連帯保証人が請求されたら自宅はどうなる?

任意売却後の残債があると連帯保証人の自宅はどうなる?

 突然、連帯保証人のあなたに金融機関から返済の請求が来たら、どう対処しますか?

驚くのは当然ですが、主債務者(借りた本人)が「本当に返済していないのか?」確認が必要です。

しかし、焦って連絡する前に連帯保証人として「やってはいけない行動をまずは理解しておきましょう。

この記事は、お金と不動産の専門家・FP&不動産コンサルの有資格者が「連帯保証人が請求されたときの対処法

そして「連帯保証人に自宅などの財産がる場合はどうなるのか?」について解説します。

連帯保証人の立場で悩んでいる方は参考にしてください。

目次

連帯保証人が請求されたときの対処法

 連帯保証人のもとへ金融機関から請求があった場合、当然ですが主債務者へ状況の確認をすることになります。

ただし、その前にご自身が連帯保証人として自覚する必要があります。

まず、連帯保証人はご自身が借りた借金ではありません

そのことは事実ですが、決して主債務者に対して連帯保証人は強い立場であると思わないこと。

これは、金融機関に対しても同様です。

金融機関からすれば、主債務者・連帯保証人、どちらも同じ債務者です。

〈連帯保証人が自覚すること〉

  • 主債務者に対して強い立場ではない
  • 金融機関は連帯保証人も単なる債務者

上記の点から言えるのは、連帯保証人が金融機関から請求されたら、他人の借金との認識は捨て、ご自身の借金でもあると認識して対処していかなければなりません。

ご自身の借金でもあると認識できたならば、次は「連帯保証人としてやってはいけない行動」があります。

続いて説明します。

連帯保証人は自身の借金でもあると認識する

連帯保証人がやってはいけない行動

 連帯保証人がやってしまうと、より深刻な事態を引き起こします。

いわば連帯保証人のNG行動を以下、3つ記載します。

〈連帯保証人3つのNG行動〉

  1. 主債務者(借りた本人)に対して感情的になる
  2. 金融機関の連絡を無視、または突っぱねる
  3. 任意売却に協力しない

1.主債務者(借りた本人)に対して感情的になる

 本人と連絡が取れ、詳細の確認を行うと、やはり借金の返済ができていなかったとしましょう。

連帯保証人のあなたは、怒りが込み上げてくると思います。

しかし、ここで感情に任せて怒りをぶつけることは、絶対にやめましょう。

その後、お互いの意思疎通が困難になる可能性もあり、マイナス以外ありません。

感情的では良い結果は生まれない

2.金融機関の連絡を無視、または突っぱねる

 主債務者が離婚した元夫など、連帯保証人の元妻へ請求されることもあります。

金融機関には本人と連絡を取ってみると言ったものの、その後は離婚したので関係ないと突っぱねてしまう方もいます。

無視し続けてしまうと、金融機関は法的措置を行う以外方法がありません

そうなったとき、一番困ってしまうのは連帯保証人です。

主債務者が完全に返済不能に陥っていれば、訴訟へ発展する可能性が高いでしょう。

金融機関は法的措置以外為す術もない

3.任意売却に協力しない

 住宅ローンが払えない等で不動産を売却したくても、借金が完済できない担保割れのケースがしばしば問題になります。

その場合は「任意売却」という方法で不動産を売却します。

任意売却で連帯保証人の協力とは、具体的には金融機関に対し、主債務者が任意売却するので「同意書の提出」を求められます

もちろん、任意売却の同意は積極的にするべき事柄です。

状況によっては、主債務者に対しての当てつけも含め、任意売却に同意しないという意思表示も可能です。

ただし、任意売却に同意しないことは、決して良い結果を生みません。

任意売却の同意は早期の債務削減

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任意売却は連帯保証人にもメリットがある

 任意売却は不動産を、担保割れのまま売却するので、借金は残りますが総額が減るので、連帯保証人に降りかかった借金が減ったのと同じ効果です。

残った借金(残債)は主債務者にできる限り返済してもらうよう、金融機関も含め対応を検討しましょう。

任意売却に協力(同意)しないとどうなるの?

