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極秘に任意売却やリースバックは可能?近所に知られるのが嫌なら注意!
住宅ローンが払えなくなり、任意売却を考えたら「近所の目が気になること」もあると思います。
売却自体を気にしているのではなく、住宅ローンの返済が苦しい等、お金の悩みに関係した売却理由を知られたくないからです。
それでは任意売却する場合、「近所に知られず極秘に進めることは可能なのでしょうか?」
また、売却はするものの「リースバックで住み続ける」場合も「ご近所に内緒で進めることは可能なのでしょうか?」
この記事は、任意売却に精通するFP&不動産コンサルの有資格者が「任意売却やリースバックで近所に知られるのを避けるなら注意する点」も合わせて解説します。
任意売却やリースバックを検討中の方は、是非参考にしてください。
近隣に任意売却やリースバックだと気付かれる可能性
まず最初に、任意売却やリースバックの取引に関わる者については、詳細について把握しているため第三者に口外しないようにしなければなりません。
取引に関わる者とは、売主・買主(リースバックの場合は投資家が該当)・不動産業者の3者です。
買主については、任意売却特有の事情もあるため、後から説明します。
それ以外に、司法書士や金融機関も取引に関わりますが、現地で近隣の方と顔を合わせる能性があるのは、上記の3者となります。
任意売却やリースバックが近隣に知られる可能性について、以下の表にしました。
〈任意売却やリースバックが近隣に知られる可能性〉
任意売却 | リースバック | |
---|---|---|
一戸建 | ない | ない |
マンション | 少ない | ある |
※ 取引に関わる者が口外しない前提
一戸建ての場合は、あまり心配する必要はありません。
しかし、マンションについてはリースバックの場合、注意が必要です。
任意売却の場合とリースバックの場合、それぞれ分けて解説していきます。
一戸建とマンションは違いが生じる
任意売却は近所に知られるリスクは少ない
任意売却を開始するにあたっては、ご近所に対しては引っ越すので「不動産を売却中」と伝えれば、普通のことなので、特に問題はありません。
実際の売却理由など、ご近所には分かりません。
むしろ、こっそり引っ越してしまう方が、訳アリと勘繰られるかもしれません。
一戸建て・マンション、どちらも任意売却で取引することについて、となり近所に知られてしまう可能性は、ほぼありません。
しかし、マンションに限っては状況によっては、注意点もあります。
任意売却は事前にに引っ越しを伝えておけばOK!
マンションは管理費・修繕積立金の滞納を知る者がいる
マンションの任意売却では、管理費・修繕積立金の滞納があると、立場上その事実を知る者がいます。
マンションの管理会社はもちろんですが、こちらについては個人情報のため他人に口外することは、まずありません。
厄介なのは、「マンションの所有者で組織する管理組合」の存在です。
管理組合はマンション全体を維持管理する上で、管理費・修繕積立金の滞納が続けば、所有者に対して請求しなければなりません。
マンションに住んでいれば、隣の住戸や同じフロアーなど顔見知りが管理組合の理事に就任している可能性があります。
また、個人情報保護についての認識も甘く、管理組合の業務で知り得た個人情報を他のマンション所有者に話してしまうリスクがあります。
特に、総戸数の少ないマンションでは、どうしても滞納が続けば目立ってしまいます。
また、世帯数も少ないため、住民同士が顔見知りの可能性は十分にあります。
その反面、大規模なマンションは管理費・修繕積立金の未納は常にあり、特別珍しいことでもありません。
管理費・修繕積立金の滞納から知られてしまう
マンションの任意売却は特有の事情もある
マンションの任意売却の場合、当事務所もそうですが「所有者に対して管理費・修繕積立金の支払いをストップする」よう勧めます。
その上で、本来なら支払うべき管理費・修繕積立金を次の生活の準備金に充てるよう提案しております。
理由としては、任意売却の取引を終えるとき、売却代金の中から滞納分も清算できるからです。
管理費・修繕積立金の滞納は任意売却で清算できる
任意売却でマンションを手放す方は、ご自身の負担分を軽減できるため大変助かります。
また管理組合に対しても、事前に説明するため基本的にはトラブルになることはありません。
ただし、管理費・修繕積立金は滞納しないで任意売却を進めることも可能です。
すべてはマンションを任意売却される所有者の意向によりますので、任意売却を依頼する業者にハッキリと伝えましょう。
新築マンションを購入した知人が言っていたのは、同じマンション内で新築時に購入後、一度も管理費・修繕積立金を払っていないまま、数年が経過している所有者がいるとのこと。
しかし「プライバシー保護で部屋番号すら一切分からない」と不満を漏らしていました。
経済的には管理費・修繕積立金は滞納が良!
