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親子ローンのトラブル|返済に困ったときの対処法を相談事例で解説

親子ローンと聞くと何か特別なローンのように感じますが、最近ではタワーマンションで注目されたパワーカップルが利用する夫婦ペアローンと基本的には同じです。
妻と夫が親と子に成り代わったペアローンと考えて頂ければ、分かりやすいでしょう。
その特徴は住宅ローンを親と子が個別に契約、1つの住宅に対して、2人別々に住宅ローンを利用できます。
この点が連帯保証人や連帯債務者と異なり、個々に住宅ローンの契約者が2人存在することになります。
現実には、2人がお互いに連帯保証人又は連帯債務者となることを求められます。
夫婦のペアローンと区別するため、以下「親子ローン」として表記します。
今回の記事は、「親子ローンならではのトラブル」を1つ。
次に「親子ローンを解消したい」というトラブル事例を1つ
そして、最後は親子が収入合算して借りた「現代事情を象徴する親子ローンのトラブル」を紹介します。
FP&不動産コンサルの有資格者が「親子ローンのトラブル対処法」についても合わせて解説します。
目次
親子ローンの返済を親が滞納して子も道連れに
最初に紹介するのは、親と子がペアでそれぞれ住宅ローンを借りた、親子ローンならではのトラブルとなります。
親子であれば年も離れています。
借り入れ当初は、当然ながら親も働いていました。
年月が過ぎて、やがて親が子よりも早く定年退職するのも、ごく自然な流れです。
定年後の親の収入は、働きに出ない限り年金だけが頼りとなります。
その後、親が年金だけでは、自分の住宅ローンが払えなくなり、親子ローンで老後破綻が起きてしまうことがあります。
親子なら親から順にリタイアする
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親子の絆で相談できない
住宅購入時は、親子2人で頑張って払っていくと決めたのに、その返済ができなくなったこと。
また、子はきちんと返済を続けていれば、尚更、親が子に真実を打ち明けるのは、難しいと想像できると思います。
この時点で親に配偶者がいれば、相談できたかもしれません。
しかし、片親で子を育ててきた場合など、深刻な悩みだけに子に迷惑は掛けたくないとの一心で、余計に一人で抱え込んでしまいます。
そして、金融機関からの請求に、応じることができずに保証会社へ代位弁済、やがて競売へと発展します。
子が滞納の事実を、全く知らないまま競売まで進行してしまうのです。
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金融機関も子に連絡が取れない理由
ここまでの流れで、疑問があると思います。
〈ここが疑問〉
- 子はどうしていたの?
- 金融機関が子に連絡はしないの?
誰でも気になることでしょう。
ところが、金融機関も現実には連絡が取れませんでした。
それぞれ個別のローンですが、親のローン分については子も連帯債務者であるため金融機関も連絡します。
しかし、子は転職していたため、電話での連絡が不可能だった。
自宅への電話も金融機関の営業日、つまり平日がほとんどなので、子に電話連絡できないことも多くあります。
また、書面での連絡は、親が自宅に居れば、子宛に届いた金融機関からの郵便物も勝手に処分できます。
つまり、親が知られたくないまま、又は打ち明けたくても、できないまま、時間だけが経過してしまうことが現実に起きてしまったのです。
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親子ローンは収入も2つ必要
親子でも夫婦でもペアで借りるローンのため、別々の住宅ローンです。
借入額や月々の返済額・ボーナス払いの返済額も、それぞれ異なります。
そして、親子ローンでは親と子(2人)は、それぞれに収入があるのが前提です。
一方の収入が断たれると、もう一方の収入だけで、2つの住宅ローンが返済できなければ、住み続けるのは困難です。
また、親子ローンは原則として、お互い同居していますので、その相手は家族ということになります。
