連帯保証人のまま離婚するとき重要な2つの決め事!

連帯保証人のまま離婚するとき重要な2つの決め事!

 住宅ローンが夫の信用だけでは足りず、妻が連帯保証人や連帯債務者となり借りているケースは非常に多いと思います。

夫婦で住む家なので、妻の協力で家が買えるとならば、特にためらいもせず連帯保証人を引受けてしまいます。

その行動を後悔するならば離婚を考えたときとなり、連帯保証人の関係を速やかに解消できないからとなります。

それでも、離婚を優先させるあまり本来解決しなければならない連帯保証人の問題を後回しにする夫婦もいらっしゃいます。

この様なケースでは、離婚後に問題が発生し「有効な対処法はないのか?」と探している方が多いのもまた事実です。

しかしながら、これといった対処法は無く、どちらかと言えば離婚してしまった元夫婦が協力して対処していく以外方法はありません。

この記事は「離婚した元夫婦の不動産とお金の悩み」に携わってきたFP&不動産コンサルの有資格者が「やむを得ず連帯保証人のまま離婚するとき重要な2つの決め事!」について解説します。

離婚を検討している夫婦で「住宅ローンの連帯保証人で悩んでいる方」や「夫婦ペアローンで悩んでいる方」は、参考にしてください。

目次

離婚する際の重要な2つの決め事とは?

 やむを得ず連帯保証人の問題を解決せずに離婚する場合、夫婦どちらもトラブルなく住宅ローンを完済できる、もしくは難なく売却できることを願っています。

また、トラブルを最小限に抑えるためには、離婚に先駆け2つの決め事が非常に大切となってきます。

その決め事とは、以下になります。

〈離婚する際に重要な2つの決め事〉

  1. 債務総額の減少に努める
  2. 返済の情報は共有する

上の〈離婚する際に重要な2つの決め事〉についての説明は、一旦後回しにします。

その前に「なぜ連帯保証人の問題を解決しないのか?」について先に見ておきましょう。

どうしても、2つの決め事が先に見たい方はリンクになっていますのでクリックして進んでください。

離婚しても最低限の約束事は決めておく

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連帯保証人の問題が解決できない理由とは?

