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任意売却の不安!残債があるとサービサーが請求するの?

任意売却後に残債があるとサービサーからの請求を心配し、「なかなか任意売却に踏み切れない…」という相談者が多くいます。
任意売却は必要と考えながらも、残債の対処が気になって先に進めない典型的な例です。
しかしながら、住宅ローンなどの不動産担保ローンが払えないと、不動産の売却は避けられません。
強制ではないため、売却を拒むこともできますが、結局は競売により処分されます。
売却でも競売でも、その代金は借金に充当され完済できない場合、残った借金(残債)は請求されます。
しっかりと認識してほしいのは「競売でも残債があれば請求される」ことに違いはありません。
任意売却に精通するFP&不動産コンサルの有資格者が「サービサーからの残債の請求が不安で任意売却を決断できない方」へ向け記事にしました。
任意売却後のサービサーの対応に不安を感じている方は参考にしてください。
目次
残債の扱いは金融機関が公的か民間かで異なる
任意売却後に残債が生じると、公的な金融機関の住宅金融支援機構や信用保証協会(以下、保証協会)等は残債の回収業務をサービサーへ委託します。
これに対し、民間金融機関は不動産の任意売却後は、無担保となった残債をサービサーへ債権譲渡するのが主流です。
サービサーの立ち位置としては、委託回収もしくは、自社債権の回収となります。
〈サービサーの立場〉
- 公的な金融機関はサービサーへ委託回収
住宅金融支援機構や保証協会など - 民間の金融機関はサービサーへ債権譲渡
銀行や信金など
公的な金融機関であれ、民間金融機関であれ、残債の回収業務はサービサーが担うのが基本です。
残債の回収はサービサーが基本
サービサーには厳しい自主ルールがある
委託回収であれ、債権譲渡後の回収であれ、最終的な不良債権の行きつく先に登場するのがサービサーです。
それでも、サービサーが他の債権者ができない特別な回収方法が認められている訳ではありません。
債権者って何ができるの?
サービサーは債権回収の専門企業でも、回収方法は他の金融機関と同じです。
詳しくは「任意売却後の残債はどうすれば?競売は残債を請求されないの?(債権者のできること・第1段階~第3段階)」の記事をご参照ください。
そして、サービサーは全国サービサー協会という団体に加入しています。
法令の遵守は当然ですが、その団体には厳格な「自主ルール」があり、誰でもウェブサイトから見ることができます。
その中の(債務者等への配慮)第8条には以下のような一文があります。
『債務者等の事業または経済生活に著しい支障が生じないよう、可能な限りの配慮をすることとする。』
一般社団法人 全国サービサー協会『債権管理回収業の業務運営に関する自主規制規則』より引用
その他には、具体的な例で禁止事項が事細かに定められており、自主ルールが債権回収会社の信頼の向上を目的としているのが理解できます。
この協会で決めた範囲内での回収なので、強引な回収は事実上難しいことになります。
サービサーの回収は自主ルールの範囲内
サービサーへの苦情も相談できる
全国サービサー協会は、会員に対する「苦情の窓口」を設置してあります。
自主ルールを逸脱するような手段に出れば、すぐに相談できる体制になっています。
その上でサービサーが禁止されている取り立て行為を知っていれば、任意売却後にくる残債の請求にも対処しやすいと思います。
どうしてもサービサーの回収について不安がある方は、この自主ルールについて、一度目を通してみて下さい。
自主ルールに反すれば苦情の窓口もある
民間金融機関の債権譲渡にはメリットもある
任意売却後に無担保となった残債がサービサーへ債権譲渡された場合、何となく「厳しい取り立てが開始されるのでは?」
債権譲渡と聞いて、更に不安は増すことでしょう。
しかし、サービサーの債権譲渡の場合、債権買取り金額は元金より大幅に下回るため、一括返済でかなりの減額で解決できることもあります。
そのため、サービサーに「債権譲渡されることは決してマイナスばかりではない」ことも覚えておいて下さい。
むしろ、現在のところ債権譲渡を行わない公的金融機関はサービサーに回収業務を委託します。
そうなると、残債元金の減額交渉は困難なケースも多く、返済が終わるまで請求は続く場合もあると考慮に入れて下さい。
債権譲渡は解決のチャンスにも!
残債は払う必要はあるの!?
