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任意売却物件の買手が気にする3つのこと
当事務所は、主に任意売却する側の視点から情報発信を行っていますが、任意売却も買手(買主)がいるから成立する話です。
今回の記事は、任意売却物件を購入される買手は「どの様なことを心配しているのか!?」
買手側も任意売却物件の購入となれば、色々な疑問や不安も生じます。
そこで「任意売却物件の買手が気にする3つのこと」について、任意売却に携わるFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。
任意売却中の方、これから任意売却を検討される方は、任意売却で速やかに取引が成立するには、買手の立場も理解してあげることが重要です。
任意売却で後悔しないためにも、是非参考にしてください。
任意売却物件の購入で買手が心配すること
任意売却物件を購入される方からは、主に以下3つの質問を受けることがあります。
〈任意売却物件の買手3つの疑問〉
以下の条件が前提
- 任意売却物件:マンションや一戸建などの住宅
- 買手の目的:居住用として購入
順番に説明します。
1.そもそも任意売却物件は購入しても大丈夫?
「任意売却物件です」と聞けば、誰でも考えることだと思います。
本当に購入してしまって大丈夫なのか・・・
任意売却で売れなければ、その先は競売で処分されてしまうのは、ほぼ間違いないでしょう。
どうしてもイメージが先行し「任意売却は競売と似たようなもの!?」として、競売物件と比較されてしまう側面もあります。
しかし、競売物件とは比べ物にならない位、任意売却物件は一般の方にとって購入しやすい不動産です。
なぜ一般の方が購入しやすいのか?
理由について、以下の点を説明していきます。
- ① 任意売却は内見可能
- ② 購入後に何かあったら・・・
- ③ 古い物件は契約不適合免責も多い
- ④ 築数年が新しい場合は?
① 任意売却は内見可能
競売物件との大きな違いは、賃貸中や余程の事情がない限り、実際に物件の中を見ることができます。
何か疑問があれば、不動産業者を通じて質問し、細かな点も確認できることです。
競売物件は所有者に「訊きたいこと・知りたいこと」があっても、情報を得るのは不可能な状況です。
内見が可能なため任意売却物件を購入後、内装のリフォームを検討している方もいます。
そのため工事業者にも見てもらい、リフォーム費用の見積もりを依頼することも可能です。
中古である以上、内見しないと分からないことは沢山あります。
一般の方が内見しないで不動産を購入するなど、リスクを考えたら難しいと判断されます。
競売物件の場合は、数枚の写真のみで室内を確認します。
そのため、リフォーム費用の見積もりなど不可能です。
現地で外観を見て、示された資料だけで判断しなければなりません。
中古車の購入でも、展示してあるのに中は見られませんとなれば、購入をためらう人もいるでしょう。
任意売却は見れる・聞ける!
② 購入後に何かあったら・・・
任意売却物件を購入後に問題が発生した場合、誰でも心配になるのは当然です。
しかし、これは任意売却物件に限らず、通常の不動産売買にも当てはまる問題です。
売手と買手が個人間の通常の不動産売買では、「契約不適合責任」という何か欠陥が見つかった際の取決めがあります。
欠陥があった以上、売手(売主)が何かしらの対処(修理や金銭の支払いなど)をして責任を果たします。
その売手(売主)が責任を持つ期間を不動産の引渡後1か月~3か月程度とする契約条件がほとんどです。
〈契約不適合責任の期間〉
- 任意売却:無
- 通常の売買:1か月~3か月程度
従いまして、不動産の取引終了後、売手の契約不適合責任を負う期間1か月~3か月を経過してしまえば、何か欠陥が発見されても売主が責任を持つことはありません。
任意売却物件は1か月~3か月程度となる「売手の契約不適合責任は免責」となります。
何か問題が発生しても、買手側での対処となる
ただし、売手が欠陥があるのに伝えず黙っていた場合、契約不適合責任は免責されません。
つまり、何か後々問題が発生する場合、それは任意売却物件の売主自体も元々知らなかったこととなります。
中古物件である以上、何かしら経年劣化による不具合などは生じる可能性はあります。
この問題は、任意売却物件に限ったことではありません。
中古であれば経年劣化は必ずある
③ 古い物件は契約不適合免責も多い
↑前項では、「通常の不動産売買の場合、売手の契約不適合責任を負う期間1か月~3か月程度」と書きました。
しかしながら、一戸建でもマンションでも築年数が古い場合、売手が契約不適合責任を負わないことを不動産取引の条件にしていることは珍しくありません。
建物の築年数が経過していれば、何か欠陥が発生する可能性は高くなります。
売手にとっては、契約不適合責任を負わないことを条件に売却したくなるのは、むしろ自然な流れです。
築年数が古ければ、売主の契約不適合責任を負わないことも多いので、任意売却物件でなくても同じ状況と言って差し支えないでしょう。
築古物件の契約不適合責任免責はごく普通の取引
④ 築数年が新しい場合は?
現在、建物を新築した際は建築業者が、新築マンションや新築一戸建を購入した際は売主の事業者が、10年保証の義務があります。
「構造耐力上主要な部分(基礎、柱、外壁、屋根など)」および「雨水の浸入を防止する部分」に関して、10年間保証しなければなりません。
〈10年保証が付くのは、どんな場合?〉
- 建物の新築時:ハウスメーカーなどの建築業者が保証
- 新築マンションや新築一戸建の購入時:売主業者が保証
あくまでも、建築の依頼主、新築の買主に対して事業者が保証するものです。
そのため、10年保証の期間内に所有者が売却する場合、事業者は次の買手に対して保証する義務はありません。
事業者によっては、10年保証を継承できることも!
