ブラックリストに登録されず任意売却はできないか?

「ブラックリストに登録されず任意売却はできるのか?」
「任意売却をするとクレジットカードは使えなくなるのか?」

ご相談者様から多くお問い合わせいただくのが、任意売却とブラックリストにまつわるご質問です。

任意売却と引き換えにブラックリストに登録されるとなれば、その後の生活が不安になることでしょう。

また、任意売却後にクレジットカードが利用できるかどうかも、大変気になるところです。

本記事では、FP&不動産コンサルの有資格者が「任意売却とブラックリストの関係」についてまとめました。

目次

任意売却してもブラックリストに登録されない

 結論からいいますと、任意売却を理由にブラックリストに登録されることはありません

しかし「ブラックリストに登録されず任意売却を成立させるのは不可能」です。

少し、矛盾するようで混乱してしまいますので、順を追って解説します。

任意売却は金融機関の同意を得た上で不動産を売却し、住宅ローンの滞納問題を解決するための手段のことです。

自ら家を売ることで個人のプライバシーを守りつつ、現実的な範囲で返済することを目的とします。

借金そのものを減額・免除する債務整理とは性質が異なるため、任意売却によってブラックリストに登録されることはありません。

では、なぜ「ブラックリストに登録されず任意売却を成立させるのは不可能」なのか?

次に解説していきます。

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ブラックリストに登録されず任意売却ができない理由

 ブラックリストに登録されず任意売却が成立しない理由は、住宅ローンの滞納がなければ任意売却ができないからです。

そもそも任意売却は、住宅ローンの滞納問題を解決するための方法です。

返済が困難になったとき、家を売却したお金で残債を返済します。

返済の遅れや滞納がなければ支払い能力があるとみなされるため、任意売却はできません。

任意売却はブラックリスト登録の直接原因とはならないのです。

しかし、住宅ローンの滞納によって任意売却が必要な状態であれば、「既にブラックリストに登録されている」と考えてください。

任意売却の時点で既にブラックリストへは登録

ブラックリスト登録の条件

 ブラックリストとは、ローンの滞納や債務整理をした時に登録される、いわば「金融事故の情報」です。

ブラックリスト入りする条件としては、主に以下の3点です。

〈ブラックリスト入りのポイント〉

  • 延滞・滞納を繰り返した時
  • 代位弁済が行われた時
  • 債務整理(自己破産も含む)をした時

1回の延滞で即ブラックリスト入りということはありませんが、事故情報が登録されるタイミングは金融機関によって異なります。

ちなみに、ブラックリストといっても実際に帳簿のようなものが存在する訳ではなく、世間一般でそう呼ばれています。

そのため「通称ブラックリスト」ということになります。

ブラックリスト入りとは返済の遅れや支払い不能となった事実が信用情報機関に登録されるというのが正解です。

最近では「クレヒス」とも呼ばれる、クレジットヒストリーに傷がつくことになります。

ブラックリストの登録は、住宅ローンや自動車ローン以外にスマートホンの分割購入の延滞も対象になりますので注意してください。

信用情報機関とは

クレジットカードやローン契約に関する情報を取り扱う機関のことで、CIC・JICC・KSCの3つの機関がある。
どこに登録・管理されるかは加盟会社によって異なります。

クレジットヒストリーとは

クレジットカードやローンの借入れ及び、返済状況などを含む利用履歴のことを指し、信用情報も含まれます。

通称ブラックリスト入りとは金融事故の情報登録を指す

住宅ローンは何回滞納するとブラックリスト入りする?

 金融の事故情報は、2〜3回の滞納で登録されるケースが多いです。

具体的には61日以上の滞納、または滞納が3回続いた場合にブラックリストに登録されます。

住宅ローンに関しては、ブラックリストに登録されるだけでなく残債の一括返済も求められます。

これは滞納によって期限の利益を喪失するためです。

期限の利益とは

期日まで返済を待ってもらえる債務者側の利益(メリット)のこと。
住宅ローンの場合、債務者は期日までに返済するという約束の上で分割払いを認めてもらいます。
滞納すると返済を待ってもらえるメリットを失うことになる(=期限の利益の喪失)

既に滞納をしている状況では、一括返済はほぼ不可能に近いでしょう。

そうなると、最終的には競売によって強制的に自宅を処分されてしまいます。

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ブラックリストに登録されと住宅ローンは組めない?

 信用情報機関に事故情報が登録されている間は、残念ながら各種ローンは利用できません

仮にブラックリスト入りした状態で住宅ローンに申し込んでも、審査を通過できる可能性は限りなくゼロに等しいです。

ブラックリスト入りすると一生ローンを組めないかというと、そのようなことはありません。

ブラックリストは永久に残るものではなく、一定の期間が経過すると削除されます

削除後は、住宅ローンをはじめとする各種借入が可能です。

もっとも、収入や勤続年数、健康状態などに問題があると判断されれば、ブラックリスト削除後でも審査に通らない可能性はあります。

登録期間経過後はローン利用は可(要審査)

任意売却後はクレジットカードが使えなくなる?

