任意売却は2つの『バック』に注意!甘い言葉は完全にアウト

 任意売却について調べるにはインターネットが大変便利です。

そして任意売却の情報を集めている方は、これから任意売却をスタートさせる可能性も高いと思います。

少し調べるだけでも、任意売却に関連して2つの『バック』の文字が目に付き、大変気になることでしょう。

任意売却に関して多くの情報が出回っており、大変有用なものもあれば単なる『客寄せワード』となる言葉も溢れています。

任意売却が必要な方にとって聞こえの良い2つの『バック』について、FP&不動産コンサルの有資格者が注意喚起も含めて解説します。

目次

任意売却2つのバックとは何か?

 まず、2つの『バック』とは何か?

それは「リースバック」と「キャッシュバック」のことを指しています。

「リースバック」と「キャッシュバック」を合わせ任意売却の2大バックとしています。(こんなことを言っているのは当事務所だけですが・・・)

〈任意売却の2大バック〉

  1. リースバック
  2. キャッシュバック

この記事では「リースバック」と「キャッシュバック」の2大バックが『なぜ、任意売却に関わってくるのか?』を詳しく説明しますが、その前にリースバックとキャッシュバックについては簡単に見ておきましょう。

1.リースバック

 リースバックは英語でsale and leaseback、もともと自分の所有する物を第三者に売り、その第三者から売ったものを借りるような意味合いとなります。

必ず任意売却とセットで目に付く言葉です。

任意売却では主に、自宅を手放す方が引越しをしないで、そのまま賃貸として住み続けることを目的にアピールしています。

住宅ローンが払えなくなり、自宅を不動産投資家に売却、元の自宅を賃貸住宅として借りて住み続けることができます。

仕組みとしては、とても素晴らしいのですが世の中そんなに甘くはありません。

自宅の任意売却とリースバックの成立は、条件が厳しく該当者は限りなく少数です。

任意売却と関連し「リースバック」や「住み続ける」が出てきたら、かなりの確率で客寄せワードと認識するべきでしょう。

「リースバック」「住み続ける」は要注意ワード

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2.キャッシュバック

 キャッシュバックはcash-back、和製英語で何かの見返りに現金を受取ることです。

意味はそのままで、任意売却が成立したら現金を受取れます。

任意売却をして借金を返済するのに、反対にお金が受取れるとなれば、普通に考えても怪しいと感じると思います。

全くその通りで、悪く言えば不正な取引となります。

ただし、任意売却で金融機関が認める引越し費用などは、金融機関が回収せず手元に残してくれたお金であり、こちらに関しては不正な取引ではありませんのでご安心ください。

金融機関に黙って受取る金銭は怪しいと認識してください。

高額なキャッシュバックも要注意

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任意売却について調べる理由

 任意売却について詳しく知りたい方は、住宅ローンや他の不動産担保ローンの返済が負担になり、どうにかしたい、あるいは既に返済が滞っている可能性があります。

その他、住宅ローンの連帯保証人や身内などのため、自身の不動産を担保提供している物上保証人のケースもあります。

共通するのは、どの方も不動産に関連する、お金の悩みを抱えていることです。

しかも、任意売却について調べるとなれば、税金滞納による差押えや既に金融機関から競売を申立てられた後かもしれません。

任意売却を調べる理由は競売回避!?

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不動産とお金の悩みが都合よく解決するのか?

 リースバックは不動産を売っても、買手に家賃を払い住み続ける方法です。

住宅ローンが払えない方や物上保証人が不動産を任意売却しても引っ越さないで済むため、家賃は必要ですが大変ありがたいと感じてしまうでしょう。

キャッシュバックは任意売却後に高額な現金を渡してもらえることで、インターネット上での記載は少なくなっていますが、訪問業者やDMなどには、それとなく記されていることがあります。

「リースバック」と「キャッシュバック」どちらも住宅ローンを含む不動産担保ローンの返済に困っている方に対して、とても有難い仕組みであることは間違いありません。

しかしながら「弱り目にたたり目」という言葉があるように、「リースバック」や「キャッシュバック」を真に受け、任意売却で大切な時間を無駄にしてしまった方をたくさん見てきました。

弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)とは
弱ったときに、さらに災難にあうこと。不運が重なること。泣き面に蜂。

goo辞書「弱り目に祟り目」の意味より引用

任意売却で時間を失うことは、金融機関が競売の申立てを行うこと、あるいは既に競売まで進行していれば任意売却に失敗し、競売で落札されてしまうことを意味しております。

本来であれば、任意売却で競売回避となるところを真逆の結果を招いてしまいます。

都合のいい言葉こそ注意する

任意売却が必要な訳をもう一度考えてみる

 そもそも、なぜ任意売却をする必要があるのか?

それは、住宅ローンや他の不動産担保ローンが払えなくなる等、借りた目的は様々かもしれませんが、不動産を担保にした借金が返済できないことが原因です。

しかも、不動産を手放しても、借金が完済できずに残ってしまうことが明白で、その結果、任意売却に至る方がほとんどとなります。

住宅ローンが払えない状況を考えれば、経済的には緊急事態です。

「リースバック」と「キャッシュバック」にすがりたい気持ちも理解できますが、その緊急事態に何か有効な手を打たなければ自宅は競売で落札されます。

任意売却を検討される多くの方にとって「リースバック」と「キャッシュバック」は有効な対策にはならず、固執すれば確実に後悔することになります。

任意売却は競売回避が目的では!?

任意売却で「リースバック」や「キャッシュバック」を検討するなら

 任意売却はもちろん「リースバック」や「キャッシュバック」について、完全否定する訳ではありません。

しかしながら、任意売却と合わせて期待を込めるならば、「リースバック」が、どのような条件で成立するのか?

「キャッシュバック」は、なぜ受取ることができて、だれが払うのか?

少なくても仕組みについては詳細に把握する必要があります。

最終的に納得できる条件で任意売却が成立するのならば、判断するのは自分自身となります。

「リースバック」や「キャッシュバック」は仕組みを理解して検討しよう

付け込まれていることに気付かない人もいる

 任意売却が必要とされる方は、今までの生活をリセットし再スタートさせるため、決して経済的に楽な状態とは言えません。

つまり、経済的に厳しい状況で、都合のいい言葉や甘い言葉に惑わされないよう、注意して頂きたいのです。

疑いつつも言葉巧みに呼び出され相談先へ向かっても、条件が合わないので普通に任意売却を提案されるだけなど、相談する時点でワラをもつかみたい気持ちに付け込まれているのです。

その仕組みを理解し、任意売却についての正しい見る目を養ってほしいと、常々感じております。

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。最近では特に自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談が数多く寄せられ、お金と不動産の専門家、FP宅建士として難易度の高い任意売却に精通し、不動産に関わるお金の悩みの解決に取組んでいます。

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