日本でも多くの高齢者が現在も働き続けています。
働く高齢者には、社会と関わりを持つことで喜びを感じている方も存在します。
そうでない方は、高齢でも生活に必要なだけの収入や蓄えが無く、老いた体でも働かなければならない現実があります。
高度経済成長から続く住宅建設が現在も継続され、マイホームを長期の住宅ローンで手に入れ、その返済が終わらぬまま、定年を迎える世代が続々と問題に直面します。
最近特に表面化してきている老後破綻です。
マンションの維持費も大きな負担
新築のマンションも住宅ローンで購入すれば、定年を迎えるころには築20年~30年以上経過します。
今現在の販売中の中古マンションを見てみると、専有面積が70㎡位で管理費・修繕積立金を合わせると毎月3万円の維持費を超えるケースも珍しくありません。
購入当初は管理費・修繕積立金を合わせて2万円以下でも、現実には2万円では間に合わなくなり、どこの管理組合でも金額アップを検討せざるを得ない状況です。
それでも住宅ローンが無ければ、年金収入での支払いも可能かもしれませんが、これに住宅ローンを合わせて返済していくイメージはとても成り立ちません。
不動産の資産価値にも明暗が出る
現在は賃貸住宅の家賃と低金利の恩恵で住宅ローンの返済額を比較し、いずれ返済が済めば自分の物になるような感覚で購入を決めていると思われます。
最近の不動産市場では、価格にはっきりと明暗が現れ、建物が古くなっても価格の下落が少ない都心部の不動産に比べ、郊外の不動産は価格の下落が大きく管理の悪いマンションなどは高額な維持費も負担になり、思うような価格で売却できない可能性もあります。
購入当初は賃料が高いと思えても、人口減少と空家の増加とともに家賃も下落傾向にありますので、定年を迎えるころには高額な返済を続けてきたと感じるかもしれません。
生きがいではなく住宅ローンの返済
定年後まで住宅ローンのために働くのは思い描いていた老後とは全くの別物です。
まだ働ける体力と就業先があるだけ幸せかもしれませんが、年を重ね体調を崩せば働けなくなり、いよいよ老後破綻へと進みます。
回避するには住宅ローンという名の借金を計画的に繰り上げ返済していくか、無理ならば価格の下落が少ないうちに売却するなど、住み替えの検討を始めることが必要です。
借換えが有効な場合も
現状での繰り上げ返済は金利が高ければ負担も多いので、その他の方法として、現在の金融機関から別の金融機関へと住宅ローンを借換えることで、月々の返済額は同じでも金利が下がれば返済期間を短縮し早期に完済することが可能な人もいます。
老後破綻を回避するには有効な手段です。
自分は変動金利で住宅ローンを借りているから、低金利の恩恵を受けているので関係無いと考えている方もいるでしょう。
しかし、金融機関も住宅ローンの顧客獲得合戦を繰り広げています。
今では横並びの基準金利から優遇キャンペーンと銘打ち、かなりの低金利で融資していて1%以下は当たり前の状態です、更に差別化を図るため保険の内容が充実している商品もあります。
最近ではホームページ上で、借換えのシュミレーションが出来る金融機関もありますので、まずは効果を検証してみるのが大切です。
ただし、借換えとなると諸費用が必要になり金融機関によって、その額は様々です。
諸費用を含めたトータルの収支で返済額が減少しなければ意味がありません。
また、過去に税金や国民健康保険料の未納で役所から自宅の差押えを受けたことが判明すると、それを理由に金融機関から断られる場合もあります。
それなりに条件も有、年齢や残債額、自宅の担保評価によって誰でもが借換え出来るわけではなく、金融機関から事前の審査が必要で幾分ハードルは高くなります。
交渉で金利が下がることがある
無事に事前審査が通り借換えが現実的になった時、ひとつ大事なポイントがあります。
それは住宅ローンを借りている現在の金融機関に対して借換えの審査が済んだことを引き合いに出し、金利引き下げの交渉を行ってください。
金融機関にしてみれば、今まできっちり返済してくれた顧客を失うので、金利の引き下げに応じるケースもあります。
定年後も住宅ローンの返済が続けば老後破綻の可能性は高くなり、自宅に住み続ける事は困難です。
かといって愛着のある我が家を老後の不安で手放す決断は難しい事です。
借換えや金利の引き下げによる残債務の圧縮が可能であれば早めに検討することで、その効果も大きくなります。