 まず、どの夫婦でも自宅は売却しようと検討します。

そうすることで、住宅ローンと連帯保証人の問題が消えてなくなるからです。

しかし、現実は甘くなく思うように自宅は売却することができません。

以下が、その要因です。

〈自宅の売却不可の要因〉

  1. 売却しても住宅ローンの残高に満たないため現金が必要(オーバーローン)。
  2. 住宅ローンを借りている限り、連帯保証人としての責任が付いて回る。

自宅の価値を上回る住宅ローンの残高があり、売りたくても売れない。

そして、売れないために住宅ローンを借りたままやり過ごし、連帯保証人の問題も解決できない。

連帯保証人の問題が解決できない理由は自宅の売却で現金の持出しが必要だからとなります。

2つの問題が重なり合っていますが突き詰めると「お金の問題」となります。

現金を工面する余裕のある世帯でしたら、この様な問題は発生しません。

夫婦不仲となり、離婚を優先させたい気持ちも理解できない訳ではありません。

しかし、現実には連帯保証人の問題を解決しないまま離婚してしまうことは、筆者から見ると以下のように見えてなりません。

後回しにして何か起きたら、そのとき対処しよう

本当に重要なお金の問題を後回しにしてしまい、後にお金の問題でトラブルに見舞われてしまいます。

離婚時に解決できないままとなっているため、問題が起きても最悪の結果にしかつながりません。

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自宅売却で持出しを要するが工面できない

先に「連帯保証人の問題が解決できない理由とは?」を説明しましたが、次は〈離婚する際の重要な2つの決め事〉について順番に見ていきましょう。

1.債務総額の減少に努める

 〈離婚する際に重要な2つの決め事〉1つ目は債務総額を減少させることです。

借金である住宅ローンの残高をいかに減らせるかに尽きます。

自宅を売却しようにもオーバーローンのため、現金の持出しが必要ですが工面できず、断念しています。

それでも、住宅ローンの残高が減れば売却時に持出しは不要になります

すぐに住宅ローンの残高を減らすのは無理でも、毎月返済は続けています。

その返済額に少しでも上乗せできれば、自宅の売却価格が住宅ローンの残高を上回る時期は、早期に訪れることになります。

離婚後は現在の月々の返済額にプラスして元夫婦協力のもと、繰上げ返済に努めることが最も早く住宅ローンを減らせる方法になります。

要するに、なるべく早くオーバーローンの状態を解消しておくことです。

その結果、リストラや病気等で収入を断たれたときでも、売却すれば住宅ローンの返済から主債務者(借りた本人)・連帯保証人共に解放されることになります。

元夫婦の協力で繰上げ返済

繰り上げ返済の効果

 実はあまり気にはして無いかもしれませんが、繰り上げ返済は住宅ローンを減らすには、とても大きな役割を果たします。

以下に、繰上げ返済しない場合の返済例を先に記載します。

借入金3,000万円 35年返済(420回払い) 
金利年1% 月々の返済額は84,685円

  •  1年目の返済内訳  利 息 25,000円 元 金 59,686円 残高 29,940,315円
  • 11年目の返済内訳  利 息 18,725円 元 金 65,960円 残高 22,404,720円
  • 21年目の返済内訳  利 息 11,791円 元 金 72,894円 残高 14,076,946円
  • 31年目の返済内訳  利 息 4,128円 元 金 80,557円 残高  4,873,721円
  •  最終日の返済内訳  利 息   70円 元 金 84,719円 残高 0
    ※ 端数処理は切捨て

繰上げ返済しないと何も変わらず

次に繰上げ返済の例を見ていきましょう。

10年間毎月2万円プラス

 毎月2万円を積立て、年1回24万円を繰上げ返済して10年間継続

それ以降は、毎月84,685円の返済を継続

最初の10年間、年1回24万円の繰り上げ返済
(毎月2万円積立のイメージ)

借入金3,000万円 35年返済(420回払い→383回払い) 
金利年1% 月々の返済額は84,685円

  •  1年目の返済内訳  利 息 25,000円 元 金 59,686円 残高 29,940,315円
  • 11年目の返済内訳  利 息 18,726円 元 金 65,960円 残高 19,891,169円
  • 21年目の返済内訳  利 息 9,478円 元 金 75,207円 残高 11,299,161円
  • 31年目の返済内訳  利 息 1,572円 元 金 83,113円 残高  1,803,917円
  •  最終日の返済内訳  利 息   71円 元 金 84,615円 残高 0
    ※ 端数処理は切捨て

35年返済のため420回払いとなりますが、383回払いとなり約3年ほど返済期間が短縮されます。

11年目の返済からは、繰上げ返済は行っていない返済例です。

〈11年目のローン残高の差額〉

22,404,720円ー19,891,169円=2,513,551円

10年続けると約250万円残高減少

20年間毎月2万円プラス

 毎月2万円を積立て、年1回24万円を繰上げ返済して20年間継続

それ以降は、毎月84,685円の返済を継続

最初の20年間、年1回24万円の繰り上げ返済
(毎月2万円積立のイメージ)

借入金3,000万円 35年返済(420回払い→350回払い) 
金利年1% 月々の返済額は84,685円

  •  1年目の返済内訳  利 息 25,000円 元 金 59,686円 残高 29,940,315円
  • 11年目の返済内訳  利 息 18,726円 元 金 65,960円 残高 19,891,169円
  • 21年目の返済内訳  利 息 7,385円 元 金 77,300円 残高  8,785,616円
  •  最終日の返済内訳  利 息   71円 元 金 84,615円 残高  0
    ※ 端数処理は切捨て

