元夫の連帯保証人から外れ自宅に住み続ける方法とは!?

元夫の連帯保証人から外れ自宅に住み続ける方法とは!?

 離婚した女性が当事務所へ相談を寄せる場合、ほぼ例外なく連帯保証人の問題が関係しています。

また、そのほとんどが離婚後は妻と子供が元夫名義の家に、そのまま住み続けております。

相談後の結果も大かた予想がつき、住宅ローンの返済を元夫婦のどちらかが続けていたが、返済が止まったため、仕方なく元妻と家族が元夫名義の家から引っ越すことになります。

しかし、例え引っ越しが済んでも、元妻は住宅ローンが完済されるまで、連帯保証人から解放されることはありません。

連帯保証人の問題が完全解決できるのは稀

同様のケースは数多く相談を受けておりますが、あえて今回ご紹介するのは「元夫の連帯保証人から無傷で外れ自宅に住み続けることができた」当事務所でも初めて扱うケースとなったからです。

目次

元妻が連帯保証人から解放され住み続けられるレアケース

 結論から先に書くと、相談者のA美さんは元夫の住宅ローンの連帯保証人から解放され、更に元夫名義の現在の自宅に家族で住み続けられる、大変喜ばしい事例となりました。

それでは、具体的に相談内容から見ていきましょう。

A美さんからLINEで以下の相談が寄せられました。

<A美さんの相談内容>

 現在、離婚した元夫名義の家に子供と一緒に住んでいます。

元夫に代わり、私が住宅ローンも返済しています。

その後、出会いもあり、再婚しました。

元夫名義の家に新しい主人と生活を始めたいのですが、気掛かりなことがあります。

私は元夫の連帯保証人(連帯債務者)です。

このまま元夫名義の家に住み続け、住宅ローンを返済しても自分たちの家にはなりませんよね・・・

ならば、今の主人が住宅ローンを利用して、元夫から購入することは可能でしょうか?

相談内容をまとめるとA美さんは、以下の2点が不安となっていました。

〈A美さんの不安〉

  • 連帯保証人(連帯債務者)
  • 自分の家ではないまま続く返済

ご自身の連帯保証人の問題と、このまま元夫名義の家に住み続けることに日々不安を覚え、何とか解決できる手段がないか模索していました。

そんな中、ご縁があり、めでたく再婚されたのです。

そして、新しいご主人がA美さんの不安をすべて受け止め、元夫から『今の自宅を買取ってもいいよ!』と言ってくれたのです。

A美さんのご主人が元夫から購入できれば、連帯保証人の問題も解決する可能性もあり、本当に自分たちの家になるので、一石二鳥とはこのことかもしれません。

新しいご主人が買取ることで話がスタート

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売却を進めるための問題点

 新しいご主人が元夫の家を購入すること自体、普通に考えれば身内でもなく、通常の不動産売買なので難しいことはありません。

しかし、ことはそう単純ではなく、いくつか懸念される問題があります。

〈懸念事項〉

  1. 元夫が売却に同意するか?
  2. 適正な売買価格は残債を上回るか?
  3. 連帯債務者(A美さん)として不動産の登記事項に記載

1 元夫が売却に同意するか?

 不要な家を売却することができるのならば、元夫としてもうれしい限りのように感じますが、人は感情の生き物です。

離婚にも何かしら原因があったため、果たして「簡単に同意してくれるのか?」

この点をA美さんは気にしており、最悪元夫と話がまとまらなければ、引っ越す覚悟もできていました。

そうは言っても、住み慣れた環境を変えたくない気持ちもあり、やはり住み続けることが1番の希望です。

しかし、新しい御主人が本当に購入できるか?

その判断ができてからの交渉となりますので、ひとまずここは後回しにします。

元夫の同意は不可欠

2 適正な売買価格は残債を上回るか?

 売買価格が残債を上回れば、元夫は現在の住宅ローンが完済できるため、売却に同意しやすいと考えられます。

また、同時にA美さんも連帯保証人(連帯債務者)から解放されます。

その一方で住宅ローンの残債より、売買価格が下回れば、どうでしょうか?

元夫がマイナス分となる現金を持出してまで売却するか疑問です。

また、その意思はあっても実際に現金を用意できるかを考えると・・・ その可能性は低いでしょう。

要するに「売買価格が残債より上か下か

この点が、今回の話がまとまるか否かのポイントになります。

売買価格が残債を上回れば下準備はOK

重要な不動産の価格査定

 新旧夫間の不動産売買とは言え、その金額は適正でなければなりません。

近隣事例や現在販売中の中古住宅の価格、そして公示価格等も考慮に入れ査定します。

その結果、適切に導き出した当事務所の査定価格で、元夫の住宅ローンの残債が返済できることがわかりました。

元夫が不動産を手放しても、持出しなく売却できるのでプラス材料となります。

査定結果は残債より上

3 連帯債務者(A美さん)として不動産の登記事項に記載

 「連帯債務者として不動産の登記事項に記載」と聞いても、そもそも何が問題なのか?

