景気の回復を実感している人が、実際は少ないような報道を見かけます。
そして、生活に追い打ちをかけるように、消費増が10%になりました。
住宅ローンの支払いが厳しくなると、固定資産税や国民健康保険料の納付も簡単なことではありません。
しかし、多くの方は生活が苦しくても住宅ローンを優先し、税金や国民健康保険料の納付を後回しにして結果的に滞納してしまいます。
税金の未納は放置されない
未納状態が続くと、役所も黙って見ている訳にはいきません。
役所の取る手段としては、最初に不動産の差押えを行います。
この段階では生活する上で支障がありませんが、次の段階に進むと事は深刻です。
役所からすると住宅ローンを返済しているという事は税金等を滞納しながら資産の形成を行っていると見える訳です。
それは何としても、防がなければなりません。
口座の差押えは決定的
不動産の差押え後も未納付が続き、役所が資産の形成を行っていると判断すれば、最強の手段で対抗することになります。
それは住宅ローン返済口座の差押えです。
これをされますと、今まで黙っていた銀行も、もはや返済不能と判断し住宅ローンの一括返済を求めます。
住宅ローンの一括返済??
当然無理なことです。
では、諦めて任意売却?
ところが、新たな問題が発生します。
任意売却するにも不動産も差押えされているので、滞納分を納付しなければ差押えを解除してもらえません。
債権者が売却代金から控除できる金額にも限度があります。
恐ろしい話ですが八方塞がりです。
役所の差押えから競売へと進行する最悪のケースでしょう。
実際は、経済的に苦しい方がほとんどなので、よっぽど悪質と見られなければ、ここまではされませんが、手段としては残されております。
役所の差押えが一番厄介
任意売却の障害となる相手方として、一番厄介なのは役所による差押えと言って差し支えないでしょう。
その理由の一つとして、役所には損得勘定が通用しないからです。
例えば、税金の未納分と延滞金の合計が100万円あったとします。
任意売却に際して、金融機関が役所の差押え解除の費用として、20万円を認めてくれたとしても、役所は100万円全額納付しないと、差押えの解除を認めないの一点張りとなります。
差押え解除の目途が無ければ任意売却は不可
役所が差押えを解除しない限り、任意売却も成立しません。
具体的には、役所の差押えが障害になり任意売却ができなった場合、その不動産は競売で処分されます。
大抵の不動産はオーバーローンのため抵当権の優先順位により債権者に配当されます。
例え¥0でもお構いなし
差押えの解除に応じないことで、役所は多少でも配当が見込める訳では無く、むしろ¥0の可能性が高いでしょう。
つまり、競売になると役所は1円にもならないことになります。
それならば、任意売却に協力した方が、幾らかでも納付を期待できると民間人なら考えますが、ここが損得勘定が通用しない役所の実態になります。
多額の未納が障害となる
役所による差押えが任意売却の障害になる場合、その未納金額が問題となります。
数万円程度なら、金融機関との交渉で役所の差押えの解除費用として、認めてもらえる事はあります。
しかし、その金額が数十万円~、百万円オーバーとなると、役所に対しての未納分として別に現金の用意ができないと、ほぼ任意売却は困難な状態になります。
任意売却時の判断基準は?
役所の差押えは任意売却の障害となりますが、十数万円程度までなら、それほど問題ではありません。
しかし、その額が数十万円となると簡単には任意売却ができない可能性があります。
また、未納分の全額納付しか認めない自治体がある一方で、一部納付で差押えの解除、残りは分割納付の確約で認めてくれる自治体もあります。
それでも近年は、どこの自治体も財政難のため、容易には差押えの解除は認めてくれないのが現状です。
役所の差押えを防ぐには
生活が厳しくなってきても、決して役所の請求に対しては放置しないこと。
早い段階で役所の担当者に現状を説明し、少しづつでも納付する意思表示をして必ず実行して下さい。
役所の担当者は連絡があれば、交渉の記録を残しますので、何かあれば、マメに連絡することを心がけて下さい。
約束はきちんと守り誠意を示す
役所の担当者と少額でも納付の約束をしたならば、必ず納付し約束を守る姿勢を示すことで、ある程度は不動産の差押えを先延ばしができることもあります。
そのほか、きちんと役所と話し合うことで、既に差押えをされていても、生活状況から差押えの解除(執行停止の判断)をしてもらえる場合もあります。
しかし、現実的には役所の差押えを先延ばしできても、固定資産税等が負担と感じるならば、現状の生活を維持するのは、困難な状況と思われます。
税金その他の未納が続く前に相談いただけると、最悪のケースを回避することも可能です。