長年返済してきた住宅ローン、ようやく終わりが見えてきた頃、突然不幸がやってくることも。
病気やリストラ等、やむを得ない理由で返済を滞らせてしまい、途方に暮れてしまう方もいます。
担保価値が大幅に上回れば借換えはできるのか?
不動産を売れば余裕で返済は可能ですが、自宅や利用中の不動産となれば、事は簡単ではありません。
住宅ローンに限らず、他の不動産担保ローンも同じですが、いくら滞納中と言えども担保価値と比較し、借入額(残債)は残りわずかの場合、不動産を手放すのは抵抗があります。

例えば、自宅は1,000万円位で売れそう、住宅ローンの残債は200万円の場合、借換えで300万円借りれば、諸費用や遅延損害金も含めて何とかなりそうなら。
『滞納中だけど、他の金融機関に借換えできないか!? もし、できれば今後の返済の見通しが立つのに・・・ 』多くの方が望む答えです。
一括返済請求の原因は期限の利益の喪失
大抵の金融機関では、1~2回の滞納は、速やかに解消できれば、一括返済請求とまでは行かず、分割返済の継続を認めてくれます。
そのため、滞納中の借換えを検討されている方は1~2回の滞納ではなく、目安となる3回以上の滞納により、期限の利益を喪失したため、金融機関から一括返済請求されている段階と言えるでしょう。
現在の借入金を金融機関から一括返済を求められている場合、1点注意が必要です。
それは、もう既に金融事故として信用情報機関に登録されていることです。
信用情報の事故登録により新規借り入れは不可
期限の利益を喪失後の借換えは、信用情報に事故登録がされた後から、他の金融機関に借入れを申込むことになり、審査の段階で即不可となってしまいます。
信用情報に事故、いわば傷が付いた状態は、俗に言うブラックリストに登録されたことです。
ブラックリストの登録後に貸してくれる金融機関は皆無なのか? となると0とは言い切れません。
しかし、現在の低金利でのメリットを享受できるほどの金利では、まず無理でしょう。
仮に融資可能となっても、高金利を条件に借りることになります。
残債が少ないから可能な選択肢
金融機関から一括返済請求されてしまい、その目途が立たない場合、どうすればいいのか?
そのまま不動産を所有し続けるのは、ほぼ困難となります。
幸いなのは、残債よりは資産価値が上回っているため、不動産は手放すけれど、そのまま住み続ける、或はそのまま利用できる方法が、僅かながら残されております。
- 親子間・親族間売買
- リースバック
どちらも協力者がいて成立する話ですが、簡単ですが順番に説明します。
1.親子間・親族間売買
文字通り、親子や親族等の協力で、不動産を買取ってもらい、賃料を払って借受ける方法になります。
親子間・親族間売買注意するポイントは下記のとおり。
- 身内だから不動産の売買価格が大幅に低い等、特別扱いは税務上、後々問題となりますので、あくまでも適正な売買価格が求められます。
- 特に親子間売買の場合、住宅ローンの利用が難しいケースがありますので、利用できる金融機関が限られる。
- 親子間・親族間売買後に購入者が亡くなり、相続が発生した場合、身内間で争いが発生することも考えられますので、事前に購入者と考えておく必要があります。
2.リースバック
親子や親族等の協力者がいない場合、投資家に不動産を買取ってもらい、賃料を払って借受ける方法になります。
リースバック注意するポイントは下記の通り。
- 全くの第三者が不動産を購入し、そのまま賃貸で入居を続けます。購入者は投資目的のため、きちんとした利回りを求め、リスクは嫌いますので条件は厳しいものになります。
- 不動産の買戻しを希望する場合、いつまでに、いくらで購入するか事前に決めておく必要があります。
親子間・親族間売買やリースバックは、残債が担保価値を上回るオーバーローンの状態で成立させるのは非常に困難です。
そのため、残債が少なく不動産を売却すれば、完済が見込める状態ならば、親子間・親族間売買やリースバックが、成立する可能性は格段に上がります。
任意売却の専門業者へ相談し、早い段階で検討しましょう。