は、裁判所が競売を取消します。

当然と言えば、当然です。

競売で競売申立ての費用に満たな金額で落札されても、申立てた債権者は、結局得るものはありません。

嫌がらせや心理的圧迫が目的であれば効果がありますが、そのような競売の申立てを裁判所は認めません。

2について

1にプラスして優先債権も含めています。

優先債権とは、2番抵当の債権者が競売を申立てた場合でも、落札後の配当金は1番抵当の債権者から順に優先されます。

そのため、競売の申立てに必要な費用と1番抵当に配当される金額を足しても買受可能価額(最低入札価格)に足りなければ、裁判所が競売を取消します。

要するに、1番抵当の債権者が競売を申立てれば回収の見込みはあっても、2番抵当以下の債権者が競売を申立てた場合、その申立てた債権者に回収見込みが無ければ、裁判所は競売を取消します。

回収見込みの無い競売は取消し

無剰余取消は優先順位の高い債権者の保護

無剰余取消は多重債務となっても、住宅ローンだけは何とか返済を続けている方にとっては、ありがたい制度に感じるかもしれません。

しかし、これは別に借手を守るためでは無いことを認識しておくべきです。

少し考えてみて下さい。

あなたが住宅ローンを優先して返済していると、他に2番抵当や3番抵当の債権者が存在し、競売の申立てをされたとします。

そして、裁判所から無剰余により、競売が取消されれば、あなたは『あぁ~ 助かったぁ 自宅が競売を免れた』と思うでしょう。

ところが、喜んでいるのは1番抵当の債権者です。

それは、多重債務でありながら今まできちんと返済しているので、このまま完済してくれることが望ましいからです。

そして、この無剰余取消の制度自体も、優先順位の高い債権者の利益を保護するための趣旨でもあります。

無剰余取消は債権者のため

競売を申立てた債権者には、無剰余により競売を取消す場合、裁判所から通知が届きます。

実は一方的に裁判所が取消す訳ではありません。

通知を受けた日から1週間以内に、優先債権者の同意を得ていることを証明できれば、無剰余取消を回避できます。

あえて競売で損失を被る1番抵当の債権者にお伺いを立て、了解してもらえれば無剰余による取消はしませんよと、裁判所は言っているのです。

その他の方法もありますが、優先債権者の同意が一番分かりやすいので、記載しています。

無剰余取消のあとはどうなる?

住宅ローンだけは返済を継続していたため、何とかなっていても2番抵当や3番抵当の後順位の債権者へ返済が滞れば、競売を申立てられてしまうこともあります。

幸いにして、裁判所が無剰余により競売を取消しても、素直に心から喜べるでしょうか!?

競売は取消により回避できても、借金が減った訳ではありません。

むしろ、滞納が続けば遅延損害金も日々増えていきます。

一方で住宅ローンは順調に減っていきます。

やがて、自宅の資産価値が住宅ローンの残債を大幅に上回るとき、もう無剰余ではありません

そうなると、増え続けた遅延損害金も含め、清算しなければならない時期がやってくるかもしれません。

無剰余取消となった、その瞬間は喜ばしいのは事実です。

しかし、その先を見れば決して明るくは無いのは明白です。

住宅ローンのように1つを優先して返済しても、他の債務が減らなければ、あまり意味がないことを認識して下さい。

無剰余取消となった時点で異常事態

当事務所としては、住宅ローンのみならず、他の債務も含めて総合的な対処が避けられない状態と理解して頂きたいのです。

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