住宅ローンであれば、連帯保証人が任意売却に協力(同意)しなければ、主債務者の自宅が競売で処分されます。

他の不動産担保ローンも同じですが、連帯保証人に任意売却の協力を求められた場合、断れば不動産は競売で処分されます。 

任意売却の拒否は競売で処分される

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任意売却の同意を断るという選択肢

 連帯保証人には、任意売却の同意を断るという方法もあります。

しかし、そのことによって状況が好転することは、ほぼないでしょう。

任意売却に同意しなければ、金融機関は主債務者の不動産を競売で処分すると上に書きました。

運よく競売によって借金が完済できれば、連帯保証人の義務も無くなり喜ばしい結果ではあります。

競売で借金が完済できればいいのだが・・・

しかし、競売後に残債がありますと、任意売却に協力してくれない連帯保証人に対して、主債務者は何の躊躇なく返済を拒否してしまうこともできます

そうなると、その残債の返済については、連帯保証人がすべて負うことになります。

理不尽ではありますが、任意売却の同意を求められた場合は速やかに応じましょう。

任意売却後は、主債務者にできる限りの返済を促すのが、結局は連帯保証人の負担を減らすことになります。

任意売却の協力は連帯保証人のためでもある

競売後を考える

 連帯保証人が任意売却の協力を拒み、競売で不動産が処分されると、どうなるでしょうか?

決定的なのは主債務者が連帯保証人に対しての、負い目や配慮が一切なくなってしまう可能性です。

競売後も残債があれば、主債務者に請求されます。

しかし返済の意思が無ければ、連帯保証人に遠慮なく、自己破産という手段も選択できます。

そうなると、残債をすべて請求されるのは、連帯保証人となることは容易に想像できると思います。

主債務者の自己破産で連帯保証人が全てを負う

不動産お金の悩み相談室
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連帯保証人に自宅などの財産がる場合はどうなるのか?

 大いに悩み任意売却に協力しても、借金が完済できない場合、少々気になる問題が発生します。

もしも、主債務者の任意売却後に多額の残債が生じてしまい、連帯保証人が自宅等の不動産を所有していると、金融機関に取られないかと心配になると思います。

※ 現実には金融機関に不動産を取られることは、ほぼありません。

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任意売却後の残債について、主債務者の返済方法にもよりますが、当然、連帯保証人に対して請求されることは覚悟しなければなりません。

その場合、現金を用意できなければ、連帯保証人に対しても不動産を処分することを求められます

短期間での完済見込みがある場合等、返済方法によっては、連帯保証人の不動産を手放さずに済む可能性もあります。

しかし、主債務者の残債がある限り、連帯保証人に不動産を含め、資産があれば、それを以って返済しない方法は、ほぼ無いと言えるでしょう。

ただし、主債務者と同様に連帯保証人も自宅を担保に、住宅ローンを借りているケースは実際には多いものです。

この点が連帯保証人の救いになっている場合もあります。

連帯保証人に借金があった方がプラスに働く場合があるのです。

それは次に説明する「連帯保証人の不動産が別の金融機関担保となっているか?」が重要となってきます。

連帯保証人に別の借金があった方がいいの?

連帯保証人の不動産に別の金融機関の担保設定があるか?

 主債務者の担保の処分が済めば、その住宅ローンは無担保の借金となります。

しかし、連帯保証人が自宅等の不動産を所有していると、金融機関は裁判等を経て、容易に連帯保証人の不動産を競売に掛けることも可能になります。

ここでの担保とは、連帯保証人となっていても、連帯保証人が所有する不動産を担保として提供していないケースとして説明しています。

実際のところ、連帯保証人の不動産にも(連帯保証人自身が借りている)住宅ローン等、他の金融機関の担保が既に設定されていることもあります。

この場合は、売却しても回収の見込みが無ければ、競売になる可能性は少なくなります。

無剰余取消しという制度が競売にはあるからです。

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つまり、連帯保証人の不動産が、他の金融機関等の担保となっていないほうが、不動産を手元に残すのは、非常に厳しい状態と言えます。

更に、連帯保証人の自宅に(連帯保証人の)住宅ローンの抵当権(担保)のみが設定されて、返済中であれば自宅を売却しないで済む債務整理の方法(条件次第ですが)もあります。

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連帯保証人にとって、自宅などの不動産が他の金融機関の担保などになっていない状態が一番危険と言えるでしょう。

