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リースバック「できる・できない」の違いは?簡単な計算で成立可能か判断する方法

リースバックを希望する方は多いものの、実際に成立するケースは限られています。
なぜなら、リースバックは「住み続けたい」という希望だけでは成立せず、買手側から見た投資の採算も満たす必要があるからです。
仕組み自体は、「自宅を買い取る投資家や不動産業者が見つかり、その後も賃貸として住み続けられる」というシンプルなものです。
しかし、問題は「自分の家でもリースバックが成立するのか」という点です。
リースバックには、売却価格・住宅ローン残債・家賃負担など、成立を左右する明確な条件があります。
本記事では、任意売却やリースバックの相談実績を持つFP&不動産コンサルの有資格者が、簡単な計算で分かる成立可能性の目安と、リースバックが「できる人・できない人」の違いを解説します。
目次
リースバックの売却価格は「払える家賃」で決まる
不動産を売る以上、「できるだけ高い価格で売りたい」と考えるのは当然のことです。
しかし、リースバックにおいては「売却価格が高ければ良い」とは限りません。
なぜなら、買取価格が高くなれば、買手である投資家が求める利回りに合わせ、毎月の家賃も上がってしまいます。
仮に高い査定額でローンが全額返済できたとしても、毎月の家賃が払えない金額になってしまっては住み続けることができません。
だからこそ、リースバックの出発点は「高く売ること」ではなく「毎月いくらの家賃なら無理なく払い続けられるか」になるのです。
家賃はリースバック成立一番の要素
払える家賃から売却価格を割り出す計算式
毎月支払う家賃は、これまでの住宅ローン返済額よりも大幅に抑えなければ、今度は家賃滞納に悩むことになります。
例えば、これまでのローン返済が月14万円だったため、「月10万円なら家賃として払っていける」と設定したとします。
〈年間家賃の計算〉
月額10万円 × 12か月 = 年間120万円
投資家がリースバックに応じる唯一の目的は「投資に対するリターン(利回り)」を得ることです。
買手である投資家は、この「年間120万円の賃料が投資額に見合うか」を基準に購入価格を算出します。
投資利回り10%の計算式
仮に、不動産投資で指標とされる利回り10%を基準に計算してみましょう。
〈投資家の購入価格の計算式〉
- 年間家賃 ÷ 利回り=投資家の購入価格
- 120万円 ÷ 10% = 1,200万円
※ 月額家賃10万円、利回り10%のケース
つまり、投資家は「月10万円で貸せる物件なら、1,200万円で買い取れば年間10%のリターンが得られる」と判断します。
利回り設定は物件やエリアで大きく変わる
今回は目安として「利回り10%」で計算しましたが、適切な利回りは物件の条件によって異なります。
東京の都心部であれば、利回り10%といった高利回り物件は、皆無に等しいです。
その反面、郊外へ出れば利回り10%超でも買手のつかない物件が数多く存在します。
この「相場とのギャップ」こそが、リースバックの成否を分ける境目となります。
リースバックが「できる人・できない人」の判定基準
リースバックの成否は、大きく分けて「買手となる投資家の判断基準」と「所有者のローン残高(債権者の同意)」という2つのハードルによって明確に分かれます。
まずは第1のハードルである、買手(投資家)側の審査基準から見ていきましょう。
投資家の判断基準3つのポイント
投資家はボランティアや慈善事業で協力してくれるわけではありません。
次の3つのポイントを審査しています。
〈投資家が見るポイント〉
- 不動産の資産価値(出口戦略)
入居者が退去した後に再売却できるか、資産価値が維持できるか。 - 得られる賃料
設定家賃が近隣の賃貸相場と比べて高すぎないか(高すぎる家賃は退去後の空室リスクになる)。 - 借り手の状況(支払い能力)
借主が今後も安定して家賃を払い続けられる経済的余裕があるか。
【注意】利回りが確保できても「不動産」に魅力がないと投資家は買わない
特に重要なのが1の「出口戦略」です。
いくら計算上の利回りが高く、借主の家賃支払い能力に問題がなくても、不動産そのものの流動性が極端に低い場合は投資家から拒絶されます。
再建築不可物件や著しい老朽化、過疎地など、「あなたが退去した後に第三者へ再売却できないリスク」がある物件は、投資対象として敬遠されるケースもあります。
これら投資家の条件をクリアした上で、「できる人」と「できない人(債権者の同意)」の条件は以下のようになります。
【できる人】買取査定額 ≧ ローン残債(全額完済できるケース)
投資家が提示する買取査定額(例:1,200万円)で売却した際に、住宅ローンや不動産担保ローンを全額完済できる方です。
ローンが完全に完済できる(アンダーローン)のであれば、金融機関は売却に口を挟む理由がないため、リースバックはスムーズに成立します。
ローンが完済できればOK!
