公売とは?税金や国民健康保険料の滞納で差押え

 自宅などの不動産を所有し、固定資産税や国民健康保険料、あるいは、その他の税金を滞納している方は、経済状況を見れば相当数に上ることでしょう。

そして、すでに不動産を役所に差押えられている方は、このままで大丈夫なのか? 不安でたまらないと思います。

不動産が差押えられている場合、役所の担当者から『このまま滞納が続けば公売になります』と告げられることがあります。

本当に恐ろしい一言ですが、何よりも先に優先して払う(納付する)必要があり、後回しにすることは決して許されません。

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公売とは

 それでは、役所の担当者が口にする公売(こうばい)とは、何でしょうか?

 公売とは、滞納者が税金を納付しない場合、差し押さえた財産を入札等の方法により売却して金銭に換え、滞納国税に充てる手続のことです。

国税庁

 国税庁の説明なので、国税としておりますが都道府県や市町村の地方自治体、その他、小さな自治体が共同で組合を組織している場合、広域連合として機構を組織している場合も同様です。

つまり、動産であれ不動産であれ『税金等の滞納があれば財産を強制的に売却し、その代金を滞納分に充当します。』ということです。

公売は滞納処分の一環

 税金等の滞納が始まると、まずは督促を行い、その後、財産の差押え、財産を金銭に換える換価、滞納分に充当する配当この流れを滞納処分といいます。

国や地方自治体等の場合は公売ですが、それに対して民間の場合は、競売が強制的に回収する手段となります。

それでは、実際に動産は別として、公売により自宅など、所有者が実際に住んでいる不動産を公売で売られてしまうことがあるのか?

KSI官公庁オークションで公売不動産が掲載中

 当事務所では公売により、不動産を処分されてしまった相談者はおりませんが、簡単に調べる方法があります。

それは、2021年7月よりスタートした【KSI官公庁オークション】を見れば一目瞭然です。

 ※ Yahoo!官公庁オークションは2021年3月31日をもちましてサービスを終了しました。

実際に画面を見ていきましょう。

官公庁オークション

 画面上部左側に『不動産検索』241件(2021年10月23日時点)とあります。

この○○件が掲載されている公売不動産の件数となります。

ただし、全部が差押えされた公売不動産ではなく、公有地の売却も含まれております。

その下に自動車や他の公売中の様々な動産がカテゴリごとに分かれて件数表示されます。

更に詳しく見るためには、先ほどの『不動産検索』〇〇件 をクリックします。

官公庁オークション2

 表示が変わり、そのまま画面を下へスクロールさせます。

官公庁オークション3

 オークション種別のインターネット公売にチェックを入れます。

官公庁オークション4

 公有財産の売却は除外されて、インターネット公売の不動産だけが表示されます。

2021年10月23日時点では142件ありましたが、それぞれの不動産を個別に見てみると、かなりの数が取下げられていました。

インターネット公売が進行中に滞納分を納付、或は任意売却等で不動産を手放した可能性があります。

しかし、実際に インターネット公売中で所有者居住中の物件も存在しました。

出品行政機関の欄を見れば担当部署が 〇〇市税務課収納係、〇〇市債権回収特別対策室、 〇〇地方税管理回収機構、 〇〇地方税滞納整理機構等であり、差押えられた不動産であることは事情を知らない方が見ても見当はついてしまうでしょう。

参加していない自治体もありますので、公売不動産の実数はもっと多いと考えるのが普通でしょう。

見ていただいた通り、税金や国民健康保険料等の滞納により、例えそれが自宅であっても、公売は実施される可能性があり、自治体によってはKSI官公庁オークションに掲載されてしまいます。

公売は状況しだい

 自宅など不動産の所有者の多くは、住宅ローン等の返済を抱えており、その返済が厳しくなり、税金を滞納してしまう方が多いのも事実です。

そのため住宅ローン等の借入れは、不動産を担保にしているため、公売にしても、その売却代金は住宅ローン等が優先され、余剰があれば役所側にも配当が回ってきます。

裏を返せば、住宅ローン等の残りが多ければ、公売となっても役所への配当が¥0となるため、むやみやたらと公売にすることはありません。

しかし、住宅ローンは優先して返済し、税金等を滞納しているようなケースでは、不動産を差押えたままとし『住宅ローンの残高が減ってきた段階で公売にする』と役所の担当者が告げくてることもあります。

住宅ローンも払えなくなれば追い込まれる

 住宅ローンの残高も多いので、役所に差押えられても当面は大丈夫と安心はしていられません。

税金が納付できない状況は、経済的に苦しい状態であることは間違いないと思われます。

そのため、税金等はおろか住宅ローンの返済も厳しくなってきた場合、任意売却の障害となることは明らかです。

税金を後回しにして不動産の所有は不可能

 税金や国民健康保険料等の滞納を役所が見過ごすことはでません。

特に不動産は容易に特定できる財産のため、役所にとっては差押えしやすくもあり、また効果的でもあります。

自宅が役所に差押えられたとなれば、不安にならない人は少ないと思います。

その時点で、滞納分の精算が見通しが付かないようであれば、そのまま不動産を維持していくのも困難な状態です。

そろそろ、何かしらの判断をする時期が来ていると捉えるべきでしょう。

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。最近では特に自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談が数多く寄せられ、お金と不動産の専門家、FP宅建士として難易度の高い任意売却に精通し、不動産に関わるお金の悩みの解決に取組んでいます。

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