離婚した元夫の家を買いたいシングルマザーの相談

シングルマザーの相談・離婚した元夫の家を買いたい!

 任意売却に関連して、離婚後の元夫婦からの相談は特に多いと感じます。

その中でも連帯保証人に関しては突出しておりますが、異なる事案もあります。

それは『離婚した元夫名義の家をシングルマザーが住宅ローンで買えますか?』という相談も少なくありません。

そこで今回の記事は、現役のFP&不動産コンサルの有資格者が「シングルマザーが住宅ローンで家を買うにはどうすればいいのか?

購入を希望するのが離婚した元夫名義の家だったケースなど、ちょっと訳ありな「シングルマザーの住宅ローン利用法」を解説します。

これから家を買いたいシングルマザーの方、離婚を考えている女性も参考にしてください。

目次

シングルマザーが住宅ローンを利用できない理由はないが・・・

 相談者と話をしていると、シングルマザーや独身女性が住宅ローンを利用することは、かなり難しいという固定観念をお持ちの方が多いと感じます。

このご時世「離婚した」「離婚経験あり」や「バツ1」と聞いても誰も驚きません。

また、独身で家を購入する男性も女性も、珍しくもありません。

シングルマザーも住宅ローン対象者として金融機関は貸付しております。

もちろん、離婚経験の有無に関係なく、独身女性も区別なく住宅ローンの対象者となっております。

ただし、表面上は分け隔て無いと感じますが、現実に住宅ローンの審査となると厳しいものとなります。

住宅ローンに性別や婚姻歴など無関係だが・・・

金融機関には融資条件がある

 どの金融機関も同じですが、必ず住宅ローンを申込可能な方として「融資対象者としての条件」があります。

要するに融資条件に該当していれば、基本的には借入可能となります。

また、信用金庫や規模の小さい地方銀行などは、多くの場合、関連会社に属さない独立した専門の保証会社を利用します。

別々の金融機関に申込をしても、利用する保証会社が同じであれば、基本的に一方が不可なら、もう一方も不可となります。

複数の金融機関に申込むならば、保証会社が異なるかどうかの確認も必要です。

〈保証会社が同じならば、審査結果もほぼ同じ〉

  • A信用金庫 △△保証会社
  • B信用金庫 〇✕保証会社
  • C 銀 行 △△保証会社

A信用金庫がダメなら同じ保証会社を利用するC銀行もダメとなります。

1つの金融機関で複数の保証会社の中から選択できる場合もあります。  

しかし、融資条件には「独身女性は不可」や「シングルマザーは不可」とはなっておりません。

そのため、融資対象者とはなっておりますが、現実には厳しいと感じてしまうことが多い印象です。

ご自身は融資対象者?

元夫名義の家をシングルマザーが住宅ローンで買う方法

 元夫名義の家を元妻が購入したいとなると、基本的には夫婦が離婚して別々に暮らしています。

大抵は元夫が家を出ていき、住宅ローンは返済を継続中。

そして、元妻と子がそのまま居住中というパターンとなります。

相談者も上記に該当し、以下の状況によって元妻が購入を希望しています。

〈相談者の状況〉

  • 元夫は住宅ローンの返済が苦しくなり、売却を希望(売主)
  • 元妻は生活環境を変えたくないため、購入を希望(買主)

 ※ 売主と買主が元夫婦という関係

売手と買手が元夫婦だからと見ると、何となく「ちょっと訳あり」に感じてしまいます。

しかし、実際は子供から見れば父親名義の家となりますが、元妻からすると第三者です。

従いまして、第三者の家を買うということに変わりません。

元妻から見れば元夫は第三者

元夫婦間の不動産売買でも戸籍上は第三者

 元夫名義の家を元妻が購入すると聞けば、複雑に感じます。

ところが、元夫と元妻は第三者です。

それでは、元夫をAさん・元妻をBさんとしましょう。

今現在、BさんはAさん所有の家に住んでいます。

そのAさんがBさんに「この家」買わない?

Bさんも欲しいから「買いたい!」

それだけの話しとなりますので、売買金額などの調整がつけば金融機関へ案件として持込可能です。

1つ付け加えるならば、どこの金融機関でも受付けるのかとなると、断る金融機関もあります。

そのため、お住まいのエリアで対象となる金融機関を見付けるのも必須要件となります。

整理すれば単純な話

身内間の不動産売買に住宅ローンは消極的となる

 金融機関の姿勢として、住宅ローンは身内間等の不動産売買には、あまり積極的ではありません。

その理由として、身内間の取引価格が適正なのか判断が難しく、また、債務の返済に利用されることもあるため警戒します。

住宅ローンは純粋に、家を購入するためのローンとされているからです。

その点を考える、相談者のケースは元夫は元身内でも離婚が成立していれば他人です。

そして、自分と子が住む家を買うために住宅ローンを借りるので、形式的には身内間売買に該当しません。

元夫婦は戸籍上も身内に該当しない

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相談者のシングルマザーは2つの問題をクリアにする

 当事務所に、単純な相談が舞込むことは、ほぼありません(笑)

