不動産の差押後に届くダイレクトメールは何が目的!?

不動産の差押後に届くダイレクトメールは何が目的!?

 不動産の所有者のもとへ、知らない会社の「ダイレクトメール」が届くことがあります。

業種として分けると「税理士」や「不動産業者」あるいは「ノンバンク(貸金業者)」などが多いでしょう。

ダイレクトメール(以下、DM)の送り主が税理士や税務関係と不動産業者の組み合わせであれば、大抵は相続登記によるものと考えられます。

しかし、DMの送り主が不動産業者やノンバンクの組み合わせとなると、ほぼ何者かに不動産が差押えられたと考えられます。

突然と感じるかもしれませんが、所有する不動産に異変が生じた結果、送られてきます。

多少なりとも、心当たりはあると思います。

多くの場合、住宅ローンなどの不動産担保ローンが払えなくなった・・・

あるいは、固定資産税など税金の滞納によるものとなります。

では、相続登記は別にして不動産の差押えの場合、DMの送り主である「不動産業者」や「ノンバンク」は何を目的にDMを送るのでしょうか!?

不動産を差押えられた所有者のもとに届くDM」について、不動産業界歴20年超のFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。

また、そのDMの送り主に「気軽に問い合わせても大丈夫なのか!?」そのあたりの事情も合わせて記事にしました。

不動産の差押えに不安を感じている方は、今後の対処について参考にしてください。

目次

DMの目的は「売る」「買う」「貸す」

 まず初めに、不動産が差押えられても、見た目では判断できません。

つまり、隣り近所の誰も差押えの事実は知りません。

それなのに、不動産を差押えられると所有者のもとへ、DMが届きます。

DMが届く理由はこちらの記事で!
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差押えられた不動産の所有者へ送られるDMの目的は、大きく分けて以下の3つです。

〈不動産差押後のDMの目的〉

  1. 売る
    任意売却やリースバックの案内
  2. 買う
    不動産買取の案内
  3. 貸す
    不動産担保ローンの案内

上記3つは、どれも「不動産に関わるお金の問題」と密接に結びついています。

基本的には、お金の工面が必要な状況であり、そのニーズを満たすDMの営業とご理解ください。

順番に説明します。

ダイレクトメールは「売る・買う・貸す」の案内

1.売る:任意売却やリースバックの案内

 任意売却やリースバックの案内が届くのは、不動産を維持(所有)し続けるのは、もはや困難な状況が当てはまる場合です。

つまり、不動産業者が任意売却で「売る」を勧めるケースやリースバックで住み続けるために「売るを提案するためDMを送ります。

任意売却とリースバックについてはコチラ
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そうなると、金融機関は返済の請求から、担保不動産の競売による回収へと舵を切ります。

〈金融機関の対応〉
請求 → 競売

いわば、強制的に回収することになります。

その過程で「裁判所による差押え」を受けた状態であり、競売の途中段階です。

この他にも、裁判所の競売に関する資料をもとにしたDMも届きます。

いずれにしても、競売の準備が進んでいることに間違いありません。

この競売を回避するため「任意売却やリースバック」の案内がDMで送られてきます。

競売回避のため「任意売却やリースバック」のDMが届く

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税金の差押えによる場合は?

 税金の差押えでも同様に「任意売却やリースバック」のDMは届きますが、必ずしも競売が差し迫っている状況とは限りません。

その場合、ご自身には無関係と認識しても構いません。

しかしながら、税金の滞納が速やかに解消できない場合、何かしらの対処が必要です。

例えば、自宅の固定資産税を滞納しているとしましょう。

それでも、住宅ローンは何とか返済中。

税金より住宅ローンの返済を優先していませんか?

実は、当事務所の相談者にも非常に多いのですが、本来は順番が逆です。

何よりも「税金が先・住宅ローンは後回し」となります。

住宅ローンが返済できるならば、税金も納付しなければなりません。

正論を言ってしまえば、税金が納付できない時点で、もはや自宅の維持は不可能となります。

税金の納付が困難ならば不動産の維持も困難となる

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2.買う:不動産買取の案内

 不動産が差押えられると「不動産を直接買取ます」等と書かれたDMも届くことがあります。

お金に困っているときに届くため、「言葉通りに解釈して大丈夫?

自分にとってプラスの話?

