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他社で見られない特殊案件

サブリースの成れの果て!行政も困惑する管理不能マンションを売却した戦略とは?

 アパートやマンション経営で、サブリース契約を結んでいる方は相当数いらっしゃいます。

空室でも家賃収入は保証、管理の手間も省ける」という甘い言葉を信じ、多くの方が手軽な不動産投資としてスタートさせています。

しかし、順調に思えた不動産投資も・・・

 ある日突然、サブリース業者から「家賃の送金停止」や「一方的な契約解除」を突きつけられたら、どうしますか?

今回は、当事務所で実際に解決に当たった、「東京在住のオーナーが大阪の1棟収益マンション」で巻き込まれた「サブリース解除・ゴミ屋敷化」の実例をご紹介します。

業者は逃げ出し、現場はまるで管理者不在の無法地帯のような有様に・・・

不誠実なサブリース業者が招いた実態と、どのようにして窮地を脱出したのかをお伝えします。

この記事は『サブリース契約突然契約を解除された相談者』の実例をFP&不動産コンサルの有資格者が解説します。

目次

突然サブリース契約を解除された相談者

 今現在、不動産投資を始めたものの、理想とは違い抜け出したいが、その方法すら見出せずに、不安な日々を過ごしている方は多くいらっしゃいます。

かなり不誠実な業者からの勧誘により、不動産投資をスタートさせた相談者の現実を見てください。

不動産投資家である相談者は、ある日突然「サブリース業者から契約解除通知」を受け取りました。

サブリース業者は、大家に対して現在入居中の借主の地位を継承させる内容の通知を以って、サブリース契約を解除しました。

〈相談者の状況〉

  • 相談者(東京在住)
  • 物件(大阪の収益マンション1棟)
  • サブリース業者(福岡の不動産業者)

東京在住の方が、福岡の不動産業者から勧誘を受け、大阪の収益マンション1棟を購入したことから始まります。

そして、その福岡の不動産業者(以下、サブリース業者)とサブリース契約を結んで不動産投資がスタートしました。

そもそも福岡のサブリース業者が、大阪のマンション1棟を管理できるでしょうか?

結論からして、まず難しいでしょう。

そのため、この様なケースではサブリース業者は地元の管理会社(多くは不動産業者以下、管理会社)に管理を委託します。

相談者(以下、オーナー)はサブリース契約の解除通知が届いたため、仕方なくサブリース業者が委託していた管理会社へ、管理の継続を願い出るしかありませんでした。

ひとまず、管理会社が引き継いでくれたが・・・

そのとき初めて、実際の賃貸収入が判明し、「借入金の返済が追いつかない」ことも分かりました。

もちろん空室もあったため、入居者が埋まれば返済が追いつかない訳ではありません。

しかし、空室が埋まるまでは毎月持出しながら返済を続けることになります。

仮に満室になっても、ほとんどキャッシュフローも期待できないため、もう売却してしまうのが賢明な判断でした。

この時点で、オーナーより当事務所へ相談が入ります。

オーナーとの面談で分かったのは、所有し続けるのは厳しく売却あるのみでした。

すぐにでも手放したい切実な心境

1棟収益マンションの管理状況を把握

 当初のサブリース業者は、どういう事情かは分かりませんが、途中から関連する別のサブリース業者に変更されていました。

更に、サブリース業者が委託する地元の管理会社を1度変更していることも分かりました。

不可解なサブリース業者の管理実態

  • サブリース業者 2社目(サブリース契約解除済)
  • 管理会社    2社目(管理契約継続中)

怪しげなサブリース業者の管理実態ではありましたが、解除されたため、もう過去の話です。

正式にオーナーから売却依頼を頂き、まずは現在の管理会社から資料(レントロール)を取り寄せ、入居状況の確認しました。

早速、何やらおかしな点が・・・

1室だけ「数年間空き部屋のまま」、管理会社に理由を尋ねます。

すると、現在の管理会社は3年前から管理を引き継ぎました。

なんと! その時から残置物がそのままで、処分費用が掛かるため、サブリース業者は対応しないで放置してきたとのこと。

要するに「入居者が夜逃げした部屋が、数年間そのままになっている」ことを意味します。

この様な状況を事前に把握した上で、大阪の現地へ物件調査に向かいました。

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管理者は不在!?ゴミの山と化した1棟収益マンションの実態

 現地に着くや否や、驚きの光景を目にすることになります。

マンションの敷地内にどう見ても所有者不明の自転車が何台も、更にゴミの山。

ゴミの山の奥には自転車ラックが見えますが、もはや利用不可。

マンション前に積まれたゴミの山と放置された自転車
調査に向かった際に目の当たりにしたマンション前のゴミの山で自転車ラックも利用不可能な状態

その他、敷地奥には、なんとサーフボードまでもが2枚捨てられています。

下の写真は建物の上階から敷地内の奥を撮影したため、影もあり見づらいのですが、左側の白い壁がマンションの外壁、赤枠内にサーフボードがあります。

マンションの上階から敷地奥を見下ろした写真。左側に白い外壁があり、奥の赤枠内に2枚のサーフボードが置かれている。
建物の上階から撮影した敷地奥の様子(左側の白い壁がマンションの外壁、赤枠内がサーフボード)

