任意売却は時間との勝負です。
住宅ローンの滞納を繰り返し、督促にも応じなければ自宅はいずれ競売にかけられます。競売開始後は任意売却できない可能性が高いため、返済が困難な方は早めに行動することが大切です。
「任意売却はどのような流れで進められるの?」
「手続きにかかる期間が知りたい」
このような疑問をお持ちの方のため、この記事では任意売却の進め方をわかりやすく解説していきます。ステップごとの所要期間も説明するので、任意売却をお考えの方はぜひ参考にしてください。
任意売却の流れと進め方

任意売却は、一般的に以下の流れで進めていきます。
- 債権者から督促状が届く
- 専門家に相談する
- 家の価格を査定する
- 債権者と交渉する
- 売却活動をする
- 売買契約をする
- 引っ越しをする
- 代金を清算する
ここからは各手順をより詳しく解説していきます。
その①債権者から督促状が届く
住宅ローンを滞納すると、債権者(契約を交わした金融機関)から未払い分の返済を促す下記の書類が届きます。
- 督促状
- 催告書
- 期限の利益喪失予告書
- 代位弁済通知
- 競売開始決定通知書
- 競売の期間入札通知書など
これらの書類を送付するほか、電話で督促する債権者もいます。
督促状が届くまでの時期は、滞納開始からおよそ3〜6ヶ月頃です。
その②専門家に相談する
任意売却をする際は、弁護士や司法書士、または任意売却専門の不動産会社に相談するのが一般的です。
手続きを進めるには、法律や不動産売却の専門知識が必要です。加えて、話を有利に進めるための交渉力も求められます。
誰に相談すべきか迷った時は、任意売却を得意とする専門家に相談しましょう。第三者に事情を話すのはとても勇気のいることですが、今後も滞納が続けば家が競売にかけられるのは時間の問題です。
最悪の事態を避けるためにも、まずは一歩踏み出す勇気を持つことが大切です。
当事務所ではこれまでに数々の任意売却を成功させてきました。相談先でお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
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その③家の価格を査定する
任意売却の意志が固まったら、次は不動産価格の査定を行います。
残債よりも不動産の価値が高くなるか(アンダーローン)、それとも残債が不動産価値を上回るのか(オーバーローン)を査定します。
アンダーローン:ローン残債が2000万円で、不動産の査定価格が2500万円
オーバーローン:ローン残債が2000万円で、不動産の査定価格が1500万円
アンダーローンなら任意売却が成功する可能性は高く、一般的な方法で家を売却することも可能です。(ただし残債の一括返済と抵当権の抹消が必要)
一方、オーバーローンで任意売却をすると、その後も残債は残ります。仮にローンが2000万円残っている家を1500万円で売ったとすれば、その後も500万円が請求される計算です。
任意売却を成功させるには、一般の不動産市場で売却するため適切な査定価格で販売できるかが重要となります。
机上査定にかかる日数は1〜2日ほど、実際に家を見て現状を確認する訪問査定の所要日数は4〜7日ほどです。

その④債権者と交渉する
債権者に任意売却を承諾してもらうための交渉がスタートします。
交渉にかかる期間は状況によって異なりますが、早ければ1週間ほど。長いと2~3週間ほどかかることがあります。
債権者の同意を得るため、専門家は売却価格や残債の返済方法などを調整して交渉を進めていきます。万が一同意が得られなければ、残念ながら任意売却はできません。
住宅ローンの契約時に連帯保証人を立てている場合は、その方の了承も得る必要があります。

その⑤売却活動をする
債権者の同意が得られたら、次は家の販売活動のスタートです。
任意売却は、通常の不動産売却とほぼ同じ方法で行われます。より高値で売却するには、専門家の交渉力もさることながら、購入希望者への丁寧な対応が必要です。
多くの場合、任意売却はその家に住みながら手続きを進めます。よって内覧を希望されれば家はきれいに清掃した方がいいですし、笑顔でお迎えすれば相手にも好印象です。
なお、今の家に住み続けたいという強い希望がある場合、リースバックや買い戻しという手段もあります。絶対にできると断言はできませんが、親族間での売買を希望される方はあらかじめ専門家に相談することをおすすめします。
買い手が見つかるまでの期間は1~3ヶ月が目安です。

その⑥売買契約をする
購入希望者が現れたら、いよいよ売買契約を交わします。
契約後にトラブルが生じないよう、契約前は条件のすり合わせを細かく行っていきます。専門家は債権者と最終的な調整を行い、全員の合意を得た上で契約締結は完了です。
売買契約の準備は、宅地建物取引主任者の資格をもつ専門家が行います。

