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投資用ローンの失敗から自宅を守る!住宅ローン特則の適用条件

住宅ローン以外の借金が5000万円以下なら自宅を守れる?

「節税や将来設計のため」と前向きに始めた不動産投資。

しかし、現実は以下のような状況に陥り、身動きが取れなくなっている方が相当数いらっしゃいます。

〈不動産投資の現実〉

  • 高利回りは見せかけで、実際の収支はマイナス
  • サブリースの打切りで赤字が続いている
  • 給料からの赤字補填が続き、もう限界を迎えている

毎月の返済に追われ、「このままでは自宅を維持していけるのだろうか・・・」と、強い不安を感じていませんか?

投資用ローンの返済に行き詰まっても、「個人民事再生(住宅ローン特則)」という制度を活用すれば、マイホームを守りながら、不動産投資の借入だけを大幅に圧縮して人生を再起させることが可能です。

20年以上の現場経験持つFP&不動産コンサルの有資格者が「自宅を残すためにクリアすべき条件」と、借金が5,000万円超でも、諦めずに再スタートさせるプロセスを解説します。

目次

個人民事再生(住宅ローン特則)で自宅を残す3つの条件

 個人民事再生(住宅ローン特則)とは、住宅ローン以外の借金が負担となって返済に支障をきたす場合、その借金を大幅に圧縮することが可能な債務整理です。

もちろん、裁判所が関わるため厳格な要件が定められています。

この手続きの特徴

 住宅ローンはこれまで通り返済を続け、住宅ローン以外の借金は大幅に減額して返済することで、自宅を残せる「個人民事再生の特例」のこと。

住宅ローン特則」や「住宅ローン特別条項」(正式名称は住宅資金特別条項)と呼びます。

 ※  本サイトでは個人民事再生のこの特例について「住宅ローン特則」と呼称を統一します。

住宅ローン特則の3条件

  1. 住宅ローンの返済中
  2. 住宅ローンがオーバーローンなら好都合
  3. 住宅ローン以外の借金が5,000万円以下

この住宅ローン特則を利用して大切な自宅を残すためには、上記3つの条件をすべてクリアしていることが望ましいといえます。

まずは3つの条件を確認しよう

条件1.住宅ローンの返済中

 自宅を維持するための「住宅ローン特則」は、原則として現在も住宅ローンを返済していることが前提の制度です。

自宅を所有し、自宅を担保にした住宅ローンの返済中であること。

(自宅を担保にした、リフォームローン等も上記の住宅ローンに含まれます。)

〈チェックポイント〉

  • 住宅ローン返済中
  • 住宅ローン無しは不可
     「住宅ローンを完済」している、または「借入無し(現金購入)」は対象外
  • 住宅ローン以外の自宅を担保にした借入があると対象外
     ※ 投資用ローンの「共同担保」など、住宅ローン以外の抵当権が自宅に設定されている場合は、この制度は使えません。

住宅ローンがあるから助かる制度

条件2.住宅ローンがオーバーローンなら好都合

 この制度の注目する点は、住宅ローンがオーバーローンの状態であると非常に有利です。

オーバーローンとは?

 住宅ローンの残債が3,000万円あるのに、売却すると2,000万円でしか売れないケースをイメージしてください。

その逆で、住宅ローンの残債が2,000万円に対して査定価格が3,000万円のようなケース(アンダーローン)は、1,000万円のプラスが生じているので、ダメとは言い切れませんが、かなり難しいと認識してください。

自宅は残すので売却はしませんが、不動産業者の査定などでオーバーローンとみなされると、この制度を利用するハードルが下がります。

なぜ、オーバーローンが好都合なの?

 このページの次のセクション「自宅の住宅ローンに限っては「オーバーローン(債務超過)」が好都合な訳」で解説します。

〈チェックポイント〉

  • 不動産業者の査定等で、オーバーローン状態(債務超過)であること
  • 自宅の価値がローン残高を上回る「アンダーローン」の場合は、手続きが極めて困難

条件3.住宅ローン以外の借金が5,000万円以下

 住宅ローン以外の借金が「総額5,000万円以下」であること、そして住宅ローン以外の借金の返済額が減少すれば、住宅ローンは返済可能なことです。

5,000万円以下の借金が消えて無くなることはありませんが、債務総額を圧縮(減額)して返済します。

住宅ローンの返済額は変わらないけれど、他の借金(最大5,000万円)が大幅に減額されれば、返済が続けられるだけの経済的余裕が認められることも要件になります。

〈チェックポイント〉

  • 住宅ローン以外の負債総額が5,000万円以下
  • 住宅ローン+減額された借金が返済可能であること

住宅ローン以外の借金とは?