この10年保証を新たな買手に引き継ぐことができれば、買手にとっては安心できる要素です。
その際は、費用や手続きが必要となる場合があります。
この点については、費用面を買主が負担するなど協力できれば、取引はスムーズに進むことでしょう。
その他、ハウスメーカー等は独自に20年間~30年間の長期保証を設けている場合もあります。
こちらも引継ぎ要件も様々なので、任意売却物件の紹介を受けた不動産業者に確認すれば分かることです。
また、10年保証や独自の保証を引継ぎ不可の事業主もおりますので、要確認となります。
10年保証が継承できることも
2.住宅ローンは利用できる?
住宅ローンを提供する各金融機関で「任意売却物件は融資不可」とするのを筆者は聞いたことがありません。
任意売却物件でも住宅ローンは利用できます。
一応付け加えるならば、すべての金融機関に確認している訳ではありませんが・・・
むしろ問題になるのは、住宅ローンを利用する方の収入や、お仕事の属性と呼ばれる部分が大きく関わってきます。
任意売却物件は、売手が「税金等の滞納で差押え」られている、「売買金額を上回る抵当権の設定」がある等、一見するとマイナスの要素が目に付きます。
〈任意売却物件のマイナス要素〉
- 税金等の滞納で差押え
差押えは解除 - 売買金額を上回る抵当権の設定
抵当権は抹消
マイナス要素は解消後に引渡
しかし、任意売却の取引を進める場合、「差押えは解除」、「抵当権も無い状態」にして買手に引渡すため、問題なく住宅ローンは利用できます。
もっとも、銀行が住宅ローンを融資する時点で、問題のある不動産取引ではないと理解して差し支えありません。
もし、銀行等の住宅ローンが利用できない場合、任意売却に関係無く、その不動産が住宅ローンの融資対象に合致しない可能性が高いでしょう。
任意売却物件も住宅ローンは利用可!
競売申立後の不動産でも住宅ローンは利用できる
同じ任意売却物件でも、実は見た目では判断できない状況があります。
〈見た目では分からない任意売却物件の違い〉
- 競売申立前
- 競売申立後
同じ任意売却物件として扱われても、かなりの違いがあります。
「競売申立前」と「競売申立後」前者は文字通り、まだ競売まで進行していません。
いうなれば、今後の任意売却の状況により競売のリスクはあります。
しかし、後者となると状況はより一層深刻です。
もう既に競売が開始されています。
そのため、不動産の登記事項には「裁判所による差押え」も記録されています。
こちらについても、すべての金融機関を確認した訳ではありませんが、不動産が競売の申立後でも住宅ローンは利用できます。
何も知らない方にとって、競売が開始されている不動産が住宅ローンを利用できると聞いても、にわかには信じられないかもしれません。
しかし、現実には競売申立後の不動産でも、住宅ローンは利用可能です。
以下の記事の任意売却は、流通大手のネット銀行が住宅ローンを融資しました。
競売申立後でも買手の住宅ローンは利用できる!
3.お金を借りる契約をして買えなくなったら?
この質問には前置きがあり、任意売却物件を購入する際、以下のようなケースが挙げられます。
任意売却は売買契約を結んでも、買えなくなってしまうことも稀にあります。
詳細は省きますが、「債権者(売手に対してお金を貸している金融機関)が売買金額に納得しない場合」、「予期せぬ差押え」を受ける等、複数の原因があります。
買手が住宅ローンを利用して、任意売却物件の購入を予定していることは、実はごく普通のことです。
以前、任意売却物件の買手から、
下記の質問を受けたことがあります。不動産の売買契約を結んで、買手が金融機関と住宅ローンを借りる契約を済ませた後、「不動産が買えなくなると借金だけを背負ってしまい、どうすればいいのか?」
買手の立場にならないと、気付かなかった問題です。
結論から書きますと、金融機関と住宅ローンを借りる契約(金銭消費貸借契約)をしても、担保となる不動産が無ければ、融資はお断りされてしまいます。
〈金融機関の立場から見ると〉
買えなくなる = 金融機関の融資条件と異なる
つまり、お金は貸してもらえません。
買手の不動産が無いまま、住宅ローンだけを背負うことは、決してありません。
任意売却物件の購入に関して、詳しく知ればそれほど問題とならない部分もあります。
また、買手が何か疑問を持っていれば、不動産業者に質問すれば容易に解決する問題がほとんどです。
物件の状況についても、買手は十分に理解して購入を検討することができます。
住宅ローンは不動産を担保にしなければ融資不可!
任意売却物件の内見客は貴重な存在
任意売却を理解した上で、内見を希望される方は大変有り難い存在です。
また、物件を気に入らなければ、二度と見に来ることは無いでしょう。
そのため、せっかくのチャンスを逃さないためには、お客様の内見希望には予定を合わせ、できる限りの対応で臨むことは言うまでもありません。
任意売却の買手は一期一会
当事務所では、任意売却の依頼を受ける際-、後悔しない任意売却のために「3つの約束」をお願いしています。