【できない人】買取査定額 < ローン残債(オーバーローンのケース)
そして第2のハードルとなるのが「金融機関(債権者)の同意」です。
投資家の買取査定額ではローンを返しきれず、残債が生じてしまう(オーバーローン)方は、原則としてリースバックは不可能です。
売却しても残債が生じる場合、売買は金融機関との「任意売却」の手続きに入ります。
債権者である金融機関は1円でも多くの回収を目指すため、投資家向けにのリースバックには同意せず、「一般市場で高く買ってくれる実需(住宅利用)の買手へ売りなさい」とストップをかけるからです。
残債が生じれば原則不可!
※ 任意売却とリースバックが相容れない理由については、「任意売却+リースバック」は可能?住み続けたい人が知るべき現実で解説しています。
残債が生じる場合の唯一の例外(身内・協力者の存在)
残債が生じる状態であっても、損得勘定抜きで助けてくれる親族や知人などの「協力者」が買手となってくれる場合は、例外的に成立の可能性が残されています。
ただし、協力者側の資金調達(住宅ローンの利用は不可)という非常に高いハードルが存在します。
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完済できる人でも安易なリースバックに飛びついてはいけない理由
たとえ「売却代金でローンを完済できるからリースバックが可能」な状態であったとしても、安易に契約を結ぶのは避け、一度立ち止まってよく考えてから決めてください。
相場より大幅に安く手放すという「代償」
投資家がリースバックに応じる理由は、ただ一つ「市場相場よりも明らかに安い価格で不動産を手に入れられるから」です。
そうでなければ、投資家は投資のリターンが得られません。
一般の市場(自分で住むために探している買手)に売却すれば2,000万円で売れる家が、リースバックだと1,200万円でしか買い取ってもらえない…
この様なケースも珍しくはありません。
「引っ越しをしたくない」という理由だけでリースバックを選ぶと、本来手元に残るであろう差額の数百万円と引換えに住み続けることが可能となります。
「引っ越し回避」のために背負う無理な家賃負担
近所の体裁や子ども転校を避けるため無理な家賃設定を受け入れる方も多くいらっしゃいます。
これでは、後々さらに重い経済的負担となって跳ね返ってきます。
子どもの通学については、自治体の対応で学区外通学が認められるケースもあり、近隣の一般的な賃貸へ引っ越すだけで解決することも少なくありません。
不動産を相場より安値で手放し、投資家の求める家賃を払い続けることが本当に自分や家族にとってプラスなのか、一歩引いて冷静に比較検討することが不可欠です。
自宅のリースバックで事前に決めるべき3つのルール
「条件は厳しいが、それでもリースバックの可能性を探りたい」という方は、検討を始める前に必ず以下の3つのルールをご自身の中で決めておく必要があります。
〈自宅のリースバック事前に決めるルール〉
- 支払い可能な「上限家賃」の決定
- リースバックの利用期間(無期限は不可)
- リースバック不成立時の「撤退ルール」
1. 支払い可能な「上限家賃」の決定
現在の家計収支(収入や生活費)を冷静に見直し、「毎月いくらまでなら確実に払い続けられるか」という上限額を決めます。
収入の変化や固定費なども考慮した「破綻しない金額」を設定することが重要です。
この「上限家賃」が固まって初めて、「家がいくらで売れるのか」買取査定額の計算が可能となります。
2. リースバックの利用期間(無期限は不可)
売却した時点で、元の自宅は「他人の所有物(借り物)」になります。
自分の家ではない以上、永久に住み続けることはできません。
「何年後に退去して次の住まいへ移るのか」という期限を最初から設定しておかなければなりません。
これは親族等の協力者に買い取ってもらう場合でも、将来的なトラブルや相手への負担を避けるために全く同じです。
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3. リースバック不成立時の「撤退ルール」
買主探しに時間を費やしすぎると、任意売却の手続きが遅れ、最悪の結果である「競売」へのカウントダウンが進んでしまいます。
「買主探しは1〜2ヶ月まで」と明確な期限を区切り、そこで買い手がつかない場合は潔く諦めて、通常の任意売却(引っ越し前提の売却)へ切り替える覚悟を持っておくことが大切です。
「自宅への執着」を一度捨てて客観的な成否判定を
住宅ローンの返済に苦しむ中で「住み慣れた我が家を手放したくない」と願うのは当然の感情です。
しかし、「リースバック」に固執するあまり、成立可能性のない交渉に貴重な時間を費やすと、任意売却による早期解決のチャンスすら失い、競売で強制退出させられるという最悪の結末を招きます。
まずは、「払える家賃からの逆算価格」と「現在のローン残高」を照らし合わせ、客観的に可能性が存在するのかを見極めてください。
もし不成立と判明したならば、早期に通常の任意売却へ舵を切り、競売の恐怖から解放されて新しい生活の第一歩を踏み出すことこそが、本当の意味での生活再建への近道となります。

