  • アパート・マンション投資のローン
  • 自動車ローンやカードローン、リボ払いなど
  • その他、連帯保証債務など

※ ご自身の住宅ローンとは無関係が大前提

投資用ローンが5,000万円を超えていても諦めない

 投資用アパートやマンションを複数保有している場合、当初の借入総額が数千万円〜億単位に膨らんでいることも珍しくありません。

そのため「住宅ローン督促の対象外だ・・・」と最初から諦めてしまう方もいます。

しかし、この5,000万円という基準には、行動次第で対処できる可能性が残されています。

5,000万円以下の具体的な判定ルールについて

 次のセクションの後半、「借金総額1億円でも諦めない!5,000万円基準の正しい判定ルール」で解説します。

自宅の住宅ローンに限ってはオーバーローン(債務超過)が好都合な訳

 投資用不動産の債務超過(オーバーローン)は深刻な問題です。

しかし、住宅ローン特則を利用しようと考えたとき、自宅の住宅ローンに限っては、むしろ「オーバーローンが圧倒的に有利」という逆転現象が起こります。

なぜ、自宅に価値がない方が有利なのか?

 それは、「手元に残る財産が多いほど、返済額が増えてしまう」という独特のルールが存在するからです。

清算価値の原則:自宅に価値が残っていない方が弁済額を抑えられる理由

 個人民事再生(住宅ローン特則を含め)の手続きでは、裁判所に「再生計画(原則3年間で返す額)」を認めてもらう必要があります。

 更に「自分の持っている財産価値以上の金額を支払わなければならない」という厳格なルールがあり、これを「清算価値の原則」と呼びます。

具体的には、法律で定められた一律の基準(最低弁済額)と、本人が保有している財産の総額(清算価値)を比較して、金額が大きい方が実際の返済額として採用される仕組みです。

 もし、自宅がアンダーローンで、査定額からローンを引いて1,000万円の価値(含み益)が残っているとどうなるでしょうか?

最低でも、その1,000万円を原則3年間で分割返済しなければならなくなり、毎月の返済負担が激増してしまいます。

しかし、自宅がオーバーローンであれば、自宅の純資産価値は「0円(純資産なし)」と評価されます。

手元に残る財産価値が低い(オーバーローンである)ほど、返済額を最小限に抑えやすくなり、結果として手続きを有利に進められます。

借金総額1億円でも諦めない!5,000万円基準の正しい判定ルール

 投資用不動産の借入であれば、5,000万円を優に超えてしまうことは珍しくありません。

 ただし、5,000万円の上限判定は、住宅ローン特則の制度を利用する時点での借入残高で判断されます。

投資物件を保有したままでは、借金総額が5,000万円の基準を超えてしまい、住宅ローン特則の適用は不可となります。

その反面、赤字丸抱えの投資用不動産を手放した後であれば、5,000万円を下回る可能性は十分にあります。

投資用不動産の売却で債務を削減

投資物件の早期「損切り」が自宅を残すための有効な対策に!

相談者

 投資用ローンが複数あり、総額1億円を超えています・・・
これでは5,000万円以下という条件はクリアできませんよね?

筆者

 いいえ、現時点であきらめる必要はありません
5,000万円の基準は、「投資物件を売却(損切り)した後の残債」で算出可能です。
自宅を残せる可能性は、まだ残っています

たとえば、投資用ローンが総額1億2,000万円あったとしても、それらの物件をすべて売却して9,000万円が回収できれば、手元に残る実際の残債(借金)は3,000万円になります。

この3,000万円の残債と他のカードローン等を足した金額が「5,000万円以下」に収まっていれば、住宅ローン特則を申請して自宅を残せるチャンスは十分にあります。

 その一方で、「売却せずに投資物件を抱えたまま」では、1億2,000万円の借金がそのままカウントされるため、住宅ローン特則の適用は不可となります

まずは、重荷である投資物件を早期に手放すことが非常に重要となってきます。

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投資用不動産を「任意売却」して条件をクリアする手順

 投資用アパートやマンションを複数保有し、毎月多額の持ち出しが発生している場合は極めて危険な状況です。

過去の堅実な生活に戻るためには、中途半端な処理ではなく、一気に整理(損切り)してしまう、大きな決断が必要となります。

絶望的な状況でも、適切な任意売却を組み合わせることで残債を5,000万円以下にできれば、自宅を残せる道が開けます。

成功の秘訣は任意売却を積極的に扱う業者へ相談すること

任意売却が不成立の場合でも可能性は残されている

 勇気をもってアパートローンの返済をストップしたけれど、任意売却がうまくいかなかった場合も想定しておく必要があります。

任意売却はローン残高以下の金額で不動産を売却するため、金融機関の同意のもとに進めます。

当然ながら損失を被る金融機関は、売却価格について実質的に決定権を持ちます。

不当に安く売られないよう「売却価格については非常にシビア」になる

まれに金融機関が任意売却を認める価格が高過ぎて、買手が付かないケースもあります。

任意売却が不成立となれば、どうなるのか?