もしも、連帯保証人としての返済が現実となりそうならば、状況が悪化する前に専門知識を有する者へ相談することを強くお勧めします。

早めの相談は予防策となる

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の場合

 住宅金融支援機構は、任意売却後の残債があるときの対応が、少なからず民間の金融機関とは異なる場合があります。

主債務者が経済状況に応じ、できる範囲での返済を継続していると連帯保証人に対して、自宅を売却(処分)してまで返済を求めることは、ほぼ行っていないように見て取れます。

本来ならば、連帯保証人の財産が有れば貸付を行った以上、回収しないのもおかしな話ですが、理由は分かりません。

主債務者の誠意ある対応は認めてもらえる

時間の経過で解決しない

 住宅金融支援機構は、任意売却後の残債について、主債務者の誠意ある対応をしていると連帯保証人対しての請求手を緩めてくれるようにも見えます。

しかし、これが継続するものなのかは疑問です。

主債務者が残債の返済を継続しているため、幸か不幸か、連帯保証人に対しての請求が緩いので楽観視していると、大問題に発展する可能性があります。

以下の相関図を参照。

連帯保証人の相関図

主債務者の実父と離婚した元妻の父(元義父)が連帯保証人、自宅を所有しているケースです。

主債務者は連帯保証人に迷惑を掛けたくない一心で、残債の返済を継続しています。

この先、連帯保証人は何も返済しないまま、亡くなってしまうと、どうなるでしょうか?

連帯保証人の事実も知らず、相続人が自宅を相続してしまうことも考えられます。

しかし、自宅を相続すると、連帯保証人としての負の遺産も相続してしまいます。

実際、何も知らずに相続してしまった例に関しては、当事務所では持ち合わせておりません。

その扱いが、どうなるのか現状では分かりませんが、連帯保証人の立場を相続の割合に応じて、引き継いだと考えるのが自然でしょう。

相続時は負の財産も受け継ぐリスクも

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住宅金融支援機構の残債でトラブルに発展した実例

 上記のケースでは主債務者が残債の返済を継続しています。

離婚した元妻の父(元義父)は連帯保証人となっていますが、返済はしていないため時間の経過と共に、連帯保証人としての自覚や意識も薄れてしまいます

しかし、残債の返済が長期に及ぶ場合、連帯保証人に対しても、5年や10年等、節目の年などには現在の生活状況をお伺いするため連絡がきます。

その連絡をもう関係ないと取り合わず、一切無視していたため、住宅金融支援機構の回収業務を委託されたサービサーが法的措置寸前(訴訟の準備)という事態となりました。

完済されなければ連帯保証人の責任は消えない

住宅金融支援機構の方針なのかは不明ですが、主債務者が返済を継続していると、請求がないからといって、連帯保証人にとしての義務を免れたわけではありません。

また、現在の扱いが、今後も続くかは不明ですし、その基準もありません。

間違いないのは、残債がある限り連帯保証人の立場は変わらず、そのままでは、やがて相続も発生します

連帯保証人で自宅等の不動産や資産をお持ちの場合は、主債務者、金融機関とは定期的に連絡は取り合うことです。

そして、返済状況についても把握しておくことは、自身や家族のためでもあることを念頭に置いて対応して下さい。

借金完済まで主債務者と同じ立場

主債務者と連帯保証人は同じ立場

 本当に難しいかもしれませんが、〈連帯保証人が自覚すること〉を思い出してください。

主債務者と連帯保証人は、お互い協力して解決の道を探す以外方法はありません。

金融機関にしてみれば、どちらにも請求できますので、同じ立場と考えて下さい、連帯債務者の場合もほぼ同様です。

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同じ立場の者が違う方向を向いても、良い結果は得られません。

主債務者を責めるより、一緒に協力することが重要です。

主債務者にすれば、連帯保証人が自分のために一生懸命となれば、これ以上、迷惑は掛けたくないという気持ちにもなります。

そして借りているのが、住宅ローン等の不動産担保の借金であれば、本人に不動産を売却するよう促し、任意売却に率先して協力、借金を返済してもらいましょう

一度、引き受けてしまった連帯保証人の事実が覆ることはありません。

主債務者と一緒に良い方向に向け、行動することが解決への近道となります。

主債務者と完全に縁を切りたいときは連帯保証人を外れるにはのページを御参照下さい。

連帯保証人も同等の立場で主債務者と協力

任意売却後の残債があると連帯保証人の自宅はどうなる?

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