ご自身で判断するのは、なかなか難しいと思います。

DMの送り手の思惑は以下になります。

〈不動産直接買取の目的〉

  • ① 安く仕入れるため
  • ② 単に所有者と連絡を取る手段

順番に説明します。

① 安く仕入れるため

 不動産は商品として扱うこともできます。

その場合、一度買取ったマンションや一戸建てをリフォームして転売。

あるいは、一戸建てを建替え「新築建売住宅」や建物を解体して「売地」てとして販売することもあります。

どちらにしても、再度販売して利益を得るには、相場よりは安く買取る(仕入れる)必要があります。

小売店に例えるなら、店頭に並べる商品を売値より安く仕入れなければ、商売になりません

不動産も、仕入れ価格に関しては同様です。

不動産の所有者へ直接買取を提案し、言い値で買取れれば、それだけで不動産業者にはメリットがあります。

不動産業者の希望価格なら即買取も可

② 単に所有者と連絡を取る手段

 ほとんどの方が「② 単に所有者と連絡を取る手段」に該当します。

ダイレクトメールを送ってくる業者も直接買取れるとは、あまり考えていません

それは「① 安く仕入れるため」が実際は困難だからです。

当初、直接買取で連絡をもらい、難しいとの理由で「任意売却の依頼へ切替える」営業方法のひとつです。

実際は任意売却の営業の可能性も

DMをよく見ると「仲介もできます」等と記載されているのではないでしょうか・・・

所有者にしてみれば、競売の申立てで不安な中、直接買取してもらえれば競売が回避できると考えてしまいます。

競売落札前に買取が成立すれば安心できる

直接買取が困難な理由とは?

 競売の申立てをされた方の多くは、不動産を売っても「ローンの残債が売却価格を上回る債務超過(オーバーローン)」の状態です。

このケースで不動産を競売の前に手放すならば、金融機関の同意を得て任意売却となります。

しかし、不動産業者自らが直接買取る交渉は、大抵まとまりません

それは当然で、任意売却するならば「金融機関は適正な価格での売却」を望みます。

不動産業者が直接買取る場合、利益を見込んだ買取価格(仕入れ価格)になるためです。

近隣相場と比較しても低い傾向にあり、金融機関が同意する価格には、ほど遠い結果となるからです。

金融機関は買取価格での任意売却を好まない

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直接買取が可能な場合

 競売の申立てにより差押えを受けた方は、皆一様に不動産業者の買取は難しいのでしょうか?

前項で競売の申立てされた方の多くは、債務超過(オーバーローン)の状態と書きました。

もちろん、該当されない方もいます。

早い話、住宅ローンなど不動産担保ローンの借金を完済できれば金融機関も同意します。

買取り価格が残債を上回ることが条件」となります。

そうであれば買主が誰で、いくらで買うかは何も問題にはなりません。

しかし、直接買取が可能な場合、不動産業者の言い値の可能性もあります。

できることならば、数社に査定依頼をして買取価格が妥当か判断してから決断しましょう。

買取価格も不動産業者によって、「高い低いのバラつき」があります。

買取価格も数社で比較

3.貸す:不動産担保ローンの案内

 この「貸す」については、主に差押えされた不動産の所有者にお金を貸すための営業です。

ただし、消費者金融のような無担保ではありません。

不動産担保のローンとなりますので、「差押えの原因」が税金の滞納などでなければ、実際に融資を受けるのは難しいでしょう。

競売の場合、すでに信用情報機関には事故登録(ブラックリスト)されています。

また、競売による差押えの場合、繰り返しとなりますが債務超過(オーバーローン)の方がほとんどです。

不動産が担保といえども、そこへ更なる融資など考えられません。

もちろん、競売が開始されても債務超過(オーバーローン)とは、ほど遠く残債も少ないレアケースもあるでしょう。

その場合は、借換えなどで競売を回避したいものですが、信用情報に傷があるため(ブラックリスト)実際は難しいでしょう。

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気軽に問い合わせても大丈夫なのか!?

 もしも、届いたDMがご自身の希望を満たしてくれそうな場合、送付業者へ「気軽に問い合わせても大丈夫なのか!?

非常に気なることでしょう。

特にダメな理由はありません・・・

しかし、問い合わせるならば、1社ではなく「2~3社に同様の問い合わせをする」ことをお勧めします。

理由としては、同様の問い合わせの結果、各社バラバラの返答となることは想定しがたいからです。

なぜならば、不動産が差押えられた状況から、何かしらの対処が必要な場合、残された選択肢はそう多くはありません。

ご自身にとって、都合のいい提案をしてくる業者ほど、むしろ疑う必要があるからです。

うまい話こそ怪しいと考える

競売の申立てでお困りの場合

 裁判所による差押えは、すでに競売がスタートしております。

この段階から任意売却を成し遂げるのは、簡単なことではありません。

その反面、適正な価格での任意売却であれば、金融機関も同意する可能性は十分にあります。

あなたの手元に届いたDMには、任意売却の様々なメリットが記載されているかもしれません。

しかし、任意売却のメリットで多くを享受できるのは、ごく少数の方だけです。

貴重な時間をムダにしないためには、「多くを望むより競売回避に専念する」ことが重要です。

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