35年返済のため420回払いとなりますが、350回払いとなり約6年近く返済期間が短縮されます。

21年目の返済からは、繰上げ返済は行っていない返済例です。

〈11年目のローン残高の差額〉

22,404,720円ー19,891,169円=2,513,551円

〈21年目のローン残高の差額〉

14,076,946円ー8,785,616円=5,291,330円

20年続けると約530万円残高減少

毎月同じ返済額でも最初は利息に充当される金額が多く、元金に対する割合が少ないことが分かります。

そのため、繰上げ返済する差額分は元金に充当されるため、ただ元金が減るだけではなく、その分だけ利息も減ります

繰上げ返済すればするほど、月々の返済額が減る、若しくは返済期間を短縮する等の相乗効果を生みます。

また、繰上げ返済の時期が早いほど、その効果も大きくなります。

※ 繰上げ返済は金融機関により手数料が必要な場合や一定金額以上のみ受付ける場合もあり、すべての方が条件に該当するわけでもなく、金利も変動する可能性があります。

決して簡単なことではありませんが、債務総額を減らすには返済していく以外、効果的な方法は存在しません。

借金は返済無くして減少しない

2.返済の情報は共有する

〈離婚する際に重要な2つの決め事〉2つ目は、必ずや元夫婦で返済の情報を共有することです。

離婚後に連帯保証人がトラブルを減らすには、主債務者(借りた本人)が経済的に苦しくなり、住宅ローンの返済が難しくなると感じた時点で、すぐに連帯保証人には連絡をするという約束が重要になります。

具体的には、繰上げ返済等で住宅ローンの残高を減らしていけば、いずれオーバーローンの状態が解消できます。

しかし、何かのきっかけで住宅ローンが払えそうにないと分かったとき、すぐに連帯保証人に連絡してもらわなければ、連帯保証人の信用情報に傷が付いてしまう可能性があるからです。

返済が厳しくなってきた時点で、早々に自宅を売却してしまうなどの対応ができる可能性もあります。

返済状況は連帯保証人も共通の認識を!

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返済が厳しければ連帯保証人と共に即行動

 連帯保証人に請求がきて返済できなければ、主債務者(借りた本人)と同じく個人信用情報に金融事故の記録が掲載されます。

いわゆるブラックリストです。

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しかし、主債務者(借りた本人)の返済がストップする前に連絡があれば、連帯保証人が返済を短期間だけ協力し、自宅を売却する時間稼ぎが可能になります。

金融機関からすると売却時まで滞りなく返済が継続されたことになり、主債務者(借りた本人)・連帯保証人どちらも信用情報に記録が残ることを防げます

また、仮にオーバーローンが解消していなければ、連帯保証人が協力しても返済が厳しい状況は変わらないため早々に任意売却を検討する必要があります。

無理な住宅ローンの返済は、やがて滞納してしまうリスクもあり、その先は競売となってしまうため絶対に避けたい状況であるのは間違いありません。

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連帯保証人の問題が解決しないまま離婚する夫婦も、返済状況や見通し等に変化が生じそうなときは、互いに連絡を取り対応していくための約束事は最低限必要になるでしょう。

言い換えればトラブル発生時のダメージを、最小限にとどめるための防衛策でもあります。

協力はお互いのため

もしものときのダメージを最小限に抑える努力が必要

 連帯保証人のまま離婚する際は、とりあえず問題は発生していません。

そのため、もしものときを想定し「ダメージを最小限に抑える努力が必要」となります。

何かのトラブルが起きても傷が浅ければ立ち直りも比較的容易となります。

それ故に「離婚する際の重要な2つの決め事」が大変重要となってきます。

ダメージが少なければ立直りも早い

連帯保証人の問題が解決しないまま離婚をするとき

 どうしても離婚が避けられなければ、問題発生時にダメージを最小限にとどめるには、どうしたらいいかを考えなければなりません。

繰り返しにはなりますが、根本はお金の問題です。

解決するには住宅ローンの全額返済となりますが、自宅をすぐに売却してもオーバーローンのため完済できません。

トラブルに直面するとしたら、それは「お金の問題」となって降りかかってきます。

できることとしては、少しずつでも「お金で対処していく」ことしかありません。

そのため、元夫婦が協力して住宅ローンの総額を少しでも減らしていくことが、連帯保証人の問題を解決する近道となります。

連帯保証人のまま、そしてペアローンを解消できないまま離婚される夫婦は、離婚後も債務の削減に努力することで、トラブル発生時は慌てずに乗り切れる準備を心掛けておきましょう。

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