この家族だからこその原因で、思わぬ落とし穴に落ちてしまうこともあります。
一方の収入が欠けると成り立たないリスクも
夫婦ペアローンの場合
夫婦でペアローンを利用していれば、どちらか一方が仕事を辞めたり、出産で休職したりするのは、よくあります。
その際は、夫婦でその後の見通しも含めて相談し、収入のある方が返済していくことになります。
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親子ローンの場合
親子ローンは2世帯住宅の建設でも、よく利用されます。
また、片親世帯の子どもが成長して働くようになり、その後、親子が協力して自宅を購入するケースもあります。
母子家庭や父子家庭等、苦労されて生活してきた方であれば、親子で住宅を手に入れた、その喜びは計り知れないものと思います。
今回ご紹介したように、問題が大きくなってしまうのが、特に片親で親子ローンを利用した場合となります。
誰にも相談できず、返済に行き詰まってしまうこともあるからです。
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親子ローンの注意点
親子ローンについては、以下2点には注意してください。
〈親子ローンの注意点〉
- 親子で共に要収入
- 一方が抜けることは不可能
1.親子で共に要収入
住宅ローンは返済可能な収入が続けば、問題は起きません。
親子ローンは片方の収入が欠けてしまうと、立ち行かなくなる危険性もあります。
現時点で返済が厳しいようであれば、早めに住み替える等の対策も必要になります。
片方は、きちんと返済していても、もう片方の滞納が続けば、金融機関も見過ごす訳にはいきません。
親子ローンは、あくまでも「2人で返済して、成立する住宅ローン」なので、一方の収入が断たれた時こそ、親子なのできちんと向き合い、対応を協議しなければなりません。
一方が払えなくなった際の対処は事前に決めておく
2.一方が抜けることは不可能
親子ローンは親と子の二人三脚で組んだ、住宅ローンです。
子が家を出るため、また、子が別に住宅ローンで家を買う場合など、親子ローンを解消したいと望んでも、親子ローンを完済しない限り、解消はできません。
解消するなら完済すること
親子ローンを2人で払えないときの対処法
2人で協力しても、どうしても払えなければ、以下の対応が考えられます。
- 住宅ローンの借換え
- リスケジュール
- 売却(任意売却も含む)
1.住宅ローンの借換え
現在の金利や残債によっては、片方が単独で住宅ローンを借換えます。
当然審査もありますので、簡単ではありませんが、現在と比較して金利差が大きければ有効な対策となる場合もあります。
滞納が始まってからでは、難しいので必ず返済が継続中の段階で早めに検討してください。
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2.リスケジュール
どのくらいの金額ならば返済できるのか? 考えなければなりません。
片方が返済に行き詰まったとしても、全く返済できない訳ではありません。
月々の返済額が減れば、余力がある場合、早急に金融機関に相談し、リスケジュールで対応できることもあります。
ただし、無理なリスケジュールで対応しても、再び住宅ローンを滞納してしまうこともあり、きちんとした返済の計画を以てリスケジュールに臨む必要があります。
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3.売却(任意売却も含む)
上記の1「住宅ローンの借換え」や2「リスケジュール」が難しければ、例え親子ローンの片方でも、現実には住宅ローンが払えないことには変わりません。
従って、その家に住み続けるのは困難であるのは明白です。
売却は避けられないでしょう。
また、売却しても売値が低くなり、住宅ローンが完済できない場合は「任意売却」という方法で対処することになります。
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親子といっても、本当の親子や義理の親子の場合もあります。
今回の相談者は、その義理の親子の「子」からの相談となります。