そもそも「任意売却後の残債を払う必要はあるの!?」と疑問をお持ちの方も多いようです。
任意売却は担保となっている不動産を手放すので、借金が無くなると安易に考えているのかもしれません。
しかし、金融機関とは借入金額に対しての返済を約束しております。
そのため、担保の不動産を手放しても完済できなければ、不足分についても返済を求められます。
基本的に任意売却は、借入残高より低い金額で不動産を売却しますので、金融機関に返済できない不足分が生じ、この部分が残債となります。
担保となっている不動産を売却すれば終わりになるローンのことをノンリコースローンと呼びますが、日本では一般的ではありません。
従って、住宅ローンのような不動産担保ローンであれば、売却後に残債があれば請求されることになります。
競売も同様に残債があれば請求される!
残債を払う必要がないのは、どんなときか?
任意売却後に残債が生じてしまっても、状況や対処によって返済義務を免れることもあります。
以下に、残債を払う必要がないケースをまとめました。
〈残債の返済義務が無いとき〉
- 債権者(金融機関)の債権放棄
- 自己破産して免責の決定
- 時効の完成
1.債権者の債権放棄
債権者が返済不要と言えば、払う必要はありませんが、まず、あり得ません。
たとえ生活保護を受給するようになっても、請求は一旦ストップする可能性もありますが、金融機関やサービサーが自ら債権放棄することは少ないでしょう。
債権放棄は期待できない!
2.自己破産して免責の決定
任意売却後の残債、その他の借金について自己破産を申請し、裁判所により免責が認めれたとき。
自己破産については、説明の必要は無いでしょう。
裁判所が認める正式な手続きとなります。
現実的な対処は自己破産
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3.時効の完成
最終支払日から5年又は10年間(借入先により異なる)経過すると時効が完成、債権者に対して時効の援用したとき。
※ 時効の中断事由もありますので、単に期間が経過したから時効が完成しているとは限りません。
任意売却後の残債を払う必要がなくなるのは、2の自己破産が現実的で、早期に解決を望むなら自己破産を選択するべきかもしれません。
時効の完成も期待薄
債務者が嫌がる手段を取ることも
任意売却後は、誰でも経済的には苦しい立場にあります。
できることなら、返済したくはないのが本音でしょう。
しかし、返済についての話し合いが進展しないと、債権者はどのような対応をするのか?
その中で、請求される立場からすると「なるべく避けたい」回収方法もあります。
返済についての話が進まなければ、債権者が取りうる避けたい回収方法を以下に、まとめました。
〈避けたい回収方法〉
- 訴 訟
- 連帯保証人に請求
- 給与の差押え
1.訴 訟
実際に訴訟を起こされると、普通の人は戸惑い、これだけでも相当な心理的圧迫となります。
また、裁判所の判決や司法和解による債務名義の取得で時効が10年になる効果もあります。
ただし、訴訟となっても返済能力が無ければ、あまり意味もありません。
訴状が届けば不安も増す
2.連帯保証人に請求
連帯保証人に迷惑を掛けない約束で任意売却に同意を得ている場合など、連帯保証人に請求されると非常に厳しい立場になる。
ただし、連帯保証人も引受けた責任があり、最終的には残債が無くなるまで返済義務は消えません。
連帯保証人もご自身の借金であるとの認識で、協力し対処することになります。
連帯保証人である以上避けられない
3.給与の差押え
職場を把握されていると、訴訟による債務名義の取得で、給与の差押えが可能になります。
訴訟まで進んだ場合、最終的には「給与の差押え」をちらつかせ、交渉材料に出てくる可能性があります。
ここに至るまでは、それなりに交渉過程もあります。
返済について全く取り合わないような不誠実な対応でない限り、ここまでこじれることは稀でしょう。
最終手段は給与の差押え
残債の放置は危険
任意売却後の残債に限らず、不良債権の回収は取れる相手からは、きっちり取るとの姿勢でサービサーも厳しく望みます。
そのため、残債の話し合いに応じなかったり、誠意のない対応を続けた場合、弱みがあれば、そこを突かれると、考えても差し支えないでしょう。
はるか昔は、残債は放置するという方法も通用していた時代もありました!
債務者の返済能力によりますが、今と昔では対応が変化してきております。
また、現時点で返済能力が皆無でも、この先、「実家の不動産を突然相続したら」、どうでしょうか?
サービサーが察知すれば当然、回収の手を緩めることは考えにくいでしょう。
つまり、任意売却後に残債があれば請求されますので、ご自身の経済状況に応じ、まずは金融機関と協議を重ねていくことが大切です。
返済の意思があっても無理な返済計画しか提示されないようであれば、自己破産のメリットが大きい場合もあります。
落ち着いて対応していけば解決策は見つかりますので、焦らずに誠意をもって進めていきましょう。
前向きな話し合いが重要
残債を0円にする方法!その情報は特別なのか!?