本当に「管理会社があるの?」 と疑いたくなるほどの有様でした。

これでも、まだ入居者が居るのが不思議なくらいでした。

すでに入居者が夜逃げし、数年間もゴミや残置物がそのまま放置されているという室内も、実際に確認しました。

サブリース業者が数年間放置していた夜逃げされた室内の様子1
サブリース業者が処分を拒み、数年間ゴミや残置物が放置されていた夜逃げ部屋の実態1
サブリース業者が数年間放置していた夜逃げされた室内の様子2
サブリース業者が処分を拒み、数年間ゴミや残置物が放置されていた夜逃げ部屋の実態2
夜逃げ部屋の残置物はどうなったの?

 この部屋の残置物については、そのままの状態で売却活動を進め、「売買契約が成立したあと、引渡し日までにオーナーの費用負担で処分する」という条件で進めることになりました。

隣の部屋も巻き添えに!バルコニー放置が招いた「空室ドミノ」

 さらに現地を調査すると、サブリース業者の「放置」がもたらした、二次被害も見つかりました。

それが、夜逃げされた「隣の部屋のバルコニー」です。

バルコニーの仕切り板が割れて放置されている状態
夜逃げされた隣の部屋から撮影。バルコニーの仕切り板が割れたまま放置され、プライバシーも防犯性も皆無

なんと、夜逃げされた部屋のバルコニーの仕切り板が割れたまま放置されていたのです。

これでは、隣の部屋もお互いに丸見え、防犯性もプライバシーもゼロの状態でした。

当然、この「隣の部屋」の入居者も決まらず、空室が長く続いていた原因だった

現地調査を終え、出張から戻り、すぐにオーナーに写真と共に報告。

これだけ問題が山積みでは、売却活動が一筋縄ではいかないことは、容易に想像がつきました。

まずは第一歩として、オーナーから管理会社へ、「放置自転車とゴミの撤去」を要請してもらいました。

その後、管理会社からは「処分も撤去も完了しました」との報告が入り、オーナーは費用の支払いを済ませたのですが・・・

しかし、のちに現地を再確認すると、この報告とはまったく異なる実態が明らかになります。

ずさんな管理実態が次々と!

スルガ銀行ショックの余波で厳しさを増した金融機関の目

 何とか売却の準備も整い、心機一転、販売をスタート。

現状でも表面利回り約8%、満室想定だと11%にもなります。

業者からの問い合わせは殺到し、挙句の果てには登記事項からオーナーの元へ連絡して、直接取引を目論む怪しい投資家まで現れる始末。

しかし、一向に具体的な話へは進展しないまま、少々時間が経過します。

スルガ銀行の問題が表面化した後なので、どこの業者も買手のローン付けで、苦労していることは把握していました。

ただし、実際の原因はこれだけではありません。

ローン付け以外にも問題が!

「プロでなければ手に負えない」至る所に劣化が見られる要注意物件

 実はこちらの1棟マンションは、外壁の劣化も進み共用廊下の雨漏りで天井が腐食して、一部が崩落していました。

不誠実なサブリース業者の管理が招いた結果で、オーナーは知る由もありません。

雨漏りによって腐食し崩落した共用廊下の天井パネル
定期メンテナンスが怠られていたため、共用廊下の天井は雨漏りで腐食し崩落していた

他のフロアも同様に天井が落ちている箇所あり

台風や劣化で根元から折れ曲がり落ちかけている建物のアンテナ
いつ落下してもおかしくない危険な状態のまま放置されていたアンテナ

更に、違法に改築された形跡もあり、個人レベルの不動産投資家が気軽に手を出せるレベルをはるかに超えていました

大規模な修繕を含め、メンテナンスが可能な買手でなければ、購入できない真の不動産投資家向けの物件です。

不動産投資のプロ以外手に負えない

放置されたゴミや自転車、費用だけを請求する管理会社との攻防

 当事務所は遠方からの依頼も多いため、他の物件の出張に合わせて、再び現地の確認に行きました。

すると、自転車もゴミもオーナーが費用を払い処分したはずなのですが・・・

なんと、前回見た光景と変わらないゴミの山や放置自転車がそこにありました。

出張から戻り、まずは管理会社へ電話

筆者

現地の放置自転車とゴミが凄いんですけど、処分しましたよね!?