任意売却は買主の理解を得る
少し説明の順番としては、前後しましたが、ここで任意売却の買主について触れておきます。
任意売却する旨を、となり近所に伝える必要は全くありません。
しかし、取引の相手方である買主からは、任意売却である旨の了解を得なければなりません。
これは「任意売却特有の契約条件」があるためです。
〈任意売却特有の契約条件〉
- 契約不適合責任免責
- 債権者の同意を要する
上記2つの条件を了承し、買主は購入するからです。
文字を見ただけでは、分かりづらいので簡単にまとめます。
契約不適合責任免責
買主が不動産を購入後、何か欠陥を発見しても売主は責任を負いません。
極端な例ですが、買主が自宅として購入する場合、建物に何か不具合が発生し居住するという目的が達成できない場合でも売主は免責されます。
建物が古い場合、通常の不動産売買でも売主の契約不適合責任免責は、珍しいことではありません。
しかし、任意売却の場合、もともと売主に資力が乏しいため、建物が新しくても契約不適合責任を負いません。
ただし、知っていて告げない欠陥は対象になりません。
債権者の同意を要する
任意売却は多くのケースで債務超過(オーバーローン)となっています。
不動産の売買価格以上の借金の担保となっているため、債権者(金融機関)の同意がなければ任意売却は進められません。
それゆえに万が一、債権者の同意が得られない場合、契約を解除されてしまいます。
つまり、買主には上記2点を理解して購入してもらうので、任意売却である旨は隠すことはできません。
ただし、投資物件等、事業用の不動産を除いては、買主の立場からすると任意売却だから購入するのではなく、物件が気に入ったから購入すます。
むしろ売主に対して同情し、少し申し訳ないような気持になっている方もいるのは事実です。
買主は任意売却の条件を了承済み
リースバックは
こどもの転校等、諸事情によりリースバックが実現しても、元の家が人手に渡ることには変わりません。
それと同時に、「リースバックで住んでいる事実が、ご近所に知られてしまうのか?」
大変気になるところです。
経済的理由であれば、なおさら内緒にしておきたいと考えるのが自然です。
実際のところ一戸建とマンションでは、相当違いがあります。
詳しく見ていきましょう。
内緒でリースバックはマンションより一戸建が有利
一戸建はほぼ大丈夫
リースバックで取引が成立すると、引っ越しはもちろんのこと住民票の移動や町内会の届出も不要です。
本当に親しくしている近所の方でさえ、分かりません。
ただし、何も問題が無い訳ではありません。
それは、リースバックに協力してくれる買主を探すとき、売却する際にご近所に知られてしまう可能性がります。
どういうことでしょうか?