相談者のシングルマザーは、深刻な問題も含めて対処しなければなりません。

上の〈相談者の状況〉に書いた通り「元夫は住宅ローンの返済が苦しくなり、売却を希望」としています。

元妻としても、喜んで購入したい訳ではありません。

このままでは「元夫が住宅ローンの返済ができなくなる」と心配して、出した答えです。

元妻も突然(元夫から住宅ローンの件を)伝えられたため、特に自宅を買取るための準備などもしていませんでした。

状況を更に精査していくと、どうしても以下2つの問題をクリアしなければなりません。

〈相談者の2つの問題〉

  1. 住宅ローンの残債
  2. 住宅ローンの融資対象者か?

1.住宅ローンの残債

 元夫婦間の不動産売買でも取引価格に関しては、適正でなければなりません。

売買価格に関しても、近隣の取引相場を参考にして決めるのが一般的です。

その際、売買価格と比較して、残債がオーバーローンとまではいかず同程度、若しくはそれ以下であれば、左程問題ではありません。

しかし、売買価格と比較して、明らかなオーバーローンであれば、かなり高いハードルを越えなければ、元夫婦間の売買は成立させるのは困難です。

※ オーバーローン(債務超過)とは売買価格より借金が多い状態

具体的にはオーバーローンの場合、売買価格との差額分は現金の準備が必要となります。

元夫の経済状況を考えると、難しいのはハッキリしています。

住宅ローンの残債額に合わせて、売買価格を高くすると金融機関から厳しくNOを突きつけられます。

また、残債が少ないから売買価格を低くすると、金融機関は勿論のこと、贈与とみなされ課税の対象となることもありますので、やはりNGとなります。

オーバーローンでは通常の売買でも悩ましい

2.住宅ローンの融資対象者か?

 元妻が住宅ローンを借りることができなければ、スタート地点にも立てません。

ここが一番のポイントになります。

そもそも元妻が購入資金を用意できれば、相談事例ともならず、元夫にお金を払い名義を変えれば終わる取引です。

従いまして、この元夫婦間の不動産売買は住宅ローンに全て掛かっていると言って差し支えないでしょう。

上の項で書きました「金融機関には融資条件がある」に該当していなければなりません。

融資条件に合致して申込可能なのか?

シングルマザーの住宅ローン

 それでは、融資条件にとりあえずは合致したとしましょう。

実際にシングルマザーが住宅ローンの相談窓口に行くと、どうでしょうか?

この様なケースで銀行の窓口できちんと状況を説明しても、いい顔はされません・・・

事実、当事務所へ相談される方の多くが、ご自身で相談し断られた後に連絡してくるからです。

シングルマザーで住宅ローンを借りることに対し、融資のハードルは相当厳しく感じることでしょう。

その他に、連帯保証人を求められ、シングルマザー単独では断られることもあります。

結論から申し上げますと、やはりシングルマザーが住宅ローンを借りるのは想像以上に大変です。

しかし、想像以上に大変でも、住宅ローンを貸してくれる金融機関が見つかれば、後は手続きを進めるだけで済んでしまいます。

最終的には金融機関次第

シングルマザーの住宅ローンが厳しい理由は男女格差

 シングルマザーの住宅ローンが厳しい理由は男女格差です。

更に具体的に書けば、それは「収入格差」でもあります。

男女平等としながらも、事実上男性と女性では収入に格差が生まれております。

そのため、金融機関も実際に男女で差別している訳ではありません。

率直に申し上げて、女性の収入が少ないことが原因です。

その結果、希望する金額が借りられないといった形で表れてしまいます。

希望金額を借りるまでの収入に満たない

収入があれば住宅ローンは問題ない

 当事務所では、住宅ローンが払えなくなってしまい、やむを得ず任意売却という方法で自宅を手放す方と多く接してきました。

この任意売却となった不動産を「シングルマザーの方が購入してくれるケース」に幾度となく遭遇してきました。

その経験からお伝えしますと、収入が男性と変わらず安定していれば、シングルマザーの方でも全く問題なく住宅ローンを利用しております。

また、その職業にも特徴があり、それは「看護師」さんでした。

ただ実際には看護師さんだから、住宅ローンが借りやすいのではありません

収入が男性と比較しても、決して引けを取らない、もしくはそれ以上の可能性もあります。

もちろん、看護師さんでも昼間のクリニックにお勤めでは到底無理で、夜勤も含めた過酷な勤務状況だから高収入を得ております。

その収入があるからこそ、シングルマザーでも住宅ローンの審査をパスするのです。

金融機関は提出された書類で、住宅ローンの審査をする以外ありません。

そして、何を重視するかとなれば、結局は「住宅ローンが返済可能な収入を安定的に得ているか?」が基準となってしまいます。

返済基準を満たす収入が必要

元夫婦間の売買は妻が連帯保証人のケースは要注意

 今回の相談者は該当しませんでしたが、離婚した元夫婦間の不動産売買で注意が必要なケースがあります。

それは、元夫名義の住宅ローン(家も元夫名義)でも元妻が連帯保証人となっている場合です。

何が問題なの?