義理の親子でも、母親の再婚相手と親子ローンを組んでいるレアケースです。
まだ、年齢も若く20代中盤、親子ローンも3年前に組んだとのことでした。
何やら親子ローンの負担割合についても、相当不満があるようです。
状況を以下に整理します。
〈親子ローンの概要〉
- 一戸建て3,000万円(100%ローン)
- 共有持分の割合:親1/2・子1/2
- ローン負担割合:親3・子7
- 借入金額:親900万円・子2,100万円
相談者曰く、まだ若かったため訳も分からず義理の父に言われるがままサインし、住宅ローンを3年間払ってきたそうです。
そして、相談者は更に「重大な事実を告げられていなかったこと」を後から知りました。
それは、相談者の「子」は、あくまでも義理の父が自宅を購入するのに協力したとの認識で、ゆくゆくはご自身も家庭を持ち、自宅を購入したいとの希望がありました。
しかし、親子ローンを利用しているため、完済しない限り新たな住宅ローンは利用できないことが分かったのでした。
「親子ローンで大失敗」したと感じた瞬間だったそうです。
親子ローンの利用中は他の住宅ローンを借りるのは困難
また、現在は親子ローンで購入した自宅に同居していますが、光熱費やインターネットの通信費など全てご自身(子)が払っているとのことです。
そのような状況から業を煮やした相談者は、「親に対して売却を打診したのですが・・・」全く聞く耳を持たないとのことでした。
事実上の売却拒否
共有物分割請求
まぁ、親にしてみればローンの負担割合も少なく(持分は1/2)、光熱費などの支払いも無いため、大変居心地は良いに決まっています。
おいそれと、その状態を手放さないことは明らかでした。
それでは、この状態を解消する方法は、あるのでしょうか?
具体的な対策はあるか?
実はこのようなケースにおいて、法的な対処法があります。
それは『共有物分割請求』といい、裁判所で判断してもらう方法です。
言ってしまえば裁判沙汰にするので、裁判所が以下3つの中から決定します。
〈共有物分割請求〉
- 価格賠償
共有者の一方が金銭を支払い、共有分を買取る - 現物分割
実際に分割してしまう - 換価分割
競売で売却し、共有者で売却代金を分ける
現実には、1の価格賠償も共有分を買取るほどの資力はありません。
2の現物分割は一戸建てのため、建物も切り分けなければならず、こちらも難しいとなります。
では、残された3の換価分割がついても、新築での購入のため現在の価値はオーバーローンの可能性が高いので、具体的な説明は割愛しますが、ほぼ無理といっても差し支えないでしょう。
今回のケースで『共有物分割請求』で解決するのは、オーバーローンがネックとなり難しいのが現実です。
頼みの綱である法的な解決が難しいとなったら、どうすればいいのでしょうか?
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少々荒っぽい方法となりますが、「住宅ローンの返済ストップ」です。
最終手段は返済ストップ!
相談者の「子」としても、かなりの痛みを伴う方法ですが、親が全く取り合わないのであれば仕方ありません。
冒頭でも触れましたが「親」も実際は「子」のローンに対して連帯保証人又は連帯債務者となっています。
「子」が住宅ローンの返済をしなければ、金融機関は「親」に対して請求します。
「親」は「子」の分を含めて返済するのは到底無理なため、やがて返済が滞ってしまうのは目に見えております。
そこまですれば、「親」も重い腰を上げ売却に協力するしかありません。
また、それでも「親」が売却に応じなければ、あとは金融機関が競売で処分するのを待つことになります。
この「住宅ローンの返済ストップ」は、もしかしたら自宅が競売になる可能性も覚悟のうえで決断する必要があります。
「子」である相談者へは痛みを伴う方法ですが、丁寧にご説明させていただきました。
住宅ローンの返済ストップは相当な覚悟が必要
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住宅ローンの返済ストップで生じる不都合は?
「住宅ローンの返済ストップ」は痛みを伴う方法と上で書きましたが、具体的にはどの様な不都合が生じるのでしょうか?
