リースバックというワードも不動産業界では、すっかり定着した感があります。
1部上場企業もリースバック事業に続々と参入し、宣伝も盛んになりました。
どこも宣伝文句は、ほぼ同じで、『自宅を売却しても住み続けられる』が合言葉のように見えてしまいます。
自宅というからには、現在住んでいる家を売却し、住み続けることになります。
なぜリースバックを希望するのか!?
そもそも、自宅を売却しても、その家に住み続ける需要を考えると、リースバック希望者の多くは、お金を必要としている方と見て間違いはないでしょう。
お金に困っていなければ、わざわざ自宅を売却する必要はありません。
例外を上げるとすれば、相続で揉めないために、先に現金化しておくという需要も少なからずあります。
しかし、自宅のリースバック希望者の多くは、住宅ローンや他の借金の返済などに窮しており、決して楽な経済状態ではありません。
そのため、リースバック希望者が任意売却の必要性がある場合、住宅ローンが完済されなければ、リースバックは成立は困難と言わざるを得ないでしょう。

任意売却のリースバック後に買戻しは現実的か?
任意売却でリースバックを実現させるのも相当困難ですが、更に近い将来買戻しを希望することは、可能でしょうか?
『可能か?・不可能か?』の2択ならば、可能となりますが・・・
しかし、かなりの条件をクリアしなければ、買戻しは実現できません。
それでも任意売却で、何とかリースバックが成立したと仮定します。
もともと、お金に窮していたため、リースバックをしてもらった側が買戻すとなれば、まず購入資金を工面しなければなりません。
購入資金の工面が簡単なことなのかを考えれば、すぐに答えは出ると思います。
任意売却の時点で、信用情報機関に延滞記録が登録されていますので、金融機関からの借入れも不可能に近い状態です。
自宅を買い戻すため、売却したときの価格以上のまとまった資金の目途が立たなければ、何も始まりません。
リースバック後に買い戻す金額は?
ある程度のまとまった購入資金の目途の次は、具体的な購入価格はどれくらいになるのか?
リースバックで売却した価格で買い戻すことは、無理な相談です。
なぜなら、リースバックの買手は全くの第三者で、そもそも利益が見込んでいるからです。
つまり、買戻すなら、それなりの利益がなければ、他の者に売却する可能性もあり、簡単には応じてもらえないでしょう。
『リースバック 買戻し』などのキーワードでネット検索すると、買戻し特約や再売買の予約といった言葉がヒットします。
買戻し特約や再売買の予約で、勝手に売られないように縛りをかけておけば、大丈夫かと考えてしまいがちです。
しかし、第三者が、その様な窮屈な条件を承諾してまで、リースバックしてくれることは稀です。
実際、買戻しを希望するなら、リースバックの成立と同時に買戻しの価格や期日などの条件を決めておかなければなりません。
もちろん、リースバックの買手にとっては、不利な条件は1つも無く、ある意味かなりの好条件であり、その反面リースバックの希望者にとっては厳しい条件を提示されます。
リースバック後に買戻しするならば協力者が不可欠
ここまで、自宅を任意売却でリースバックして、その後、買戻すのは相当困難であると、解説してきました。
難しいのは理解できたが、それでも何とかして、実現させる方法はないかと考えている方も多いでしょう。
1つ言えるのは、身内や友人・知人がリースバックに協力してくれる場合、その可能性は格段に向上します。
むしろ、任意売却が前提では、身内や友人・知人がリースバックに協力してくれない限り成立しないといっても過言ではないかもしれません。
当然ながら、身内や友人・知人もリースバックに協力するなら購入資金を工面するという壁は、どうしても避けられません。
購入資金の目途がつき、身内や友人・知人がリースバックに協力する場合、賃料についても、買戻しの価格についても決して利益が欲しくて協力する訳ではありません。
助けたい一心で協力の手を差し伸べるため、余程の損失が想定されない限りは、前向きに検討してもらえます。
大手企業のリースバックは任意売却には消極的
続々と大手企業がリースバック事業に参入していますが、どこも任意売却が前提のリースバックについては消極的です。
冒頭の『自宅を売却しても住み続けられる』を思い出してみましょう。
似ているようですが『自宅を任意売却しても住み続けられる』とは大きく異なるという現実を、まずは受け入れて欲しいと思います。