その⑦引っ越しをする
任意売却では、買主と調整の上で引っ越し日を決定できます。
とはいえ、買い手がついてから引っ越し先を決めるのは望ましくありません。買主の都合もありますから、任意売却すると決めた時点で引っ越し先はある程度目星を立てておくのがいいでしょう。
その⑧売買代金を清算する
買主から売買代金を受領、債権者へ返済し任意売却終了となります。
結論からいいますと、住宅ローンを滞納し、期限の利益喪失後でなければ任意売却はできません。
家計の占める割合が大きい住宅ローンは、ひとたび滞納すればそれ以降はさらに返済が困難になります。督促状が届いたり電話がかかってくるのを恐れ、早めに手を売っておきたいと考える方もいるでしょう。
冒頭でお伝えした通り、任意売却は時間との勝負です。行動に移すのが早ければ任意売却以外で解決できる可能性がありますし、手続きも余裕を持って進められます。
現時点で滞納がなくても、近い将来返済が困難になることが予想される方はすみやかに専門家へご相談ください。
任意売却が完了するまでの期間

任意売却をすると決めてから手続きがすべて完了するまでには、早くても2~3ヶ月ほど時間がかかります。
状況次第では1ヶ月ほどで解決できる場合もありますが、もし間に合わなければ残された道は競売のみです。競売の開札日*を過ぎてしまうと、残念ながら任意売却はできません。
*開札日…入札の結果を発表する日
任意売却の期限はいつまで?

任意売却のリミットは、期限の利益喪失後6ヶ月頃までです。
期限の利益は、滞納を3〜6ヶ月ほど続けると喪失するのが一般的です。これはつまり、はじめて滞納をした月から9〜12ヶ月が経過すると、それ以降は任意売却できなくなると言い換えられます。(※期限の利益喪失までの時間は債権者によって異なります)
期限の利益を喪失すると、ローンの残債は全額一括で支払わなければなりません。すでに数ヶ月滞納が続いている状態で一括返済は困難かと思いますが、債権者は容赦なく返済を要求してきます。
返済に応じなければ裁判所が競売を決定し、執行官による家の調査が行われます。この調査には強制力があるため拒否はできません。また、執行官が撮影した室内外の写真を含む調査結果は資料にまとめられ、近日中にインターネットで公開されます。
この時点ではまだ、任意売却できる可能性は残っています。しかし、インターネットで家の所在地や写真が公開されてしまっては、プライバシーが大きく損なわれたも同然です。
ご自身とご家族の精神的ストレスを最小限におさえるためにも、できるだけ早く任意売却をはじめることをおすすめします。

任意売却で買い手がつかないことはある?3つの原因

任意売却で買い手が見つからない、想定できる原因には以下のものがあります。
- 価格が適正でない(相場より高い)
- 内覧に応じない
- 任意売却の知識がない業者に相談した
原因①価格が適正でない(相場より高い)
任意売却で買い手がつかない理由として、まず考えられるのが価格設定です。
大切な家を売ったお金でローンを返済するわけですから、売る側はできるだけ高い金額で売却したいと考えます。希望の額で売れれば嬉しいですが、相場より明らかに高ければ買い手は見つかりにくいでしょう。
かといって、任意売却だからと極端に安くする必要はありません。任意売却は通常の不動産売却と同じ方法で進められるので、適正価格で売却活動することが大切です。

原因②内覧に応じない
家に住みながら売却活動を行う任意売却は、内覧希望者への丁寧な対応が求められます。
家の清掃はもちろん、質問には過不足なく答えることでいい印象を持ってもらえます。家を隅々まで見られることに抵抗があっても、見学してもらえればそれだけ購入につながりやすいです。
内覧希望者は未来の買主となりうる存在です。先方が希望する日時に迎え入れられるよう、しっかりと準備を整えておきましょう。
原因③任意売却の知識がない業者に相談した
任意売却は、関係者との交渉や調整など細やかな対応が必要です。
不動産だけでなく法律に関する知識も求められるため、通常の不動産業者では対応できない可能性があります。
業者選びの際はまず、任意売却を専門としているかどうかを確認しましょう。依頼後であっても、対応に不安があれば別の業者への変更を検討するのも一つの方法です。

まとめ

任意売却を成功に導くには、時間に余裕を持ってアクションを起こすことが大切です。
相談〜手続き完了までにはある程度の期間が必要であり、いつスタートするかで結果は大きく変わります。住宅ローンの返済は待ったなしですから、滞納の可能性がある段階で何かしらの対処をすることを強くおすすめします。
当事務所は、任意売却のコンサルタントを主たる業務としています。
ご事情に配慮しながら最善の方法をご提案しますので、住宅ローンの滞納でお困りの方はいつでもお気軽にご相談ください。