元夫が遅滞なく住宅ローンを返済できていれば問題ありません。

しかし、滞納等が続くと連帯保証人にも請求は及びます。

そして事態が悪化した時点で元妻が住宅ローンを申込んでも、金融機関としては断る以外ありません。

このような状況が想定できるならば、早急に対処するべきでしょう。

連帯保証人ならば返済状況は定期的に確認

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元夫婦間の売買を成し遂げるには

 元夫婦間の売買でシングルマザーが買主となる場合、こればかりは、個別案件として対応していかなければなりません。

ここでハッキリとした答えは出せませんが、状況により貸してくれる金融機関もあります。

売主である元夫も、元妻に対して不動産を売却することに同意し、まずは協力してくれることが大前提です。

つまり、元妻だけが先走っても、肝心な元夫が非協力的であれば、まとまる話でもありません

そのため離婚した元妻・元夫が協力して成し遂げる最後の大仕事として望んでいただくことになります。

元ご夫婦の協力が大前提

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金融機関の評価を上げる

 元妻であるシングルマザーが住宅ローンを借りる場合、ご本人の属性や買う物件の評価も大きく関係します。

それ故に、個別の判断は非常に難しいのですが、金融機関から見て、元妻の融資対象者としての評価を上げるポイントもあります。

そのポイントを以下に記載します。

〈住宅ローンの評価ポイント〉

  1. 自己資金を用意
  2. 勤め先の確保

どれも、当たり前の様ですが、改めて説明します。

1.自己資金を用意

 不動産の売買には諸費用が掛かります。

最近の住宅ローンでは諸費用も含めて借りれる商品もありますが、貸す側から見れば当然リスクは高くなり、審査は厳しくなるのが理解できます。

住宅ローンは売買価格に対して全額(100%)貸付ける金融機関は多くあります。

その中で、あえて100%ではなく、90%や95%の貸付であれば、やはり金融機関の評価も良くなります

諸費用の他に頭金を用意することになり大変ですが、住宅ローンは借りやすくなります。

自己資金の準備は評価ポイント

2.勤め先の確保

 勤め先の確保としておりますが、仕事をしていなければ、住宅ローンは借りることはできません。

現在、派遣社員や契約社員でも住宅ローンの貸付は行われております。

しかし、契約社員から正社員へとステップアップ等があり勤続も1年以上過ぎれば、尚、金融機関の評価も上がり住宅ローンは借りやすくなります。

勤続年数は信頼の証

元夫婦間売買は数年単位で検討することも

 元夫婦間の不動産売買を希望される場合、元夫が返済苦に陥ってから売買を検討し始める方が多く、切羽詰まっており、十分な時間も無いケースがほとんどです。

相談者の中には離婚後の支払い等に関しても公正証書で作成されている方もおりますが、事情が変わり約束通りにはならないことも出てきます。

そのため、離婚時に元夫名義の不動産に住み続ける場合には、元妻が買取ることも見越して計画しておくのも十分なリスク回避となります。

離婚当初は元夫も返済には意欲もありますが、時が経てば、その思いも変わってしまったり、体調を崩したり等もあります。

その時に備えて準備しておくと、元夫から『住宅ローンが払えない!』との連絡があった際には、すぐ行動することができます。

元夫名義の家に長くは住まない!

離婚の清算ができるチャンス

 様々な事情で離婚しても財産分与には手を付けず、お互いの生活を優先させている元夫婦が多い背景には、財産は自宅のマンションや一戸建のみ。

そして、住宅ローンの残債もあり、オーバーローン(債務超過)で売却しても持出しが必要なので、止むを得ない対応なのでしょう。

表面上は財産でも、実際は負債でしかない状況です。

本来、離婚の場合は夫婦で負債の分与も必要ですが、住宅ローンともなれば分割するのは実務上不可能です。

元妻としては引っ越さなくて済むメリットに魅力を感じ、住み続けているのです。

この様な状況で離婚を成立させても、前提条件は元夫が住宅ローンを返済し続ければ成り立つことで。

ところが、元夫が住宅ローンを完済できる保証はありません

離婚のことは別にしても、やはりマイナスの財産(負債)である不動産に住み、住宅ローンは元夫が返済するリスクはきちんと認識する必要があります。

しかし、離婚に関しても損得勘定だけで済めば、理想的ですが、そういう訳にはいかない現実が多くあります。

元夫が『住宅ローンが払えない!』というピンチを離婚の清算をするチャンス見れば、また状況も変わって見えると思います。

元夫婦間の不動産売買で困ったら、まずは相談することをお勧めします。

離婚の清算は長引くと問題がより大きくなることも

シングルマザーの相談・離婚した元夫の家を買いたい!

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