この記事を見ている方も分からないと思います。

ここは、A美さんや買主となる新しい御主人にとってもピンとこない部分ではあり、任意売却に精通する業者としての気掛かりな点です。

登記事項には連帯債務者として、A美さんの名前と住所が記載

新しい御主人が住宅ローンの申込をする際、不動産の登記事項を金融機関に提出します。

申込書類にはその他、源泉徴収票や家族全員分の住民票も求められます。

連帯債務者として記載されているA美さんの住所は売買対象となる不動産と同じ場所です。

当然、金融機関はアレっ!? となります。

不審な点があると簡単に断り

金融機関の見方は非常に厳しい

 何が問題なのかと言えば「妻の借金を解決するために住宅ローンを借りるの?」と疑いの目で見られます。

それだけで、ダメとする金融機関が実際に多かった印象です。

ネット銀行は門前払い

実際、A美さんご夫婦が最初に希望した、金利の低いネット銀行は条件が厳しく、見事に相談段階で不可となりました。

筆者としても少し不安になりながら、いくつもの金融機関に打診。

素直な目で見ていただければ、ご主人も東証プライムの上場企業にお勤めです。

住宅ローンの貸出先としては文句のない属性の良さ。

実際、断られ続けたのものの、最終的に受付可能な金融機関が見つかりました。

金融機関が決まれば元夫と交渉あるのみ

元夫の同意は得られるか?

 住宅ローンの見通しも立ち、元夫が売却に同意すれば話はまとまります。

当事務所としては、元夫と一度、話すか会う機会を設定してもらえれば、後はこちらで対応、離婚された元ご夫婦が互いにストレスなく話しを進めることが理想的です。

今回は元夫に会う日取りまで、何とか設定してもらいました。

A美さんの希望が叶うのか?

筆者と元夫との初対面の日。

実際に会ってみると、多少は内容を把握しているので、話はスムーズに聞き入れて頂けました。

今回の経緯から実際の取引、更に不動産売買によって住宅ローンは完済、ほぼデメリットは無い様な状況を説明。

もちろん、約束の日時をきちんと守りお会いできる方なので状況を理解、その場で売却のご依頼を頂く形となりました。

後は、新しい御主人が住宅ローンの本審査をパスすれば、取引最終日を待つだけの状態です。

元夫も売却に同意で9割方は成功

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元夫は売却に同意しないとどうなるか?

 仮に元夫が売却に同意しなかった場合、どうなるか簡単に説明しましょう。

A美さんご夫婦が住宅ローンを代わりに返済しても、永遠に自分たちの家にはなりません。

元夫から家を借りている状態で、はたから見れば賃貸住宅に住んでいるのと同じです。

もし、元夫が売却に同意しなければ、現在のご主人が別の家を購入する計画も考慮に入れておりました。

A美さんは連帯保証人(連帯債務者)ですが、現在の御主人は関係ありません。

現在のご主人は住宅ローンの審査については全く問題ありません。

そのため、現在のご主人が新居を購入後、引っ越しを済ませ、その後A美さんは住宅ローンの返済をストップするでしょう。

そして、元夫も容易に返済はできないため、当然、A美さんにも請求がきますが、今後のことも考えれば、早めに自己破産してしまう方法も選択肢の一つとなります。

どちらかと言えば、今後困るのは元夫の方で影響が大きいのではないでしょうか・・・

元夫にとってもプラスの取引

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今回の売買で心掛けたこと

 元夫の同意もあり、住宅ローンの本審査もパスしたため無事に不動産売買が終了しました。

離婚した元ご夫婦の問題でもありますが、今回は元夫と新しいご主人とも互いに顔を合わせることなく、取引するのがA美さんの希望でもありました。

不動産取引には多額の現金が動くため、銀行の窓口で当事者同士が会わないまま進めるのも、難しい場合もあります。

しかしながら時間調整等も重ね、何とか成し遂げることができました。

ただ売買すれば良いではなく、やはり最大限配慮することも、今回の取引では重要な部分です。

相談者・当事者への配慮は最優先事項

離婚に関わる不動産売買で成否を分けるのは?

 A美さんが何とか住宅ローンの返済を滞納することなく続けてきたので、問題がこじれずに済みました。

つまり、滞納が始まっていれば、元夫に請求が行きますので、どちらが払うか?

借金問題が表面化し、信用情報機関(ブラックリスト)に登録される等のデメリットも生じてしまいます。

その結果、お互いにとって有効な手段よりも、感情が優先されてしまうことが往々にしてあります。

そのような問題を避けるため、今回のケースでは第三者(筆者)を介入させたことも実は大きかったのです。

第三者であれば伝えるべきことを伝えられる

今回の売買では第三者が間に入ることで、当事者同士よりは冷静な話し合いの場が持てたことが、やはり大きかったと思います。

元夫にとってはデメリットは皆無なので、きちんと伝えることができたため結果につながりました。

当事者同士ではこじれる場合も

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相談から取引終了まで

 A美さんは、連帯保証人と自宅の問題が同時に解決できた非常に稀なケースです。

実際には、相談から始まり取引終了まで8ケ月掛かっています。

お伝えしたいのは、第三者が間に入り「当事者双方にメリットがあっても、簡単に話が進む訳ではない」ということです。

日程等も、それぞれの生活があり神経質なくらい、細かな調整が必要になります。

そのため、本当に時間が掛かってしまいます。

連帯保証人の問題は通常、簡単には済む問題ではありません。

不安があるならば、可能な限り早めに相談することが大変重要です。

連帯保証人の問題は表面化する前に対処

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同様のケースを検討中の方に対して

 あまり、同様のケースを想定されている方は少ないかもしれません。

しかし、あえてアドバイスさせて頂くならば、A美さんの再婚前に現在のご主人が元夫から自宅を購入し取引終了。

その後、入籍する段取りであれば、ネット銀行の住宅ローンも利用できたのではと考えております。

入籍前ならばネット銀行も可!

複雑な状況のまま、入籍や引越しなど役所に届出が必要となる節目のできごとがある際は、問題を一度整理してみましょう。

事前に対処することで、解決できる可能性が格段に向上するかもしれません。

人生の節目は問題を見つめなおす機会

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