リースバックの協力者探しで知られるリスクも
リースバックは買主となる協力者が不可欠
買主となる協力者の存在無くして、リースバックは成立しません。
その協力者(買主)をタイプ別に分けると、以下の2者となります。
〈リースバックの協力者〉
- 身内や友人知人
- 投資家
買主が「身内や友人知人」などリースバックに協力してくれる者が決まっている場合、不動産の取引を終えればリースバックがスタートできます。
リースバックの事実が第三者に知られることは、ほぼありません。
しかし、リースバックに協力してくれる投資家を見付けなければならないケースでは、ある程度の情報公開と同時に不動産の売却を進めなければなりません。
このときに自宅を売り出すことが、ご近所に知られてしまう可能性があります。
また、そのリスクを避けるには、情報公開の無いままリースバックの買主を探すことも可能です。
その際は、低めの販売価格面や高めの家賃設定など、投資家に魅力ある物件として紹介できれば難しい話ではありません。
身内や友人知人などの協力者無しで、リースバックを希望する場合、売却価格は妥協するなどの調整も含めて検討しなければなりません。
このリースバックの投資家探しの問題は、「一戸建・マンション」に共通しています。
リースバックの投資家は容易に見つかる訳では無い
マンションは所有者変更届出が必要
リースバックをご近所に知られずに進めるのはマンションの場合、少し難しいと考えて下さい。
分譲マンションの場合、先ほども少し触れましたが所有者で管理組合を結成しています。
そして、分譲マンションを売買すると、「新所有者は管理組合に加入届を提出」します。
所有者の変更届は必須
所有者に変更があると管理組合の理事に就任していれば、おのずと知る立場となります。
総戸数が数百戸の大規模マンションであれば、特に気にすることはないかもしれません。
一方で、総戸数の少ない小規模なマンションや大規模でも、親しい住人が理事に就任していると気付かれる可能性もあります。
マンションが共同住宅である以上、「管理組合が情報も共有し管理する」部分があります。
そうなると事情はともあれ、所有者に変更があったことを知っている人がいると考えておくべきでしょう。
総戸数の少ないマンションは所有者の変更に敏感
リースバックの知名度は低いが長期には向かない
仮に所有者の変更を知られても、普通の方はリースバックの知識は、ほぼありません。
引っ越しが「まだ済んでいない!?」と思われたり、会った時に『引っ越しはいつ?』と尋ねられる程度かもしれません。
そのとき、さらりと納得させられる言い訳でも、あれば多少安心でしょう。
それでも理事の交代のため、新理事候補を探しているとき等、思いがけぬ時に気付かれてしまう可能性は十分あります。
マンションのリースバックは、何かと不都合が生じる場面もあります。
となり近所などに秘密にしておきたいケースでは、「長期間のリースバックは避ける」のが賢明でしょう。
極秘のリースバックで長期間は不向き
小規模マンションのリースバックは要注意
小規模マンションのリースバックについては、まだ注意するポイントがあります。
リースバック後は賃貸人となるため、年に1度の管理組合の総会についても通常出席することはありません。
小規模であるため、皆積極的に総会に出席しているような管理組合であれば、『あれ? ○○さん今年は出席してないの!?』というような状況も想定できます。
小規模マンションで極秘のリースバックは難しい
リースバックは必要か再検討
なぜ、リースバックが必要なのか?
一度、理由をリストアップしてみましょう。
〈リースバックが必要な理由は?〉
- こどもの卒業が間近
- 住み慣れたから離れたくない
- 自宅に愛着がある
- 住宅ローンが苦しいのを知られたくない
特別な込み入った事情があれば、リースバックも選択肢の1つです。
そうであっても、将来的に買戻せる見込みがなければ、住み続けることはできません。
無理にリースバックするよりも、別の住居で再スタートするのが、経済的な事情に合わせた家賃の部屋が探せます。
また、任意売却後のリースバックに期待している方も多いのですが、現実には難しいケースがほとんどです。
本当にリースバックが最良の選択なのか、もう一度よく検討してみましょう。
買戻さない限り住み続けることはできない
競売の申立後、近所に知られず任意売却できるか?
任意売却の場合、となり近所に知られる可能性は少ないことは分かりました。
それでは、金融機関によって競売の申立がされてしまった場合も同様でしょうか?
競売の申立後は裁判所の競売情報(配当要求終期の公告)を入手した業者が下見に来たり、普段と違うことが起きます。
裁判所が競売の申立を受理した不動産を裁判所内でのみ閲覧できる資料。
その後、競売のスケジュールが決まるため、まだインターネットで閲覧できる前段階です。
競売の申立後は、少々状況が異なってきます。
となり近所の方も、競売の申立後は多少なりとも気付くこともあるでしょう。
幸いなことに、この段階で任意売却によって取引できれば、まだましです。
裁判所のホームページに掲載されるようになると、誰でも閲覧できるようになります。
仮に任意売却できても、お金の悩みで手放したことは、周り近所であれば、おおよその判断はつくので精神的にはかなり大きな負担になります。
どうしても売却理由を近所に気付かれないためには、競売の申立前に取引を済ませなければ難しいと思います。
それには、早めに相談して任意売却する意思を金融機関に伝えることが大切です。
早めの相談・早めの任意売却が重要