土日祝日も受付中
安易なリースバックに注意!投資家が購入する理由
住宅ローンが払えなくなり、そのまま住み続ける方法はないのか!?
パソコンで検索すると『リースバック』という言葉をよく見かけると思います。
リースバックで引越し不要
そのまま住み続けられる!
よく見かけるけど、どういうことなのか?
リースバックの仕組みはシンプルです。
【リースバックの仕組み】
投資家へ自宅を売却
↓
投資家から元の自宅を借りる(賃貸)
あなたの自宅を一旦、投資家へ売却します。
そして売却した元の自宅を投資家から、そのまま賃貸で借してもらいます。
持家ではなくなりますが、引越しする必要もなく住み続けることができます。
投資家は賃料を受取り、あなたは環境も変わらず元の家で生活できます。
一見すると両者ともにWin-Winの関係に見えますが、住宅ローンが払えなくなった弱い立場の方にとって、リースバックは本当に良い取引となるのでしょうか!?
むしろ、なぜ投資家がリースバックしてくれるのか?
その理由をきちんと理解してから検討しましょう。
投資家は単なる協力者ではない
リースバックは投資家が助けてくれる訳ではない
住宅ローンが払えないので、自宅が人手に渡るのは仕方ないとしても、賃貸でもいいから、元の家に住み続けたいという希望者が多いのは事実です。
そのためリースバックが実現できる人は、ある意味幸せなのでしょう。
しかし、物事には良い面・悪い面もしっかり理解して、判断しなければなりません。
リースバックに協力してくれる投資家が見つかったから、その話にすぐ飛びついてしまうと後悔する可能性が本当にでてきます。
それでは、なぜ投資家は多額のお金を用意してまで、あなたの自宅を購入し、ご親切にも賃貸で貸してくれるのか?
投資家は、あなたの身内や知人等でない限り、必ず投資に対するリターン(利益)を求めます。
ここに例外はありません。
つまり利益が出なければ投資せず、投資するならば魅力的な投資先と判断されるからにほかなりません。
リースバックは魅力的な投資先
不動産の魅力的な投資先とは、どんな物件か?
一言で表すならば、安い物件です。
もう少し詳しく言えば、近隣で同様の物件相場と比較し、明らかに安い物件のことです。
赤の他人の投資家がリースバックに協力するのは、近隣相場と比較して、安い不動産を手に入れるからです。
実際は協力ではなく、投資のリターンを大きく見込んでいるのに過ぎません。
従いまして、投資家へリースバックのために売却するには、投資家が魅力的と感じる価格で売却するときだけ成立することになります。
早い話し、『安く売るなら買うよ!』ただこれだけです。
この事実に納得の上でリースバックを検討しなければ、本当の意味でのWin-Winの関係にはなりません。
売値以上にリースバックのメリットを感じれば良!
リースバックの成立要件
リースバックするならば、魅力的な投資先と判断されなければ、投資家は購入してくれません。
それには、相場より安く不動産を売却しなければならないと書きました。
売値は安くても、それ以上にリースバックのメリットを感じているため、何としても成立させたいと考えても、実は大きな壁に直面します。
もともとは住宅ローンが払えないことが要因となり、リースバックを希望する方は住宅ローンの残高がリースバック成立の可否に大きく影響します。
【リースバックの成立要件】
住宅ローン残高 < 売却価格
リースバックで投資家に購入してもらうには、上記で示した通り住宅ローンの残高を上回る価格でなければ成し遂げるのは、ほぼ困難なのが実情です。
要するにリースバックで投資家に売却するには、住宅ローンは完済しなければなりません。
その理由は、住宅ローンを貸している金融機関がリースバックには消極的だからです。
住宅ローンが払えないときの売却手段
住宅ローンが払えなくなった方が、自ら売却を希望する場合、2つのパータンに分かれます。
また、自ら売却を希望しなければ、その先は競売になることも一応付け加えておきます。
【自宅を売却する場合】
住宅ローンが完済できる → リースバック可
住宅ローンが完済できない → 任意売却
※ 任意売却でリースバックは、ほぼ不可
上記で『任意売却』という言葉が出てきました。
住宅ローンが完済できないにも関わらず、売却する場合は任意売却となります。
住宅ローンが払えなくなり、なおかつ売却しても住宅ローンの残高よりも低い価格でしか売れる見込みが無い場合、任意売却という方法で金融機関の協力のもと売却を進めていく必要があります。
任意売却となれば住宅ローンを完済できないため、金融機関がアレコレ口を挟むのも致し方ありません。
その代わり、住宅ローンの残高以下で自宅を売却することを認めてくれます。
少し前置きが長くなりましたが、住宅ローンが払えずリースバックを希望する際、ここが大きな壁となってしまいます。
住宅ローンが払えなくて任意売却するのに、リースバックで相場より安く売却することを金融機関が同意するのか?