一言でいえば『競売』で処分されます。

競売でも終わりではない!

競売でも落札されれば先へ進める

 不本意ながら、任意売却が成立しなかったことは非常に残念です。

しかしながら、競売でも任意売却でも「不動産を手放すことが大変重要」なポイントです。

ローンの返済をストップ後、任意売却の方が早い段階で不動産を手放すことができるため、その点は勝っております。

それでも、実際は競売で落札されてしまえば、残債が確定します。

この残債の総額が決まれば、任意売却時と同様に個人民事再生の手続きへ進むことが可能ですので、競売になっても決してあきらめる必要はありません。

競売でも債務総額は減少して確定する

よくある質問・投資物件の競売は「自宅」に飛び火する?

投資物件が競売になったら、住宅ローンも一括返済を求められる?

 住宅ローンを問題なく返済している限り、銀行がすぐにアクションを起こすことは通常ありません。

銀行にとって「正常な住宅ローン」は優良な債権であり、わざわざ不良債権化させるメリットがないためです。

ただし、銀行との契約上は「期限の利益の喪失」の事由に該当しますので、絶対に大丈夫とは言えません。

投資ローンと住宅ローンが「別の銀行」なら安心?

 住宅ローンを問題なく返済している限り、基本的には影響を受けにくいですが、前の質問同様に銀行との契約上、絶対に大丈夫とは言えません。

また、投資ローンと住宅ローンが同じ銀行(またはグループ)でも、「投資物件だけを処分し、自宅の住宅ローンは継続する」という対応が認められることもあります。

任意売却から個人民事再生へ繋ぐ実務スケジュール

 投資物件の任意売却から個人民事再生(住宅ローン特則)の申立てまでは、綿密なスケジュール管理のもとで進める必要があります。

手続きを円滑に進めるための具体的な3つのステップは、以下の通りです。

STEP
資産と負債の「棚卸し」による現状把握

 まずはすべての投資用ローンの残高、自宅の住宅ローン残高、カードローンなどの利用状況、および物件の資料をすべて手元に集めます。

現在の借金総額と「実際にいくらで売れるか」の売却予想額を書き出し、現状を可視化することがスタートラインです。

STEP
投資物件の「任意売却」と金融機関交渉

 一括返済が困難なオーバーローン物件について、専門の事業者が間に入り金融機関(債権者)との交渉を行います。

物件を市場で売却した代金を返済に充てることで抵当権を外してもらい、売却後に手元に残る「本当の残債」を確定させます。

STEP
残債の確定と個人民事再生への移行

 任意売却によってあぶり出された投資ローンの残債を含め、負債総額が5,000万円の上限値に収まっていることを確認します。

条件クリアを確認後、スムーズに個人民事再生の手続きへ移行できるよう、弁護士などの法律の専門家と緊密に連携してスケジュールを策定します。

多額の負債を前にすると状況を直視するのが難しくなることもあります。

しかし、客観的な数字の確認が大切なマイホームを守り、堅実な生活を取り戻すための第一歩となります。

全体の流れを見据えながら、まずは手元の資料を並べることから進めていきましょう。

リセットするのが難しい不動産投資の失敗

 投資用不動産の購入で大半を借入れに頼っていると投資額が大きいため、月々の金額もさることながら、気の遠くなるような長期間の返済が続くことになります。

アパートローンでも無くなれば落ち着いた生活が取り戻せるのではと、投資前の生活が懐かしくも感じます。

ところが、ここ数年で周りに建てられたアパートの影響もあり利回りも低下、いざアパートを売りたくても思うような価格で売却できるかは不透明です。

これが、気軽に始めたサラリーマンの不動産投資の現実です。

もう、後戻りはできませんが、場合によっては何とか元の生活に近づく方法はあります。

個人民事再生に関しては、細かな条件もあり誰でも認められる訳ではありませんが、住宅ローンとアパートローン等の2重ローンでお困りの場合、まずは相談することをお勧めします。

不動産投資の撤退は傷が浅いうちに!

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。

競売間近の自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談、そして、住宅ローンの滞納や住宅ローンによる老後破綻など、『お金と不動産の専門家』として難易度の高い任意売却に精通し、『不動産に関わるお金の悩みの解決』に向けて、解決策を提案しています。

最近では、高齢化社会のニーズに応え『売るときに困らない家族信託(民事信託)』のサポートにも注力、また、「ADR」と呼ばれる法務大臣認証の裁判外紛争解決機関(一社)日本不動産仲裁機構の調停人としても登録しています。

詳しいプロフィールは、下(左)のリンクボタンからどうぞ。

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