住宅ローンの返済を止めてしまうため、金融機関からの信用を失います。
これは、通称ブラックリスト(実際は存在しません)と呼ばれる信用情報機関に登録され、一定期間は金融機関からの借入ができなくなります。
一定期間新たな借入れが不可
更に気になるのは、競売まで進んでしまった場合、もしくは「親」が売却に応じてもオーバーローンのため残債が生じる場合もあります。
残債が生じてしまった場合、相談者である「子」に限った話ですが、早々に自己破産することをお勧めしました。
その理由は、まだ年齢も若いため信用情報機関に登録されても、期間経過後は住宅ローンの利用も可能となります。
もともと、相談者である「子」は、ご自身も家庭を持ち自宅を購入するという目的があり、親子ローンを解消する方法を探していました。
その目的を果たすためには、残債に対しても早期に処理してしまうのが得策だからです。
残債は早く処理して再スタートに備える!
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根本は無理な借入れがトラブルのもと
不動産を共有すると思わぬところで、意見が対立してしまうことがあります。
ましてや、共有者同士でローンなどの借入があると簡単に解消とはいきません。
ご紹介したケースは、「親」だけの信用力が足りないため、親子ローンのような借入を行った結果、招いたトラブルです。
いわば「親」が無理をして「子」を巻き込んで、自宅を購入しています。
そして、「子」が独立する際に隠してきた問題が発覚しました。
独立したくても独立できない
連帯保証人とのトラブルのように、信用力が足りないケースで妻が安易に引受け、離婚などでトラブルに発展してしまう構図と同様です。
住宅ローンが単独で利用できない場合は諦め、ご自身の身の丈に合った借入を検討するのがトラブルを未然に防ぐ手段となります。
無理な借入は些細なことで対応にも苦慮する
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認知症の発覚で預金を動かせず返済不能
最後に紹介するのは、厳密には親子ローンではありませんが、現代事情を象徴する親子で協力したローンのトラブル事例となります。
当事務所へは、かなり切羽詰まった状態で相談がありました。
〈相談内容〉
相談者は、その家に住むお嬢様で母と弟の3人で暮らしているのだが、母が認知症になり住宅ローンの返済ができなくなったとのこと。
- 自宅の名義:母と弟の共有名義
- 住宅ローン:フラット35、母と弟の収入合算、弟は連帯債務者
〈発生している問題〉
- 弟はリストラされ、無収入
- 母は認知症で口座から預金の引出し不可となる(預金はある)
- 住宅ローンの延滞期間5か月
もちろん、相談者の希望は売らずに住み続けることです。
親(主債務者)が住宅ローンを借りる際に子(連帯債務者)が収入合算をして住宅金融支援機構から借りたケースです。
その後、親が高齢となり同時に問題が発生した事例で、今後も増え続ける相談内容ではないかと思います。
(※ 親子ローンとしておりますが、住宅金融支援機構での正式名称ではありません。)
もう、次の返済日に間に合わないと期限の利益の喪失となり、一括での返済を迫られる一歩手前で間違いないでしょう。
つまり、もう少しで任意売却で手放すか、競売で手放すかの選択を迫られる状況です。
実際、母親の口座には滞納分を含めても返済可能なだけの預金もあるのだが、金融機関が口座を止めてしまい一切手を付けられない状態になっています。
認知症が発覚すると銀行は口座からの引出しをストップ!
残された対処法は返済開始
ひとつ明るい兆しがあります。
相談者も1か月前まで体調を崩して入院していましたが、現在は働いて収入もあります。
また、リストラされた弟も同様に1か月前から再就職、収入が得られるようになり、2人で協力すれば返済が続けられるとのことでした。
やはり、自宅を残して住み続けるには、住宅ローンの返済を継続する以外方法はありません。
そのため、滞納5か月なので、次の返済ができれば何とか間に合うので、後は月々の返済にプラスして滞納分を穴埋めするようアドバイスしました。
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順調に返済が継続できれば一件落着となるのですが、ことはそう簡単ではありませんでした。
母の預金に早々には頼れない可能性!
