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『自己破産と個人再生』任意売却後はどっちを選ぶ!?
もしも、自分自身が自己破産すると考えれば、どうしようもない状態に陥ってしまったと思い悩むことでしょう。
なぜ、冒頭から気の沈む話なのかというと、自己破産はダメでも、個人再生なら抵抗の無い方が多いように感じるからです。
『自己破産』という言葉はとても重みがあり、一度は耳にしたことがあると思います。
しかも、負債を抱え人生のどん底を指し示すようなイメージです。
- 『自己破産』 人生どん底のような・・・
- 『個人再生』 再出発可能!?
それに対して、『個人再生』はどうでしょうか?
何となく、再出発できるような感じがします。
つまり、やり直すための再スタートを切るイメージです。
実際に、そのイメージ通りであればいいのですが・・・
個人再生は自己破産よりイメージが良い?
ここからは、任意売却と切り離せない任意売却後の残債に関連して話しを進めます。
任意売却後に多額の残債が生じてしまい、返済が困難と考えるならば、自己破産を検討することもあります。
また、自己破産は最後の最後にして、個人再生という方法も選択肢の1つとして見ている方もいらっしゃいます。
実は、自己破産と個人再生について理解が少ないために、悩んでしまう事象ではあります。
任意売却後という条件下で考えると、既に不動産などの高価な資産は持たず、多額の残債があると前置きさせて頂きます。
この場合、違いが分かれば個人再生は考える必要も無く、もはや自己破産一択が選択肢と言って差し支えないくらいです。
その理由は、個人再生は裁判所が認める債務整理の方法で、債務を圧縮して原則3年(最大でも5年)で返済します。
従いまして、個人再生は再生計画に基づいた借金の返済が必要です。
それに対して、自己破産は裁判所から免責が認められれば、借金の返済は不要となります。
- 自己破産は返済不要
- 個人再生は返済必要
この違いは相当大きいと誰でも分かると思います。
共通するのは、どちらも裁判所に認めてもらう公的な対処法です。
個人再生は要返済・自己破産は返済不要
個人再生は返済が必要で自己破産は返済不要となりますが、単純な損得勘定だけではなく、デメリットについても考える必要があります。
最初に当事務所では自己破産のデメリットは大きく分けて、2つとしております。
ただし、このデメリットとは個人再生と比較してのデメリットではなく、単に自己破産した場合のデメリットとしてご理解ください。
そもそも、任意売却後の残債の対処で個人再生は、全く持ってお勧めしていないのが理由です。
【自己破産2大デメリット】
- 信用情報機関への登録(ブラックリストに載る)
- 官報に掲載
1.信用情報機関への登録(ブラックリストに載る)
まず1点目、信用情報についてです。
実際は存在しないのですが、通称ブラックリストと呼ばれているものです。
この信用情報機関に自己破産すると金融事故の情報として登録されます。
5年~10年は、金融事故の情報は消えません。
その結果、クレジットカードの作成や新規の借入れが制限されることは、ご存知の通りです。
ちなみに、スマートホンの分割購入もできなくなります。
2.官報に掲載
2点目として、自己破産すると、官報に掲載され、一定期間は誰でもインターネット上で見ることができます。
それ以降は、会員専用となりますが月額費用を払えば誰でもインターネット上で見ることができます。
また、官報は国の機関誌の様なものなので、ある程度過去に遡って確認する場合、大きな図書館であれば見ることも可能です。
官報は普通の人が生活する上で必要なものかと言えば、ほぼ不要であるため目にする方は少ないのが実情です。
個人再生はデメリットが少ないのか?
自己破産は信用情報機関へ登録され、官報にも掲載されるという点を踏まえ、個人再生はどうでしょうか?
実際のところ、個人再生も信用情報機関へ登録され、官報にも掲載されます。
信用情報機関への登録は、当初の約束通りの返済ができないため仕方ありません。
しかし、個人再生も自己破産同様に官報にしっかり掲載されます。
あれ!? 自己破産と一緒だと、すぐ分かります。
ここで改めて自己破産と個人再生を比較します。
任意売却後の残債を払わずに済む方法と、減額されても払う方法があれば、どちらを選ぶでしょうか!?
残債を払う方法・払わない方法
個人再生について、少し理解するだけでも、自己破産と比較して個人再生を選択しようと考える方は少ないと思います。
また、個人再生にしろ自己破産にしても、大抵の方は手続きを進めるに弁護士の先生に依頼します。
当然費用も必要なので、金銭面のみで比較しても個人再生にメリットはありません。
むしろ、費用面を考慮すると、個人再生の方が手続が煩雑で自己破産より高額になってしまいます。
個人再生にメリットはあるの?
それでは、個人再生にはメリットが無いのか?
決して、その様な訳ではありません。
個人再生には、適用条件に該当すれば、非常に有効なメリットがあります。
それは、任意売却とは無縁になりますが、住宅ローンと他の借金が増え、返済が困難となってしまった場合に効果を発揮します。
他の借金さえ減れば、何とか住宅ローンを返済、生活が立て直すことができそうなケースが当てはまります。
この様なケースを想定し、裁判所が認めれば、住宅ローン以外の借金(5,000万円以下)を大幅に圧縮(減額)することが可能です。
つまり、住宅ローン以外の借金は債務整理するため、再生計画に沿って返済が終了すれば、自宅を残すことができてしまいます。
自己破産では、自宅を残すことはできません。
これも個人再生の1つで通称『住宅ローン特則』と呼ばれています。
もちろん、住宅ローン以外の借金を大幅に圧縮したとしても、原則3年(最大でも5年)で返済するため、これに住宅ローンの返済も合わせると楽な生活ではありません。
また、裁判所に認めてもらうには、安定収入が必要だったりと非常に要件が厳しいのですが、該当する方は利用するのが望ましいと考えられます。
自己破産をよく理解すると分かること
自己破産という言葉を見ると『自己』と『破産』の2つワードからできています。
つまり自己破産は自ら破産することを意味しております。
自分から破産を選択することができる制度なので、『自己破産』によって苦しい状況から抜け出すことを裁判所が認めてくれることになります。
むしろ、自己破産という制度が無かったならば、一度抱えてしまった借金が返済できない場合、一生負債を抱えたまま生活していかなければならず、とても恐ろしいとさえ感じます。
- 自己破産あり 借金をリセットできる
- 自己破産なし 借金を一生背負うことも
自己破産によって絶望的な借金から解放されることができるならば、利用するのも一つの手段なので金融機関に対しても遠慮する必要はありません。
金融機関も債務者が自己破産することで、その後の債権管理から解放されるため中途半端な返済が続くよりは、よっぽど有難いと言えるでしょう。
自己破産をよく理解すると、誰のための制度なのか? 良く理解できると思います。
任意売却前の自己破産はお勧めできない
自己破産は決断すれば、いつでもできます。
そのため住宅ローンが苦しくなった時点で、早々に自己破産してしまう方もおります。
また、そのことを否定するつもりもありません。
しかし、自宅を所有したまま自己破産へ進んでしまうと、自宅を自身が所有者として売却することができなくなります。
ここでは、あまり詳しくは書きませんが裁判所が選任した破産管財人が破産者の財産を換価(売却)処分するためです。
見ず知らずの破産管財人(全くの第三者)があなたの自宅を売却することになります。
それゆえに、『住宅ローンが苦しい』『住宅ローンが払えない』ようなケースでは、任意売却によって自宅を手放すことが先決となります。
結果、任意売却後の残債がどうしても負担と感じた時点で自己破産を検討するという流れが、費用面も含めて合理的な対処法と考えております。