金融機関にしてみると、不良債権となった住宅ローンを回収するには、少しでも高値で売却し、より多く回収しなければなりません。
普通に考えれば、相場より安く売却することを認める訳にはいきません。
金融機関は安く売るより高く売りたい
金融機関がリースバックを認める条件
金融機関がリースバックを認める条件について、あらためて説明する必要はないかもしれません。
いたって簡単なことで、貸した住宅ローンをきっちり返済することです。
利息も含め、すべて返済してくれるのならば、所有者が誰に安く売ろうが関係ありません。
むしろ、価格に口を出す理由もないからです。
その反面、住宅ローンの残高以下で売却することは、金融機関にとって損害を被ったうえでの売却となるため、競売で強制的に回収するよりはプラスであることが必要となります。
そのことを踏まえると、リースバックで投資家に売るよりは、住宅として利用する方へ売却するのが価格面では圧倒的に有利になります。
購入価格はどちらが上?
リースバックの投資家 < 自宅利用の方
任意売却となる場合、同じ売るでも購入者のニーズによって価格も異なってくるため、金融機関としてはより高く売れる相手を要求するのは当然と言えます。
ただし、任意売却でリースバックしてくれる投資家へ売る場合、住宅ローンの残高以下であっても、その差額分を穴埋めできる現金が用意できれば、話は変わってきます。
しかし、住宅ローンが払えなくなる方が、その差額分を用意するのは現実問題として難しいことでしょう。
そのため、リースバックの実現には任意売却後に残債が生じてしまうケースでは、ほぼ不可能なこととなります。
リースバックのメリットを考える
幸いにしてリースバックが可能な場合でも、必ず通常の売却と価格の比較を行い、そのうえでリースバックを選択するべきか、冷静に考える必要があります。
住宅ローンが払えなくなる状況は人生における非常事態でもあります。
そのため、自宅を手放すことによるデメリットばかりに目が行きがちとなりますが、これは主に引越しにおけるデメリットであり、転勤でも同じこと考えられます。
【引越しのデメリット】
こどもの転校
環境の変化
気になるのは、やはりこどもの転校は親であれば避けたいものですが、学区については柔軟な対応をしている地方自治体も多くなっています。
そのため、どの程度の距離や範囲であれば通学を認めてもらえるのかの確認を行い、可能なエリアで賃貸住宅を探すことにより、こどもの転校は回避できる可能性もあります。
また、越した先の環境が、どうしても合わないこともありますが、賃貸と持家で比較すれば格段に引越しのハードルは低いことは誰の目にも確かでしょう。
本当に我慢ならなければ、少々大変ではありますが再度引越しを検討しましょう。
1つ挙げるならば任意売却時のデメリットとして、ご近所の体裁を気にされる方もいます。
この点については例えリースバックでも、投資家に購入してもらうために多少無理な家賃設定で住み続けている方がほとんどです。
そのこと自体が後々、更に経済的負担となってきますので、できる限り新しい場所で無理のない再スタートするのが望ましいといえます。
そして何よりも、愛着のある自宅が相場で売却できれば、リースバックよりも手元に多く現金を残せる可能性もあります。
リースバックにこだわり過ぎると、あなたの大切な不動産を安く手放してしまう可能性もありますので、何を優先させるべきか、よく考えることが大切です。
【売却価格の比較をしてみよう】
リースバックの売却価格
自宅利用の方への売却価格
リースバックを否定する訳ではありませんが、一歩引いてみると住宅ローンの返済ができなくなった方にとって、それ程のメリットを享受できる仕組みではないように感じてなりません。
どうしていいのか迷っているならば、当事務所までご相談ください。