成年後見制度の落とし穴
実は大きな問題が発生していました。
それは、母親の認知症が発覚してから預金が引出せないと知り、家庭裁判所に後見開始の申立てを行っていることです。
姉・弟の2人は、後見人が付けば母親の預金から滞納分も含めて自分たちの生活費も穴埋めしようと考えていました。
しかし、家族が後見人として認められず、職業後見人となった場合、母親の持分及び債務に応じた滞納分の返済は可能かもしれません。
そうなると、姉・弟の生活苦を母親の預金から工面することは、まず不可能と思われます。
認知症の母の必要分しか持出せない可能性
なぜ職業後見人の可能性があるのか?
家族ではなく「職業後見人となるのでは?」と考えるのは理由があります。
母親の認知症が発覚後、一時的に施設に入所したのですが、その後、姉・弟の知らぬ間に母親は別の施設に移りました。
ところが「実の母親がどこの施設に入所しているのか教えてくれない」という事態に発展しています。
役所に行っても「どこへ移動したのか教えてくれません」とのことです。
これは、想像の範囲でしかありませんが、入所施設側から見て、家族から母親が虐待を受けていたと疑われてしまった場合の対応ではないかと思います。
日本も高齢化社会が鮮明になり、今後この様な相談事例は当たり前のようになると思います。
成年後見制度は決して家族にとっては不都合を強いられる制度と感じる方も多いようなので、判断能力のあるうちに事前準備が必要でしょう。
成年後見制度は万全とは程遠い
親子ローンのトラブル回避は預金口座の対策も
銀行などの預金口座は、認知症が発覚した場合でも以前から自動引落の設定があれば、その分についてはストップを掛けない金融機関もあります。
親子リレーや親子ローン等の返済を含め、認知症で本人の判断能力が低下し預金の引出しが制限される場合に慌てないためには?
住宅ローンの返済口座を年金の受取口座を同じにしておく等の対応で急な入院や入所に備えることもできます。
また、相談事例のようなケースでは母親が施設へ入所中に自宅が競売に掛けられ、戻る家を失うリスクもあります。
そのため、やむを得ない事情であれば、認知症の事実は銀行には告げずキャッシュカードを利用して預金を引出す等、事前に家族で取決めしておくことも有効な対策になります。
いい方法とは言えませんが、本人のために使うのであり、ある意味仕方ないことでしょう。
ただし、定期預金の解約等の手続きは本人しかできませんので注意が必要です。
預金口座の扱いについて事前に話し合う
親子ローン借り入れ後の相談は親子ローン解消についてが増加中
当事務所においても、親子ローンの相談は「親子ローンの解消」についてが、増えております。
共通するのは、親子で同居するために購入した自宅であるものの、様々な事情により「子が家を出るケース」となります。
原因となるのは、やはり結婚が引き金となり「親子ローンの解消を希望する」ことになります。
結婚を機に親子ローンを解消したい!
筆者が問題に感じるのは、20代の未婚の子が親子ローンの解消を望むケースです。
親子ローンの借入時に係る不動産業者や金融機関は、親子ローンの解消について説明がなされているのかは、疑問がのこります。
20代の女性が結婚の話が持ち上がり、夫婦の収入合算(妻が連帯保証人になる)で家の購入を検討したものの、親子ローンの影響で連帯保証人も引受けることもできずに相談されるケースもあります。
おそらく、この様な影響があるならば、「そもそも親子ローンの利用は控えたのでは?」と考えられるケースです。
親子ローンの解消については説明不足
親子ローンの滞納や返済に困ったら早急に相談
既に親子ローンの滞納が始まっている方、この先の返済が厳しいと感じている方は問題が大きくなる前に相談してください。
親子ローンの場合、親と子で各自不動産の持分があるため、何か行動を起こす場合も親子同意のもとで進める必要があります。
当然、親子の意見がまとまらないこともあるでしょう、その様なケースこそ専門知識を有する者への相談が功を奏します。
何よりも心掛けて欲しいのは、手遅れになる前に早めに相談することです。