管理会社

 ハイ! 処分しました。
不法投棄されてすぐゴミが増えちゃうんですよね~

管理会社の担当者は処分業者を手配し、終了したとの認識でした。

管理会社とは当事務所が直接契約しているわけでは無ないため、オーナーへ連絡、当然ゴミ置場の写真ビフォア・アフターを見比べてもらいます。

管理会社が処分したと主張する前後のゴミ置き場の比較写真
費用だけ請求して処分していなかったことが発覚した、ゴミ置き場のビフォア・アフター(赤枠内の粗大ゴミが同じまま)

写真の真ん中の白いBOXは設置してあるものなので、ゴミではありませんが、右の赤枠の棚のようなゴミに関しては、同じ物にしか見えません。

左側のゴミは一応は入代わっているようですが、全体的に以前より増えています。

管理会社が処分したと主張するゴミ置き場の裏から見た状況
管理会社が処分したと主張する大量に放置されたゴミ置き場のの状況

ちなみにゴミ置場の正面からは見えない、裏はこんな感じです。

オーナーは管理会社へ写真と共に、「費用だけを請求し自転車の撤去とゴミの処分はしていない!」と抗議の連絡を入れます。

さすがに管理会社も非を認め、早急に対処することになりました。

行政も手を焼いた管理不全マンションの全貌!メンテナンス放棄から売却までの道程

 実はこのゴミ問題、近隣からもクレームがあり、度々行政からの注意喚起があったとのこと。

しかし、これまではサブリース契約だったため、業者側で止まって対処せずに来たため、行政も手を焼いていたと、現在の管理会社から伝えられました。

引き継いだ現在の管理会社にとっても、相当ずさんな状況だったことが容易に想像できます。

まさにメンテナンスゼロの1棟マンション

警察から「放火の危険アリ」と警告!隠蔽されていた行政指導寸前のリアル

 放置されたゴミの山に対しては、警察からも管理会社へ「放火の危険が高く速やかに撤去してください」と、何度も連絡が入っていたとのこと。

驚くばかりの状況ですが、単に共用廊下の天井が崩落(写真の状態)していた程度では済まされない問題も抱えていました。

建物の用途や構造等により義務付けられる「消防設備の点検」や「建物の定期調査報告」も未実施のまま放置されていました。

賃貸契約の書類管理もずさんで、入居者の素性すら分からない部屋もありました

もはやサラリーマン大家が手を出せるレベルをはるかに超えています。

このような管理不全物件を、一体どうやって売却するのか?

購入後の追加費用は、いくら必要なのか?

買手にとって「ハイリスクな1棟収益マンション」であることは、間違いありません。

ターゲットは「潤沢な資金力」か「自社修繕」が可能な買手!

 依頼されたオーナーのためにも、速やかな売却を目指さなければなりません。

しかし、これだけ問題を抱えたマンション1棟となると、購入後のメンテナンスや大規模修繕に莫大な費用がかかることは明白です。

潤沢な資金力を持つ者」、もしくは「自身でメンテできる者」でなければ、物件を正常化させることは不可能

戦略としては、サラリーマン大家はターゲットではないため、配布する資料には現状で把握している限りの問題点をすべてを詳細に情報提供します。

なぜ、詳細な情報提供がプロ向けなの?

 マイナス面についても詳細な情報が事前に開示されるため、プロにとっては購入後の再生スケジュールや修繕費用を正確に予測しやすく、購入可否の適正な判断材料になるからです。

一方で、サブリースに頼るサラリーマン投資家では、マイナス面がストレートに伝えられることで手に負えないと不安になり、購入を見送ってしまう。

その上で、購入後に発生し得るであろう問題についても、想定して伝えます。

購入後に発生しそうな問題点とは?

 もともと1階部分は車庫として建築許可を受けたものの、現況では倉庫に改造しているため、指定された延べ床面積(容積率)をオーバーし、行政からの是正指導が入るリスクがありました。

完全にターゲットを絞り込み、販売活動を続けた結果、「自社で修繕やメンテナンス可能な、建築関係の法人」が名乗りを上げました。

ただし、価格交渉もあり売却価格ではローン残債に届かず、残念ながら現金の持ち出しが必要となってしまいました。

管理不全マンションの売却に成功!

昨今、「ボロ戸建て投資」などの影響で、荒れた物件の再生が簡単にできるように思われがちです。

今回の1棟マンションのようなケースは、購入後にすべてのリスクを自社で引き受けて処理できる、極めてハイレベルな「真の不動産投資家」でなければ、購入は不可能でした。

「丸投げで安心」というサブリースの甘い言葉を信じた結果、警察や行政が動くほどの劣悪な管理の成れの果てとなった今回の事例。

管理も含めサブリース業者に丸投げせずに、最低でも稼働状況の情報共有はしておくことの重要性が、改めて浮き彫りになった取引でした。

真の不動産投資家向け物件

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この記事を書いた人

小田嶋譲のアバター 小田嶋譲 代表取締役

 有限会社 O&Trade代表 大学卒業後、不動産会社と譲渡債権回収の金融機関での勤務経験を経て独立。

競売間近の自営業者の不動産担保ローンや不動産投資の失敗による相談、そして、住宅ローンの滞納や住宅ローンによる老後破綻など、『お金と不動産の専門家』として難易度の高い任意売却に精通し、『不動産に関わるお金の悩みの解決』に向けて、解決策を提案しています。

最近では、高齢化社会のニーズに応え『売るときに困らない家族信託(民事信託)』のサポートにも注力、また、「ADR」と呼ばれる法務大臣認証の裁判外紛争解決機関(一社)日本不動産仲裁機構の調停人としても登録しています。

詳しいプロフィールは、下(左)のリンクボタンからどうぞ。

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