インターネットでの広告につられ資料の請求や連絡をしてみると、「お客様は該当しません」や「現実的にはムリ」となることがほとんどです。
任意売却を取り巻く環境では、住宅ローンの返済に困った方に対し、魅力的な宣伝文句が並べられます。
魅力的な言葉とは?
任意売却に関連して売らずに済む・住み続けるは代表的!
筆者自身も任意売却後の「残債を0円にする方法」をインターネットの広告で目にしたことがあります。
「本当ならば、すごい!」ことです。
↓ 実際にクリックしてみると ↓
任意売却後の残債を0円にする方法とは?
- すべて返済すれば、当然0円になります
- 返済せずに時効期間の完成後、時効を援用すれば消滅
- 自己破産により、返済義務を免除
1は無理だから困っている訳で、説明の必要もありません。
2の時効が成立するには最低でも5年必要です。
金融機関としては時効をストップ(中断)させる方法もありますので、いつ時効で解決できるかは分かりません。
現実的に残債を返済せずに0円にする方法は、そう簡単ではありません。
最終的には、3の誰もが御存知の、自己破産しかありません。
実際は残債が0円になる訳ではありませんが、返済義務がなくなるという意味で0円にするのと同じような効果となります。
結局は自分の知っている方法なら、その情報に価値は無いと思います。
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返せない借金の問題
任意売却は住宅ローンや他の不動産担保ローンが払えないことが明らかなときの対処法です。
そして、自宅等の不動産を売却しても完済できなければ、返しきれない借金が残債となります。
自宅などの不動産が関係して複雑に感じますが、実際は過大な借金問題です。
その返済のために、債権者と対峙する必要があります。
突き詰めれば過大な借金のこと
任意売却後の残債でミラクルは起きない
借金問題を解決するため、特別な方法は存在しません。
返済することなく、返済義務を免れるには「自己破産」という手段しかありません。
ただし、住宅ローン等の不動産担保ローンは、不動産を売却処分すると、民間金融機関の多くは残債の回収というより、最終的にはサービサーへ債権譲渡して処理してしまいます。
民間金融機関は、サービサーに債権譲渡されてから残債に対して、どう向き合うかの選択となる
残債が過大で返済の意思が無ければ、やはり自己破産となります。
先述しましたが、サービサーとの交渉により、大幅な減額での解決が望めるケースも存在します。
どちらの道を選ぶかは本人次第となり、慌てる必要もありません。
任意売却後に落ち着いてから対処しよう
公的金融機関は債権譲渡ではなく回収業務の委託
こちらについても先述しましたが、公的な金融機関は現在のところサービサーへの債権譲渡はしておりません。
その代り「サービサーへは回収業務を委託」しますので、利息や遅延損害金に対して交渉の余地はあります。
しかしながら、残元金に対して減額は望めません。
公的金融機関は借入金の元金減額交渉は基本不可!
公的金融機関は税金が投入されている以上、仕方ないことでしょう。
債権譲渡した場合、残元金と譲渡価格の差額は実質債権放棄となりますので、現在のところ行わないようです。
よって、公的な金融機関で任意売却を行った場合、残債があれば元金が無くなるまで、無理のない範囲で返済を継続することになります。
そうなると、先の見えない返済が続くより、自己破産で返済義務を免除してもらうほうが、幾分気持ちも楽になるのかもしれません。
早期に解決するなら自己破産もあり
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残債の対応には順序がある
任意売却後の残債は担保の不動産は売却しても、借金がすべて返済できていないことが原因です。
そのため、任意売却の取引が終わらなければ、残債がいくらになるか確定しません。
残債をどうするかを任意売却の前に考えるのは、順序が逆で、しっかりと任意売却を終えないと先に進むことができなくなります。
任意売却が先・残債は後回し
細切れ情報の危うさ
インターネットで任意売却について調べても、その情報の細部までを知ることはできません。
また、他のサイトの情報とつなぎ合わせても、自身に該当するのか判断も難しいと思います。
情報の寄せ集めでは、分からないこともあります!
任意売却について検索する場合、都合の良い話ではなく、少し厳しい指摘にも目を向けてみると、現実が見えてくるかもしれません。
そして、きちんとした情報を提供している業者に相談することがベストの選択と言えるでしょう。
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