 ブラックリスト入りせずに任意売却はできないため、任意売却中も含め今お使いのクレジットカードは「強制解約される」と考えがちです。

ところが、利用中のクレジットカードが延滞等も無かった場合、そのまま継続して利用できるケースがあります

それでも、クレジットカードにも有効期限があるため、新たなカードは発行されずに利用を停止されてしまうこともあり、その場合はブラックリスト入りの影響と考えるのが自然です。

例外もありますが、基本的にはブラックリストに登録されるとクレジットカードの利用はできなくなります。

事故情報が登録されている期間は新規の申し込みもできませんので、当面はクレジットカードが利用できなくなると考えてください。

必ずしもクレジットカードが利用不可となる訳では無い

クレジットカードの利用停止もタイムラグがある

 その他、住宅ローンの滞納でクレジットカードが利用停止となる場合、住宅ローン滞納開始と同時ではなくタイムラグも発生します。

〈タイムラグが生じる理由〉

  • 滞納回数が少ない
  • 滞納から日が浅い

住宅ローンは1回滞納したからといって、すぐにブラックリストに登録される訳ではありません。

一般的には2〜3回の滞納で事故情報が登録されるため、1回のみの滞納では今まで通りクレジットカードを使える可能性は高いでしょう。

また、各信用機関情報は1日に何度も情報を更新するわけではありません。

もし住宅ローンの滞納が3回目だったとしても、実際にブラックリスト入りするまでには数日〜数週間の時差があると考えられます。

クレジットカードの利用停止までは時間を要する

任意売却後にクレジットカードが使用できない場合の対処法

 住宅ローンの滞納によってブラックリスト入りすると、今後の生活に不安を感じることと思います。

ブラックリストの解除まで借金の問題が解決後5〜10年はかかるので、その間は現金またはデビットカードで支払うことになるでしょう。

任意売却をしても、ローンの残債は引き続き返済していく必要があります。

手続きによって返済負担は減るものの、自由に使えるお金が増えるわけではありません。

家計のやりくりやお金の使い方を見直すという意味では、支払いはすべて現金にするのが望ましいでしょう。

支払いをスピーディに済ませたいということであれば、基本的には審査不要&口座から即時引き落としされるデビットカードもおすすめです。

デビットカードは任意売却後の強い味方

任意売却すると家族カードも使えなくなる?

 信用情報は個人単位で管理されるため、仮にご主人がブラックリスト入りしても奥様名義のクレジットカードは引き続き利用できます

奥様名義でご主人の家族カードを作ることも可能ですが、任意売却が必要な状況で家族カードを使用するのはあまりおすすめできません。

どうしても家族カードを利用したい場合は、アラートや通知機能などで使いすぎの予防に努めましょう。

家族カードが利用できても計画的に

住宅ローン滞納でブラックリスト入りすると2度とクレジットカードは作れない?

 住宅ローンの滞納が原因でブラックリストに登録されても、信用情報が回復すれば新たにクレジットカードを作成することは可能です。

ただし、同じカード会社への再入会の可能性は低くなる場合があります。

事故情報は3つの信用情報機関で共有されますが、信用情報が回復すれば過去のブラック履歴はすべて白紙の状態に戻ります。

しかし、クレジットカード会社が独自に管理している情報までもが白紙になるとは限りません。

いわゆる社内ブラックと呼ばれるケースです。

新たにクレジットカードを作成する際は、過去に強制解約となった会社以外に申込みするのが無難です。

クレジットカードを作らなら未利用のカード会社から

借金滞納でブラックリスト入りする期間

 住宅ローンなどの滞納でブラックリスト入りした場合、信用情報が回復するまでの期間は完済から5年です。

信用情報機関の一つであるCICは、会員の支払状況を示す情報を「契約期間中および契約終了後5年」保有すると定めています。

参考:CICが保有する信用情報

ブラックリスト入りする期間の対応は信用情報機関によって異なりますが長くても10年が目安です。

登録期間は、ブラックリスト入りしたけど完済したケースは完済日を基準に5年や自己破産の手続き開始から10年のケースもあり、信用情報機関ごとに基準日が異なります。

登録期間の基準日にも注意

信用情報は確認できる

 任意売却後、新たな借入やカードを作ろうとする時はご自身の信用情報を確認することをおすすめします。

信用情報機関への開示請求を行うと、現時点でブラックリストリスト入りしているかどうかが確認できます。

情報開示の方法はインターネットや郵送などがあり、手続きには1,000円程度の手数料が必要です。

開示請求では、事故情報以外にも契約内容や支払い状況、残債などが確認できます。

心配ならば自身で確認できる

任意売却の決断はお早めに

 任意売却は、住宅ローンの滞納問題を解決に導くための方法です。

ブラックリストやクレジットカードの強制解約といった不安もあるかと思いますが、何の対処もしなければ自宅はいずれ競売により処分されます。

自宅を強制的に失う競売は、本人だけでなくご家族の人生に大きく影響します。

クレジットカードを使えない以上のデメリットがあるため、住宅ローンの返済でお困りの方はできるだけ早く行動を起こしましょう。

当事務所は任意売却のコンサルティングを得意としており、これまでに多くの住宅ローン問題を解決して参りました。

一人ひとりの状況に合わせて最善の方法をご提案しますので、住宅ローンの返済でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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